泣いた。
オークと話をつけたあと、僕は急いで来た道を戻る。洞窟内は床や壁がボロボロだ。いろいろチカラを集めまくってたから脆くなってたのかなー?オークもあの鉄槌で叩きまくったからかな?というか魔力じゃないって言われたからチカラって言ってたけどなんて言えばいいんだろ?それもオークに聞いておくんだったーまー名前は月見里さんにでも決めてもらおう!
洞窟を出る手前でヤクザみたいな男の人が青い顔をして倒れてたので担いで洞窟の外に出しておいた。あ、この人月見里さんの居場所を教えてくれた人だ。強面だけどいい人だし、さすがにここに置いて行くには忍びないので連れて帰ってあげよう。
さすがに意識を失ってる人を担いで飛ぶように走るのは悪いので普通に走るだけにしておいた。早く戻りたいのをグッと我慢した。
ダンジョンの出口付近に何人か集まっている。あ、ヤクザさんと一緒にいた人だ。なんだかみんな深刻そうな顔で話をしている。
「あのーすいません。この人ってあなたたちのチームですよね?」
何か話し込んでたようで話しかけたらギョッとされた。慌てて魔法使い風の女性が答えてくれた。
「え?あ、あー的場さん!!」
よかったー人違いかと思った。このダンジョンで会ったのはこの人だけだし、大丈夫とは思ったけど。早くこの人を預けて僕は早く帰ろう!
「それじゃあこの人は預けます。怪我とかないと思いますけど確かめてあげてくださいね?ちょっと気配も乱れてますがたぶん休めば大丈夫です。」
「あ、はい。…ありがとうございます!」
物凄い勢いで頭を下げられた。なんだか怖がられ出るような気もするけど、きっと良いことをしたと思う。というか月見里さんとかは無事だったんだろうか?
「あのー月見里さんとか冒険者の人とか知りません?おそらく黒い服着た女性が担いで行ったと思うんですが…」
「あー…おそらく研究所で検査を受けてると思います。私が見たときにはどちらも大きな怪我はなかったので大丈夫そうでしたけど、念のため研究所付属の病院に行ってるかと。」
そうか。大丈夫なのかな?僕が見たときにはもう倒れてたから何があったのかはわからない。男の人の方は一応、チカラを巡らせて整えたので大丈夫だろうけど、月見里さんの方は何かな覆われてて読めなかった。悪いものじゃないと思うから大丈夫だと思う。
心配だ。早く行こう!
「教えていただいてありがとうございます。とりあえず研究所にいきます!」
「あ、はい。月見里さんも更科さんも大丈夫だと思いますよ。」
心配した僕に気を使ってくれたのだろう。2人の状況を教えてくれる。あの男の人は更科って言うんだ。
「それでは」
早く戻りたいし、バスを待ってられない。走って戻ろう。足にチカラを回して飛ぶように走る。そんなに離れてはないからすぐにつけるだろう。固いところを踏まないと上手く飛べないのでコツがいるなー。
しばらく走ると研究所についた。道がわかりやすくてよかった。よく考えたらあんまり場所を覚えてなかったので何度か人に聞いたけど、途中すれ違った人が驚かせてしまった…申し訳ない。
ふぅー息を整えて研究所に入る。月見里さんを助けたし、これは得点高いかなーちょっとは好感度あがったかなー?これをきっかけに2人の距離が近づけば…
いや、浮ついてはダメだ。月見里さんもかなり怖かったはずだし、ここはちゃんとケアしないと!!とりあえずお見舞いに行かないと!受付の人に場所を聞こう。
「すいません。月見里さんって戻ってこられてますか?」
「あ、はい。月見里さん?あーさっきダンジョンから戻ってきたというか運びこまれて検査受けてましたよ。今は病室にいるんじゃないかと思います。」
あ、やっぱりどこか悪いのかな……。
「そうですか…病室ってどこですか?」
「別棟になるのでそちらで聞いてください。あなたはダンジョン帰りですか?」
「あ、はい。ありがとうございます。今帰ってきたところです。」
「それでしたら念のため検査を受けていただけますか?」
え?今から?とりあえず月見里さんの無事を確認したいのに…
「…あとではダメですか?」
受付さんに軽くムッとされてため息をつかれた。
「わかりました。後で必ず来てください」
「ありがとうございます!それでは!」
よかったーいい人だった。病棟に行って月見里さんの病室を聞いた。そういえばお見舞いの品も何もない。仕方ないかー。とりあえずしばらく入院するようならお見舞いにまた来よう。
コンコンコン
…
返事がないなーいないのかな?
「すいませーん。いますか?」
返事もないのでそっとドアを開ける。やっぱりいないなー。どこかに行ったのかな?病室とはいえ勝手に女性の部屋にいるのも気が引けるなーそうだ!あの更科って人の見舞いもしておこう。大丈夫だとは思うけど、ちゃんと腕がくっついてるかも気になるし。
廊下を歩いて更科さんの部屋を探す。あ、なんとなく大きな気配があるのでわかる。あの人かなり強いんだなー。一つ上の階だ。
ん?これは月見里さんの気配もかな?そっちに行ってたんだ。なんだろ心がザワザワする。
行かない方がいい気もするが気にもなる。ゆっくりその部屋に向かって僕は歩いていく。あの部屋だ。ちょうどドアが開いている。ゆっくり隠れるように部屋の中を覗いてしまった。
あーぁー気配の位置でなんとなくわかってたけど、月見里さんが更科さんの手を握って見つめ合ってる…そうだよね。あの人は月見里さんを僕より早く助けに行って大怪我をしたんだ。感謝しないはずがないし、それで好きになっても仕方ない。いや、元々そういう関係の人だったのかな?むしろ僕が助けに行ったことなんて気づいてもないかもしれない。月見里さんは気を失ってたんだった…
2人ともお似合いだ。やっぱり僕に都会も恋愛も無理なんだ。田舎に帰ろう。田舎に帰って自分の土地でのんびり過ごそう。
僕はその場に居たくなくて気配を消したまま外にでた。よくわからないけど思いっきり走って気がつけば実家に帰っていた。チカラを使いすぎてクタクタだ。あーこのチカラの名前どうしよう。まーどうでもいっか…。実家は何も変わらないな。誰もいなくて寂しいけど、田舎の空は都会と違って広い。青空が僕を包んでくれる。
とりあえず荒れたところや掃除は明日にして。
今日は眠ろう…
あと、泣いてなんかない!!
念のためですけど、月見里と更科はくっつきません。あと、ちょっと前からストックがなくなってます。なので勢いで書いたので全体的に見直したり、次のストック貯めたりしたいのでちょいちょいとお待ちを。