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MAGICAL・PUNK!  作者: つきの月
元魔法少女モモコ
5/85

5星 ラグナードのボス、ヴォルガン


 運転席にはゴーグルをかけた痩せ型の人、その後ろにはゴーグルをした髭モジャの大男、エドよりもデカく見える その大男が何やら叫んでいる様子だ


 『ヴォルガン』ラグナードのボス、エドよりさらにデカい筋骨隆々とした2mの大男 額に皆と同じバンダナを巻いている45歳


「こんの馬鹿野郎共がああ!!」


 ボスが後部座席からホースの繋がったロケットランチャーのような物を取り出して担ぎ こちらを狙っている


「え、ええ!? ねえちょっと! あれボスなんでしょ!? なんで武器みたいなの構えてこっち狙ってんの!?」


 桃子が皆の顔を見ながら疑問をぶつけると、誰も目を合わせてくれない ヴェイドがそっぽを向きながら口を開く


「あぁたぶん… 待機命令中にオートマタ狩りしてたのがバレだんだ…」


「ちょ、はあ!? バッカじゃないの!? ビーコン付いてるって説明したのアンタでしょ!?」


 ボスが引き金を引いてランチャーをぶっ放す、ランチャー後部に彫られた魔法陣がバッグブラストを発生させ激しい蒸気と爆発音を鳴らす それと共に先端のロケット弾が発射された


 ランチャーに繋がったホースから数カ所蒸気が漏れている 桃子は身の危険を感じ、身を丸めて床に伏せた


 ロケット弾後部に彫られた小さい魔法陣がクルクルと光ながら、ガンバル号の上部外装に命中してガンバル号がズシンッと激しく揺れる


「ひいっ! ちょっとウソでしょ!? なんなのこの人達っ!」


 怯える桃子を横目に他のメンバーは不思議と落ち着いている様子だ


「あーあ、こりゃマジだぜ」


「ヴェイド兄さんが外に出るしかないっすね」


「うむ、それが皆のためである」


「はよ出んか! わしの仕事が増えるじゃろ!」



「ちっ! わーったよ!」


 外では魔導モービルが進みながら次の攻撃に移ろうと弾を込めている ヴェイドが扉を開け通路から飛び降りた 桃子はそれを見て慌てる 


 「ええ!? ちょ、ちょっと何してんの!?」


 驚くのも無理は無い、ここから地上まで10mは有るのだから


 ヴェイドは両足でドシンと着地して走り出し、魔導モービルに向かって大声で叫んだ


「親父ーー!! わりーー!!」


 魔導モービルから大男がランチャーを構えて叫ぶ


「こんのおお!馬鹿息子があああ!!」


 そしてヴェイドに向けてロケットランチャーをぶっ放す 弾が一直線にヴェイドに向い見事に着弾、爆発して辺りに砂ぼこりが立ち込める


「ええ!? マジで当てたの!?何してんの!?」


 ラグナード一同は平然と答える


「いつもの事っすよ」


「うむ、素晴らしい親子愛である」


「機体に当たらんならそれでよかろうて」


「あんたらイカれてんのぉ!?」


 砂ぼこりが風で掻き消え、両腕をクロスして身を守るヴェイドが姿を現す、驚くことに、服は破けているものの外傷は無さそうだ


 魔導モービルからボスが飛び降り、魔導モービルはガンバル号の後ろへと向う しばらくしてガンバル号のガレージへの入り口が開いた


 ボスがヴェイドに殴りかかり、ヴェイドもまた同じように殴り返す


「何度言ったらわかるんだ馬鹿息子がああ!!」


「だから謝ってんだろうがクソ親父!!」


 拳と拳が激しくぶつかり、取っ組み合う2人 ボスがヴェイドを投げ飛ばし、ヴェイドがくるりと柔らかく受け身を取って起き上がる そしてまた殴り合う


「怪我でもしたらどうすんだ!!このっ!!」


「いってえな! 言ってる事とやってる事が矛盾してんだよ!!」


 親子の闘いは激しさを増していく、桃子はその光景を見て思った


「なんか… バカバカしくなってきたわ」


「おっ!その境地に至るなんて今までで最速っすね!」


「うむ、桃子殿もなかなか肝が座っている」


「ふん あのバカ親子は放って置いて構わん、んなことより魔導モービルを中へ入れるのを手伝え若造」


 ロッドがそれを聞いて、ハイ来たと言わんばかりに操縦室から飛び出し、通路を抜け先程のエレベーターを降りてガレージへ、魔導モービルに合図を送り格納する


「オーライ!オーライ!は~い!オッケーっす!」


 目印のラインに魔導モービルを止めると、手慣れた様子で車体と荷台の数カ所にチェーンを取り付け、レバーブロックをカリカリと締める 魔導モービルに乗っていた運転手がエンジンを止めて降りてきた ゴーグルを外し首にかけて髪を片手でバサバサと荒く整える 


 『イザナ』銀髪のセミロング、つなぎの上半身を腰に結び、白のタンクトップを着て左腕に皆と同じバンダナを巻いている、切れ長の目26歳 両耳が火傷したように丸まっている


 女性のようだ、とてもスタイルが良い


「イザナさんお帰りっす」


「はぁ…なんでアンタらはジッとしてらんないのかねぇ」


 イザナは呆れた様子でロッドを見ている ロッドは気にせず明るい表情


「はははっ ヴェイド兄さんが大物を見つけたんすよ〜」


「へぇ で、その大物はどこにあるんだい?」


 イザナが辺りを見渡すが何も無い ロッドがバツが悪そうに目をそらした


「それがちょっとぉ ははは…」


「はぁ… 別にアンタらだけで捕らえられるとは思っちゃいないさ」


 イザナはタバコに火を着けてエレベーターに向う ロッドがレバーブロックをカリカリしながらイザナに話す


「あ!そうだイザナさん えっとぉ…異世界人?って言うんすかね? 1人乗せたっす 操縦室に居るっすよ」


「異世界人? お伽噺じゃあるまいし ロッド、荷台に食料があるから厨房に運んどいておくれ つまみ食いしないようにね」



「了解っす!」


 イザナは『異世界人』という非現実的な言葉を気にも留めず、エレベーターに乗り、部屋を出て操縦室へ向かって歩きだす、何の事だかわからないがとりあえず操縦室で何かやっているのだろうと思ったのだ


 イザナが歩いていると、その操縦室の扉が勝手に開き、そこから桃子が出て来て外に居るヴェイドに大きな声で話しかけた


「ちょっと!いつまでやってんの!?」


 それを見たイザナが驚いた表情でタバコをポロッと落とす 桃子がイザナに気付いて慌てて体裁を整えた


「お、お邪魔してます…ははは」


 桃子はイザナの容姿を見て、先程までの男臭い連中とは違い、なんて綺麗な女性なのだとポーっとして、つい見とれてしまった


「本当に乗ってたんだね… アンタが異世界人?」


「あ、えっと…はい…」


 イザナが変な服装の女を見て、たしかにここらでは見ない奴だと思った それと同時に、男所帯に女が居ると面倒なので釘を刺す事にした


「まぁいい… アンタ、変な気を起こすんじゃないよ? わかってるね?」


「え? あ、はいっ! 女同士で変な気なんて! だ、大丈夫です!」


 イザナは、この子ちょっと頭がアレなのかと思い、少し気を許した


 ボスがヴェイドに馬乗りになって殴りかかる


「ええ…ちょっヤバ!」


 その様子を心配そうに見守る桃子


 イザナは気にせず操縦室に入り、中に居るエドとグランツに文句を言う


「アンタら あんまりボスの神経逆撫でんのやめてくれないかねぇ」


「おおイザナ 桃子殿とはもう会ったのだな?」



「桃子?… ああ、あの変な子? どうしたんだいアレ」


 イザナは扉から見える桃子を親指で差し、呆れた様子でいる


「なんだ、その様子では自己紹介はまだのようであるな 桃子殿!こちらへ来ていただけるか!」


 桃子が後ろから聴こえるエドの声にビクッとしながら振り向き、操縦室へ入る


「あ、はい!」


 エドが親切にもイザナを紹介してくれる、この男は見た目に似合わず紳士的だ


「こちらが桃子殿、わけあって異世界から来たらしい、そしてこっちがうちのイザナである 2人共女性であるから身の回りのことはイザナに聞くと良い 我々にはわからん事も多かろう」


「よ、よろしくお願いします!」


「ふぅ まぁいいよ そうだねぇ…とりあえず こっちにおいで」


 桃子は『おいで』という言葉にめっぽう弱い、しかもそれが男勝りのクールで顔の整ったスタイル抜群の綺麗な女性となると尚更、自分の中の不思議な扉が開きそうな気がしたが、先程釘を刺された事を思い出し我に返った


「はい!大丈夫です!」


「何がだい?」


 桃子はイザナの後を追って通路を進み、エレベーターのある扉を通り過ぎて、ガンバル号の後部に到着した


 そこには扉があった、その扉には荒々しい花柄がペンキで書かれている、このガンバル号のメカメカしい装甲に似合わず1つだけ異彩を放つイザナの部屋の扉である


「ここがイザナさんのお部屋ですか? 可愛い扉ですね」


「この扉はボスが… いや、この扉以外同じ作りだからね、間違えて勝手に扉を開けるバカが居るからこうなったのさ いいかい?部屋に入るけど、別にアタシの趣味じゃないからね」


読んで頂き感謝です( *・ω・)

そんなあなたの今日の運勢は小吉です( *・ω・)


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