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君と共に……  作者: 時刻
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第2話 お迎え

はい、第2話です。例によって例のごとく不定期となると思いますが、よろしくお願いします。

―『フェリン』城下町郊外・ガザランド家―

 一週間の時が経ち、シャーシェスはガザランド家に馬車で向かっていた。服装は前まで来ていた一般的な戦士の服ではなく、白い戦闘に向けの正装を着ている。

「ついにこの時が来てしまったか」

「シャーシェス、緊張している?」

「兄上……他人事だと思いやがって……」

 照れているのか、顔を赤くする。すると馬車はガザランド家に着いた。

「ほら、着いたぞ、迎えに行ってやれ」

「ああ、行ってくる」

 シャーシェスは馬車を降りると、そこにファンナとドレス姿のリンナがいた。

「やぁ、シャース」

「よう、ファンナ、リンナ」

「シャーシェス様……」

 リンナはシャーシェスに近づくとおじきをする。そして、優しく微笑む。それにシャーシェスは顔を赤くする。

「この度は私を……その……妻にしていただきありがとうございます」

「ああ……まぁ、俺もそろそろ、身を固めておこうかなと思っていたからな」

 シャーシェスは目を逸らしつつ、言う。そして、ファンナと向き合う。

「妹は任せな、ファンナ」

「ああ、お願いするよ。僕も何とかしてガラードがやったと思われる証拠を掴んで見せるよ。君も気を付けて」

「……」

 シャーシェスは頷くと、リンナの手を取る。

「では、お兄様……」

「ああ、元気でな、リンナ、荷物は既に向こうに送ってもらっているから」

「はい」

 リンナはそう言うと、シャーシェスに手を引かれ、馬車に乗る。

「やぁ、リンナちゃん、お久しぶりだね」

「シャルラル様、お久しぶりです。今日からよろしくお願いします」

「ああ、よろしく」

「……」

 少し緊張していたのか、ホッと一息つくシャーシェスにちょっと、寄り添うリンナを見て、シャルラルは微笑んでいた。だが、シャーシェスは一息は付いているものの、馬車の外に警戒していた。

(もしかしたら、暗殺者を送ってくるかもしれないからな……)

 こういう嫌な予感はよく当たるものだと、シャーシェスは知っていた。既に剣に手をそっと添える。その瞬間、殺意が外から感じ取った。

「ちっ……」

「シャーシェス様?」

「どうしたんだい?」

「来たか……」

 その言葉に馬車は謎の集団に囲まれる。

「な、何だ!?」

「……」

 リンナはシャーシェスに怯えながら、くっ付く。

「兄上、リンナを頼む」

「頼むって、どうするんだ?」

「決まっているだろ、リンナ、少し待ってくれ」

「は、はい……」

 そう言って、シャーシェスは馬車の中から外に身を乗り出す。そして、目の前には黒のマントを纏った男が馬に乗っている。シャーシェスはニヤリっとし、目の前にいる男に飛び移る。

「なっ……!?」

「悪いな……てめぇらみたいな素人に負けるわけには行かないんだよ!!」

 シャーシェスは隠し持っていた短刀を黒マントの男の首を切り裂き、馬から落とす。その馬を奪い取り、シャーシェスは周りにいる残り三人の黒マントの男を始末する。

「これで全員か……?」

 シャーシェスは周りの気配を探ってみるが、殺意とかの気配はなかった。シャーシェスが馬を止めると、馬車も止まった。

「シャーシェス様!」

 シャーシェスが馬から降りると、馬車からリンナが飛び出して、抱きついてきた。

「おっと、いきなり抱きつくな」

「で、でも……」

 心配してくれたのだろうか、少し泣きそうな表情になっており、それを見たシャーシェスははぁとため息をつく。

「済まなかった、心配かけたな」

「シャーシェス……」

 シャルラルは不安そうな顔になりながら、シャーシェスに話しかける。

「今のは……?」

「暗殺者、だろうな……狙いはリンナだな……」

 リンナに聞こえない程度に話ているので、リンナは頭を傾げる。その後、すぐに馬車に乗り込み、ミシューカ家に向かったのであった。


―『フェリン』城下町郊外・ミシューカ家―

 その後、馬車は何も事もなく、ミシューカ家の屋敷にたどり着いた。

「ふぅ……たどり着いたか」

「ええ、何とか」

「……」

 気配探りに少し疲れたのか、一息つくシャーシェスとシャルラル、そして、緊張しているのか、顔を赤くしながら、俯いている。そこに、父、ハザードと母、ミレンダがいた。

 ミレンダは見た目、かなり若く、優しい雰囲気があった。

「あらあら、リンナちゃん、綺麗なって」

「み、ミレンダ様、ハザード様、よろしくお願いします」

「そんな緊張しなくても良い、今日からここは君の家なのだから」

「は、はい」

 シャーシェス達は屋敷の中に入ると、メイドや執事がお出迎えしてくれる。

「「「お帰りなさいませ、シャーシェス様、リンナ様」」」

「おう」

「よ、よろしくお願いします」

 するとシャーシェスの前に一人の老人執事と若いメイドが現れる。

「ああ、ラーク、ご苦労だな」

「いいえ、私はあなたに仕える執事です」

「ええっと……」

「ああ、リンナは初めてだったか、この人はラーク、俺に仕える執事」

「ラーク・ファルランでございます。シャーシェス様専属の執事でございます。そして、こちらが……」

「本日付でリンナ様の専属メイドとなりましたカナリア・セーシュカでございます」

「何かございましたら、何でも申し下さい」

「あ、はい!こちらこそよろしくお願いします」

 カナリアが頭を下げるとリンナも慌てて頭を下げる。

「リンナ……メイドに頭下げてどうする」

「で、ですが……」

「今日からお前は俺の妻……だから、もう少しだな……」

 妻、と言う言葉に思わず照れてしまったか、顔を赤くする。

「荷物も届いておりますので……お部屋にご案内します」

「はい、では、シャーシェス様、また……」

「ああ、後でな」

 リンナはカナリアに案内されて、今日から住む部屋に向かう。一人残ったシャーシェスにハザードたちが話しかける。

「早く、孫を見せてくれよ」

「良かったわね〜シャーシェス」

「これで、ミシューカ家も安泰ですよ」

「……どーして、俺の家はこうも、のんびりなんだよ」

 シャーシェスは頭を痛め、これからの事を考えるのであった。


―???―

「リンナはシャーシェスの所に?」

「ええ、送っておいた殺し屋も全滅しました」

 とある屋敷の一室でワインを飲んでいる青年は老人からその情報を聞くとグラスがひび割れるぐらい力を入れる。

「おのれ〜!リンナめ!」

 青年はワイングラスを床に叩きつける。

「僕を振っておいて!シャーシェスと結婚!?ふざけるな!!」

「それでどうしますか?」

「もちろん、今まで通り暗殺者を送りつけろ!」

「はい……」

 そう言って、老人は部屋を出る。

「覚悟しろよ……リンナ!僕を振ったことに後悔させてやる!あーはっはっはっ!!」

 その笑い声は部屋中に響くのであった……。


どうでしたか?今回は戦闘が少し入っています。完全な恋愛小説ではないですが、楽しめたら光栄です。

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