第三話 決定
余は好意の干乾びた社会に存在する自分を
甚だぎこちなく感じた。
夏目 漱石 『思い出す事など』
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西暦2045年8月17日午前08:45
総理官邸
「これより閣議を始めます」
総理が言う。
「まず皆さんに言わなくてならないといけないことが昨夜起こりました」
「また、問題ですか?」
菅原官房長官が言う。
「いえ、問題と言うよりいいことです」
「なんですか?」
「実は、午前00:00に月面及び火星面基地が第二の月、通称大月に転移してきました」
おお〜
大臣たちが声を上げる。
「話を戻しましょう。まず転移してきた基地とはすでに通信を行いました。全員無事だそうです」
「それはよっかた」
霧星財務大臣が声を上げる。
大臣たちも頷く。
霧星財務大臣
本名は霧星 達也、東京帝國大学を次席で卒業し46歳の時に財務大臣職に就いた。元々は、瑞穂総合銀行に務めていたが総理に抜擢された人物である。
「では、これからのことについて話しましょう。まずは、地球に帰れるかについて」
そこで近藤国防大臣が手を上げる。
「近藤さん何かご意見でもありますか?」
「ああ実は開発部で異空間転移連結扉、通称どこでもドアの開発を機密に行なっていてな。もしこれが成功すれば地球に帰れるかもしれない」
「な‼︎そんな予算どこから...」
霧星財務大臣が声を上げる。
「実用化の目処は立っているのですか?」
宮崎外務大臣が言う。
宮崎外務大臣
本名は宮城 波志目、24歳の時に外務省に配属され前外務大臣にその類い稀な能力を買われ37歳の時に外務大臣職に就いた。
「正直分からん、10年後か30年後か下手したら100年後かもしれん」
...
会議室が静寂に包まれる。
「未来の話しはどうでもいいのです。いまは未来よりも現実です」
総理が声を上げる。
「株価はどうなっていますか?」
「日経平均株価は暴落。特に中小企業は、倒産が相次いでいます。逆に大企業は、投資家が大量に投資しているためゆっくりですが持ちなおそうとしています」
総理の質問に官房長官が答える。
「そうですか。備蓄のほうは?」
「食料のほうは、自給率がもともと高いので大丈夫ですが値段の上昇は避けられません、あと石油や希少金属、金、銀などは大丈夫ですが、鉄などの鉱山資源、ゴムなどは、98.5%を輸入に頼ってきたのでどんなに再利用したとしてもおよそ一年で底をつきます」
...
大臣たちが呆然とする。
「確かこの星には大陸が2つありましたね?その大陸には、人がいるのですか?」
「本土の東にある大陸には、人が確認されています。西の大陸は、人は確認されていません」
「では、西の大陸に開拓団を派遣し鉱山資源を入手しましょう」
「そうですね」
「近藤さん派遣部隊の編成よろしくお願いします」
「分かりました」
その後星の名前や大陸の名前を決め閣議は終了した。
西暦2045年8月29日
衆議院と参議院にて、特別派遣法を可決し大陸派遣が正式に決まった。
月面軍と火星面軍を合体し、宇宙方面軍を組織した。
また、この星の文明度が不明のため事実上の不干渉を貫くことにした。




