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第2章 味噌汁の儀式は戦いの始まり

健康であれ

翌朝。

俺は半分寝ぼけた頭で、巻物に書かれた“第一試練”を思い出した。


「白湯……味噌汁……バナナ……よし、やってみるか」


白湯を飲むと、胃の奥がじんわり温まった。

次に味噌汁を啜る。

普段は気にも留めない味なのに、不思議と身体に染みていくような感覚があった。


その瞬間――視界の端で、白い光がぱちんとはじけた。


『……う、うぅ……ひもじい……』


小さく、弱々しい声。

振り向くと、そこに丸くてふわふわした白い生き物が座り込んでいた。

大きな黒い瞳、手はぷにぷにの短い丸い足。

まるで……ハムスターと雲の中間みたいな生物。


「な、なんだお前!? かわ……いや、何者だ!?」


『ぼ、ぼくは “ラクティ”……乳酸菌の妖精で、

天城レン様の腸内で生まれた“菌ペット”です……』


菌ペット!?

菌にペット要素まであるのか、この世界。


ラクティは泣きそうな声で続けた。


『最近は悪玉軍の毒素が増えて、ぼくら弱い菌ペットは、

すぐお腹を壊して逃げるしかなかったんです……』


俺の胃腸が弱いせいで、こいつまで苦しんでたのか。


『でも……今朝の味噌汁とバナナの力で、ぼくは再生しました!

これからは、レン様のために働きます!』


突然ラクティが光を放ち、俺の胸元にふわっと飛び込んできた。


『ぼくの力は “腸の動きの強化(ぜん動アップ)”!

レン様の便通やストレス軽減をお手伝いします!』


なんだこの頼もしさと可愛さは。


そこへ、いつものようにビフィズス十三世の声が響く。


『レンよ、菌ペットは汝の生活改善で生まれる“新たな仲間”だ。

彼らは戦闘力こそ低いが、宿主おぬしの身体に影響する特性を持つ。

育てれば育てるほど、王国全体の力は跳ね上がるぞ!』


その言葉に、ラクティが胸を張った。


『が、がんばります! レン様の内臓脂肪をやっつけるんだ!』


くっ……かわいい。

これは守りたくなるタイプのやつだ。


白湯と味噌汁だけで、こんな仲間が生まれるとは想定外だった。

だが――同時に確信していた。


これは単なる生活改善じゃない。

腸内王国の“成長物語”なんだ。


ラクティが肩に乗り、尻尾みたいな菌糸をぴょこぴょこ揺らしながら言う。


『次はお昼の試練ですね!

“野菜 → タンパク質 → 炭水化物”ですよ!』


「お、おう……指示が細かいな」


『レン様、これはただの順番じゃありません。

この順番で食べると、血糖値が急上昇しにくくなるんです。

つまり、アディポス・ベリーへの“エネルギー供給を遮断”できます!』


魔神へのエネルギーを断つ……!

まさに戦いそのものだ。


電車に揺られながら、俺は思った。


「……今日から俺は、本気でやる。

育菌覇王になるために」


肩に乗ったラクティが、嬉しそうに小さく跳ねた。


『いっしょにがんばりましょうね、レン様!』


こうして

善玉騎士団+菌ペット“ラクティ”

という新たな編成で、俺の“腸内革命”は本格的に始まった。

健康に至れ

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