第7話 同僚と……
先月はこちらの諸事情により、投稿出来なかった事をお詫び申します。今回から通常通り、月1更新にしたいと思います。
―城下町・町酒場『ラージュ』―h
あれから数日後、シャーシェスは仕事を終え、城下町の大通りにある町酒場にやって来た。シャーシェスが中に入ると、何人か見知った顔が話しかけてくる。
「おう、シャーシェス、結婚したんだって?」
「いつの話だよ……」
「何でも、美人の奥さんらしいじゃねぇか、羨ましいぜ、この野郎」
「あはは……」
シャーシェスは適当に返事だけすると、真っ直ぐにカウンター席に向かう。そこにはファンナとサラがいた。
「やぁ、シャース」
「久しぶりだな、シャーシェス殿」
「ああ、本当にサラは久しぶり」
シャーシェスは席に座ると、適当にワインとつまみを頼む。そして、酒場のマスターがそれを持ってくると、シャーシェス達は乾杯する。
「もう、そろそろ一ケ月か……」
「おお、もうそんなか!」
「俺からすれば、まだ一ケ月だけどな」
「ん?何かあったのか?」
少し疲れたような表情になりながら、シャーシェスはワインを一口、飲む。
「いやぁ……父上達に孫はまだかって言われてさ」
「「ぶっ!?」」
ファンナとサラは思わず、吹きかけるが何とかこらえる。
「い、いくらなんでも早すぎるのではないか?」
「ああ、俺もリンナもそうは思っているんだが……」
シャーシェスはその後の事を思い出し、顔を真っ赤にした。
「ん、どうしたのだ?シャーシェス殿?」
「い、いや、その……」
シャーシェスはごまかすように、グラスを口に傾ける。
「……そういえば、シャース」
「ん、なんだよ?」
「正直に言ってくれ、リンナとはどこまで行ったんだ?」
「えっ!?」
シャーシェスはファンナの突然の質問に狼狽する。
「い、いきなり、何だよ」
「兄として、気になる所だしな……」
「いや、まぁ……一応、夫婦の営みぐらいは……」
シャーシェスがそう言うと、ファンナとサラは体中に稲妻が走った。シャーシェスは恥ずかしそうな表情する。騎士団にいた時には考えられない表情だった。
(しゃ、シャーシェス殿があ、あんな表情をするとは……)
「そ、そうか……そうだよな」
何故か、ファンナは落ち込みながら、グラスを口に傾ける。
「それより、何か進展はあったのか?」
「「……!」」
シャーシェスはそう言うと、二人は真剣な顔になる。
「ガラードの仕業なのは分かるんだが……何人か捕まえても……」
「死んだのか?」
「……」
「俺もこの前、リンナを襲った暗殺者を捕まえたんだが、いきなり血を吹き出して……」
「僕達の方もだ……まるで……」
「証拠を消す為に呪いみたいのがかけられているみたいに……」
シャーシェスは苦々しい表情になる。これではリンナは常に狙われる。
「だが、少しずつでも、証拠は集める。妹のリンナに手を出そうとした奴は許せない」
「頼むよ……リンナは俺が守る」
「私も出来る限り、協力する」
「ああ……」
シャーシェスは頷くと、とりあえず真剣な顔から少し微笑んだ。
「まぁ、とりあえず、今日は飲もう」
「ああ、そうだな」
こうして、三人は昔話しながら、飲み明かした。
夜、酒場から帰って来たシャーシェスは少し酔っているのか、フラフラしていた。
「少し飲み過ぎたか……」
「だ、大丈夫ですか、シャーシェス様!?」
リンナはシャーシェスを心配しながら、駆け寄る。
「ん……?ああ、リンナ、ただいま」
「あ、お帰りなさいませ……じゃなくて、フラフラして、どうしたのですか?」
「いや、ファンナとサラと一緒に飲んでいただけだ……」
「もう、お酒もほどほどにしてくださいね」
「ああ、分かっているよ」
「では、寝室まで付き添いますね」
「そうだな、お願いするよ」
リンナはそう言うと、支えるようにして、さりげなく腕を組む。そして、そのまま二人は寝室に向かうのであった。