斬れた
ギィーーンという音響く。
僕の大剣とオークの鉄槌が当たってすごい音がした。よし!なんとか耐えれる!!これならなんとかなるだろう!
「な、なんだそれは。なぜ、それを…」
「ん?いいだろう?重いし切れすぎて調整が効かないからあんまり使わないけど僕の愛用の剣2だ!」
えらく驚いた顔してる。羨ましいのかな?とりあえず自慢しておいた。
「いや、それはヒトが持っていい武器ではない!どこで手に入れた?」
えらい剣幕だなー。奪ったりしたんじゃないよ?鉄槌と似たような色してるから何かあるのかな?
「もらった。」
「誰にだ?」
めちゃ睨んでるんですけどー。怖い。ってか本当に女なのかな?っていうかメスか?
「石の神さま?」
「はぁ?」
何言ってんだみたいな顔された。これは僕が実家近くのダンジョンを攻略してゴーレムみたいなのに囲まれてた石の神さまを助けた時に貰い受けたものだ。遠慮はしたがぜひにといってくれた。一度助けてから月に一度はゴーレム退治とお参りに行ってたらこの剣を渡されてもう来なくていいと言ってた優しい神様だ。
「ダンジョンで助けた神さまだよ!」
なんだかバカにされたみたいなので少し怒って答える。
「あぁーお前か。ストーンゴーレム荒らしは。よくアイツらが斬れたな。」
「いや、斬るというかボーリングというか。というか、荒らしてないよ?石の神さまのために退治してただけだよ!」
呆れた顔をされた。いやいや、善行を重ねたことによってもらえたのに。あ、もしかしたらこれ神器的なににかとか?たしかによく切れるしなー
「まーいい。お前みたいな厄介なのにそれを渡した爺さんには後で文句を言うとして。その剣があるからといって私に勝てると思うなよ?」
すっかり冷静になったオークは鉄槌を構えて続きをする様子を見せてきた。望むところだ!この剣はすごいんだからな。
「じゃあまた始めようか?」
僕は一声かけて剣を担いで走る。鉄槌をふるってきたので剣で応戦する。ギィーンと鉄と鉄がぶつかる音が辺りに鳴り響く。
「さすがだな。その剣を振れるのだな」
「ま、僕が貰い受けた剣だからね」
オークも明らかに僕の剣より重そうな鉄槌を振り回してるけど。たまに片手で降ってる。筋肉がミシミシと音が聞こえるくらい動いてる。鉄槌を受けたり、避けたりしているが洞窟の中がもうぐちゃぐちゃだ。壁や地面にあたるので割れまくってる。
「フゥー」
オークは息を吐き思いっきり鉄槌を振ってきた。剣で受けたが吹き飛ばされる。ある程度後ろに飛んだけど衝撃は受け流せなかった。壁に足をつきなんとか壁にぶつからずに済んだ。
「さて。そろそろ終わりにしよう。これ以上はここももたなくなるし、そろそろワタシも限界だ。」
鉄槌を床に置いて腕を振ってる。やっぱり疲れるんだなー。まー僕もいい加減疲れてきたからそろそろ終わりにしたいところだ。
「先に言っておこう。転移は使わない。というかこの姿では使えない。」
「あー存在が強すぎると飛べないってやつだ?」
「知っていたか。我らの領域を荒らし回ってるのはおオマエだったか。」
ん?そんなに荒らし回ってはないと思うんだけどな…
「人違いじゃないかな?」
「ハッーハッハ!とぼけたやつだ。まぁいい。次のを防いでみせろ。そうすればオマエの勝ちだ!」
またあちこちからチカラが集まってくる。うわーやばいなーさすがに今回は途中で攻撃したら怒るだろうな…一撃にかけるってやつだろうし…負けじと僕もチカラを集める。全然集まらないな…むしろオークに引っ張られてるような。
おおーなんだろう。鉄槌とオークの体がヤバイオーラみたいなのに覆われてる。あれを受けろと?無理でしょ?あーやるしかない!精一杯のチカラを剣に回して強度をあげる。
打ち降ろされる鉄槌を大剣で受ける。ガィーンと大きな音がして踏ん張った地面が割れる。地面が崩れそうだ。全身にチカラを回してなんとか姿勢を保つがこれはかなりやばい。ギシギシと大剣が鳴っているのか体が鳴っているのか…
「耐えるか…」
言い返す余裕もない。耐えれてないよ。全身でチカラをフル回転だ。無理やり回してなんとかなってる。
耐えてるだけじゃやられる。大剣に意識を回して鉄槌が斬るように鋭く、鋭くと意識を回す。
斬り込め!受けてるだけじゃ負ける!
ギシギシと剣先が鳴る。押し込まれるのに対して体が沈む。
斬れ!斬れろ!!!きーれーーーろーー!!
剣先がピシッと音がした。やばい!割れるか?
ピシッピシ
剣の刃が割れて飛んだかと思ったら鉄槌に食い込んだ。このまま斬り込まないと!一気に鉄槌に食い込んだ部分に集中してチカラを注ぐ!
ギシャーと鉄と鉄が擦れ合う音がしながら鉄槌の槌の部分を斬りとばした。
「ふぅー」
さすがに疲れたので息を吐く。なんとかなったなー。
「なるほど。部分強化に全てを注いだか。素晴らしいチカラの使い方だ。」
納得顔で自分の切れた鉄槌をオークが見てる。意識してやったわけじゃないけど部分的にチカラを注げたから強度で勝てたらしい。
「ワタシの完敗だ。これ以上戦ってもオマエには勝てないだろう。潔く認めよう。」
あーほんと潔ぎいい。これで終われた。さー月見里さんも心配だし、帰ろう。
「さーこれを受けとれ!」
オークの目の前に水晶みたいなのが現れる。またこれかー。もらっても仕方ないんだよな。
「いや、いらないよ?ここを治めるとかそんなの無理だからね?」
「な、なぜだ…ここをオマエの土地にできるのだぞ?」
「いやーいらないよ。ここに住むわけでもないし。魔物って勝ったらいつもそういうけど別に土地が欲しくて戦ってたわけじゃないから。」
まったく。こんな土地をもらっても迷惑だ。ここに住んでもご飯を食べれそうにもないし。
「では…ここの土地を壊そうというのか?それならば…」
オークはまた戦闘体勢をとろうとする。ギラギラとした目。本気だ。
「いやいや、それもないよ。ここの景色は月見里さんも好きみたいだし、ここは薬草も採れるみたいだし、僕らにとってもあった方がいいよ。」
不審な顔をしながらよくわからないなと呟くオーク。いや、勝ったら土地をとかそんな国取り合戦してるそっちの方がわからないよ!
「ではどうすればいい?」
「どうもしなくていいよ。あーでも出来れば人を襲うのはやめてくれたらいいな。」
「壊さない条件ならそれも従うが襲われれば戦うぞ?我らに逃げるという選択肢はない。」
やっぱり戦闘種族なんだ。まー抵抗するなとかもかわいそうだしね。
「人側からくれば応戦するのは仕方ないよ。まーできる限りでいいから。あと、たまに薬草取りに来るからわけてくれればいい」
「わかった。だかそれだけというには…オマエはワタシを降した。おそらく力勝負じゃなければもっと簡単に勝てたはずだ。ワタシの土俵に乗った上でワタシに勝ったオマエには何かしら敬意を評したい。」
うわーなんか力が全て的な考え方なんだな。勝ててよかったー。
「オマエはゴブリンの土地は奪ったのだろう?ここも同じようにしてもよいのだぞ?」
え?あー最初のダンジョンであの水晶貰い受けたからそうなってるのかな?というか、そういう認識なかったけど…というかあれ以来行ってないからどうなってるのかも知らない…
「いやーそんなつもりなかったよ。というか今から返せるのかな?」
「それは無理だろう。土地の核を貰い受ければそれはもう長だ。誰かに負けて渡すなら別だが…」
そうなんだ。一度見に行きたいけど場所すらわからないからな…今度あの場所にでも行ってみよう。
「まーとりあえず、また来ることがあるかもしれないからその時はよろしく!……あ!今度月見里さんを連れてくるからオマエたちのことを教えてもらっていいかな?」
「あのメスか。いいぞ。ワタシが答えれる範囲なら答えよう。」
さぁ、月見里さんとかも心配だし、早く帰ろう。怪我とかしてないと思うけど心配だ。月見里さんに何かあればこの土地は消していいかもしれない…
ん?オークが青い顔をしてこっちを見てる。思ったことが顔に出るのは僕の悪い癖だ。
「じゃあそれで。またくるからよろしく!」
切り替えて手を上げて明るく声をかけ、グッと足に力を入れて飛ぶように走った。
「わかったよ。|€'NWS」
ん?離れる時にオークが何か言っだ言葉は聞き取れなかった。
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