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年下の小悪魔!?  作者: 水谷 順
本編
11/28

第11話  満たされた心と身体



 お風呂から上がり浴衣を着て、よく冷えた清涼飲料水を飲みながら縁側で外の景色を眺めていた。

 眼の前に広がっている海が、月明かりに照らされてキラキラと輝いている。


 「はぁ……もうダメ」


 こんな綺麗な景色なのに立って見ていられない。

 近くにあったソファーに座り、ダラ〜と身体を投げ出した。体が悲鳴をあげている。

 何故って?それは……。

 彼がとんでもなく凄かったからっ!!!

 25歳の彼が、どこであんなコト覚えて覚えてきたのっというくらいのテクニック!

 あぁ〜思い出すだけで恥ずかしい……。声、誰かに聞かれてなかったかしら。

 私をこんな状態にした張本人は脱衣場で、今度はちゃんとバスタオルを腰に巻いてストレッチなんてしてるし。

 ウゥゥ……若いって素晴らしいっ!そして憎い!!

 そう思いながら彼を見ていたら、鏡越しに彼と目が合った。

 胸がドキンと跳ねた。

 さっきまでの行為をまた思い出し、照れくさくなって目線を外そうとした。

 けれど、鏡越しだというのに彼の熱い視線を感じてしまい目を外せないでいた。

 どうしよう……私。また彼に抱かれたいって思ってる?

 何とか目を外すと、そのままソファーの上で足を抱えてうずくまった。

 

 (こんなことを思っちゃう自分がいたなんて……。)


 30過ぎてはじめての経験で、少々困惑してしまった。

 今までの私はこういうことに疎く、自分から積極的に…という事は一度も無かったから。

 でも今回は違ったみたいだ。自分から彼を求めてしまうなんて……。

 彼に何度も触れて、彼の奥の奥まで知り尽くしたい。

 頭と心がショートしてしまっているみたいだ。

 

 そんな私の態度に気づいたのか、彼がゆっくりと私に近づいてきた。

 

 「どうしちゃったの?まだ寝るには早いんだけどなぁ」


 私がこんな気持ちでいるのに、彼はいつもと変わらない口調だ。少し腹が立った。

 また、からかってるに違いない。絶対に顔を上げたりしてあげないんだから。

 そう意地になっていると、彼が私の肩にそっと手をおいた。

 その途端、私の身体はビクンと大きく反応してしまった。

 その反応を見た彼は、小さな声で私に聞いてきた。

 

 「そんなに感じちゃった?」


 「…………」


 「いつまで喋らないつもり?」


 「…………」


 「ねぇ咲さん。僕、かなり前にも言ったと思うんだけど、思ったこと言わないと相手に伝わらないよ」


 そう、以前にも言われた。でも、こればっかりは言えない。 

 それに彼はもう気づいてるはずだ。

 私がビクンと反応した時点で……。

 それでも、こんなことを聞いてくる彼はやっぱり意地悪で小悪魔。


 「咲さんって、思ってたより強情だったんだ」


 「強情で悪かったわね」


 「やっと喋ってくれた。強情でも悪くないよ。言ったでしょ、どんな咲さんでも好きだって」


 「今そんな事言うの卑怯!散々意地悪しておいて……」


 そう言いながら顔を上げた。

 少しだけバツが悪そうに苦笑する彼。


 「うん…それは、ごめん。でも聞いて。僕は、咲さんの気持ちは咲さんの口から聞きたいんだ。咲さんってすっごく分かりやすい反応するから、色々分かっちゃうんだけどね。でも万が一、僕の勝手な思い込みだったとしたら、咲さんを傷つけてしまうでしょ」


 「でも、言えることと言えないことがあるの」


 「で、今回は言えない事だった訳だ」


 うんと頷く。


 「と言う事は……。咲さんは、さっきのお風呂ですごく感じちゃって、その敏感になっちゃった身体をもう一度抱いて欲しい……と思ってる。正解?」


 この子は何を言ってるんだか、まったくもって不思議だ。

 どうしてそこまで分かってしまうんだろう。

 25歳の年下くんに、認めたくはないけれど、完敗。


 「……正解……」


 あぁ、私って面倒くさい女だ。

 普段は年上を気にしてお姉さんぶってると言うのに、こういう時は初体験のようなうぶな女の子になってしまう。

 普通の30過ぎの女性は、こういう時ももっと上手に切り抜けるのかしら?

 これは私が今まで、セックスに対して無頓着だった罰だろうか。

 駄目だ。いつまでもこんなコトばかり考えていたら、また落ち込みそう……。

 ソファーからすっと立ち彼の顔を見る。

 そして恥ずかしがらず正直な気持ちを口に出してみた。


 「もう一度お風呂に入ってさっぱりして気持ちも入れ替えてくるから……」


 「くるから?」


 「もっともっと抱いて……」


 「言われなくても、そのつもり」


 ニヤッと笑ってそう言うと、今すぐにでも突入しちゃいそうな勢いで激しい口付けをしてきた。

 

 「……ちょっ……ま……って……んん……!」


 苦しくなって顔を少し離して息をしようとしても、出てくるのは甘い吐息ばかり。

 

 「っ……はぁ……」


 繰り返し押し当てられる熱い唇は、ときどき触れるか触れないかの距離で私の唇を食む。

 味わうように愛撫するそのキスに私は身震いし、少し口を開き喘ぎ声を漏らす。

 その隙に私の奥まで入り込んできた彼の舌に、私の舌も強引に絡めとられてしまった。

 やっぱり彼とのキスは本当に気持ちが良い。この心地よさに何もかも忘れてしまいそうだ。

 頭が中がボーッとしてこのまま流されそうになった。

 が、彼が私の背中に回していた手がスーッと下がり腰のあたりに触れた瞬間、我に返った。

 慌てて自分から唇を離し、乱れた呼吸を整える。

 そして眼の前で首を傾げる彼に向かってこう言った。


 「見切り発車は反則!私の話聞いてた?お風呂入ってからって言ったよね、いい?」


 ニヤニヤ笑ってる彼。


 「さっきまでとは打って変わって、何?その偉そうな態度」


 「だって私の方が年上だから」


 「今更……」


 呆れた顔で笑ってる彼。


 「まっいいか。早く入ってきて。じゃないと、またキスするよ。それに……」


 「それに?」


 「僕も咲さんを、もっともっと抱きたいから。もうあまり待てそうもない」


 その声色から彼の欲情がはっきりと感じられた。彼も本当に同じ気持ちだったことが嬉しい。

 私は足早に浴室に向かった。 



 お風呂から出ると、待ちきれなかった彼が立っていてバスタオルで私を包み込むと、抱きかかえるように布団まで連れていった。

 ドサッと少し乱暴に下ろされ目をぱちくりさせていると、ガバッと私に覆いかぶさってきた。


 「もっともっとって言ってたよね?じゃあ遠慮無く抱かせてもらうから。もう僕も我慢の限界。激しくなっちゃったらごめんね。朝まで寝かせないから覚悟して」


 早口でいろいろ言っている。気持ちが先走っているのだろう。

 彼の目がいつもと違って見えた。それに今、何かすごいことをサラっと言ったよね?

 私、大丈夫?……かな。

 

 このあと彼は猛獣と化して襲いかかり、私を何度も絶頂へと突き上げた。

 そして、朝まで寝かせてもらえなかったのは本当の話。




 

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