第1章 腸の底で、王国は泣いていた
健康であれ
二十七歳の俺――天城レンは、今日も腹を押さえながら電車に揺られていた。
昨夜二十一時に食べたポテチのせいで胃腸が暴れ、内臓脂肪はじわじわと増加中。
ストレスでメンタルも削れ、免疫も落ち、風邪をひきやすい。
「……はあ。なんでこんなに弱いんだ、俺の腸は」
そう呟いた瞬間――視界がぐにゃりと歪んだ。
気づけばそこは、暗闇の中に光の粒が漂う奇妙な世界だった。
『天城レン。汝を“腸内王国”へ召喚する』
声とともに現れたのは、黄金の菌冠を戴く、小さな騎士。
「……おまえ、誰?」
『我が名はビフィズス十三世。ここの“善玉菌の王”だ』
善玉菌……?
まさか俺、腸の中にいるのか――?
『汝の生活習慣により、王国は崩壊寸前。悪玉軍団は勢力を拡大し、
内臓脂肪魔神 “アディポス・ベリー”が復活しつつある』
内臓脂肪魔神……
お腹の奥にいるアレが魔神って、それどういう設定だ。
『だが救う方法は、ひとつだけある。
汝自身が“育菌覇王”となることだ』
「育菌……覇王?」
『そうだ。汝が生活を変えれば、王国は力を取り戻す。
そして魔神アディポスを討ち倒せる』
気づくと、俺の手には光る巻物が握られていた。
封印を解くと、そこには大きくこう書かれていた。
《育菌覇王の試練》
第一試練:朝の“味噌汁の儀”
白湯300ml → 味噌汁 → 果実を捧げよ。
これにより王国の朝は整い、善玉軍は勢いを取り戻す。
第二試練:食事の三段構え
「野菜 → 肉・魚 → 米」の順で食せ。
悪玉の暴走を抑え、魔神の力を封じる。
第三試練:夜間の誘惑の克服
21時の間食は、ヨーグルトかナッツに置き換えせよ。
闇の脂肪“ナイトカロリー”を無効化する。
第四試練:腸の弱き壁を修復せよ
酪酸菌の食物を取り入れ、
王国の防衛壁“腸バリア”を再建せよ。
第五試練:睡眠のノクターン
23:30に眠りの儀式を行い、
自律神経の守護霊を召喚せよ。
⸻
「……これ、ただの生活改善じゃねえか!」
『違う! これは王国を守るための聖なる戦術だ!』
そしてビフィズス王は言う。
**『汝の目的――
・内臓脂肪を滅すること
・メンタルを強くすること
・免疫を高めること
これらすべて、我ら善玉軍が叶えてみせよう』**
気づけば俺の心は熱く燃えていた。
「……わかった。やってやるよ。
俺は——育菌覇王になる!」
その瞬間、王国全体が光に包まれた。
健康に至れ




