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ミジンコへ転生〜異世界行ったら無理ゲーだった〜

作者: LMN

 俺はそこら辺にいる無職。今日も川べりでonecup片手に鳥を見守る日々。

「なんて世界は美しいんだ。ズズッ」

俺は今この瞬間のために生まれてきたんだろうな。


俺は普通に生きていたらこうなっていた。多分、生粋の無職体質なんだろう。

ああなんていい気分だ、生きてるって素晴らしいな!そうだ!

「生きてるって素晴らしい!」

そう叫んだところで俺の意識は途絶えた。


気がつくとそこは真っ白い空間であった。

周りを見渡しても何もなだだっ広い空間。

そこへ真っ白い"何か"が近づいてきた。


「ああなんて哀れなニート、恋人はおろか友達さえいない一生。挙句死因はどこからか飛んできた野球ボールによる脳震盪。正確には川に落ちて誰にも気づかれずに窒息死ですけど。こんなの不幸すぎて目も当てられません。転生する機会を与えましょう。」


「なんだって?転生!?そ、そんな、なろう小説みたいなことがあるのか?ていうか俺死んだの?」


「あなたには望む能力で次の人生を謳歌してもらいます。何か希望はありますか?」


「じゃ、じゃあ、とりあえず不死身で力も強くしてくれ、あと知能もとびきり高くして。あ、いや、頭が良すぎるとそれはそれで困ったりするのかな、それじゃ、やっぱりそれなりの知能と、あとはなんといってもハーレム体質だよな!あとはお金も無限に生み出せるようにして、で、それと...。」


「さ、さすがに物理法則を無視することはちょっと無理です。ハーレム体質なら運命を変えればできなくはないですけど。あとは能力をどのレベルにするかですね。」


「え、なに、無理なのチーレム?普通それぐらいできなきゃダメじゃない?」


「そこまではちょっと...。」


「じゃあいいよ、能力は平均値で、あとはそれなりに幸福な人生が歩めればそれでいいや。」


「では能力は平均値、ハーレム体質、あとは幸福な人生。これでよろしいですか?」


「あー、ちょっと待って。」


ーここで俺は思い出す。確か平均値だと偏りが出るから中央値の方がいいんじゃなかったっけ?

伝説の校長もそう言ってくれてるはずだ。


「やっぱり能力は中央値で。」


「それでは、能力は平均値じゃなくて中央値ということで問題ないですか?」


「大丈夫だ、問題ない。」


「ほ、本当にいいんですか?」


「あー大丈夫、問題ないに決まってるだろ?キラーン☆」


「ではそのように設定しておきます。第二の人生に幸あれ。」


そういうと真っ白い”何か”から光が差し、俺はもう一度意識を手放した。




そして目が覚めると、俺はミジンコになっていた。

俺はミジンコのあの部分をカキカキしながら水中をただよっている。

未だに現状が認識できない。いや、したくない。なんだよミジンコって。



ミジンコ生活一日目

未だに現状は認識できない。

俺は...俺はミジンコなのか?誰か、誰か教えてくれ、俺は誰なんだ?



ミジンコ生活一週間目

最近はミジンコの生活に慣れてきた。

そしてなんといっても彼女ができた、ほら、あそこでカキカキしているよ。

受け入れてしまえば案外気楽なもんだ。ただ水中で漂いながらたまにプランクトンを食べればいい毎日。

昔じゃ考えられない。それこそ、夢のような日々じゃないか。はははははははは。



ミジンコ生活一ヶ月目

..........。

....。

................。

助けて。



ミジンコ生活二ヶ月目

俺の子供がどんどん巣立っていく。前までカキカキしているだけだったのに。立派になって。いや、今もカキカキしてるだけか....。俺は、俺は疲れているのか?



ミジンコ生活三ヶ月目

今頃になってようやく気づいたが、俺はミジンコの中でも長生きなようだ。そして子供も多い。

転生特典であるハーレム体質と幸福な人生、その二つがどうやら作用しているようだ。

今生きているミジンコたちのほとんどは俺の子供だ。俺はこのままミジンコの王になる。



ミジンコ生活四ヶ月目

ついに俺はこの水中一帯のミジンコ達の王となった。

そして俺は誓った。ミジンコ達が輝ける未来を作ると。ミジンコ達のための未来を作ると!

配下のミジンコもその声に合わせてカキカキと答えてくれる。

絶対に幸せにしてみせるぞ。



ミジンコ生活五ヶ月目

輝ける未来を作るという私の願いは早々に打ち砕かれた。

どうやらメダカが周辺に住み着いたようだ。

はじめにブルースが死んだ。続いてケビンも。

そしてこの頃は、多くのジン民が相次いで喰われている。

そこで我々は、奴らに復讐することにした。もちろん私も参加する。時は一ヶ月後、全面戦争である。



ミジンコ生活六ヶ月目

とうとう今日が来てしまった。今日が戦いの日だ、

私は老体に鞭を打ちながら仲間の元へと向かった。


「今日、奴らとの戦争が始まる。我々は長い期間奴らに苦しめられてきた。しかし、それも今日で終わりだ!それはなぜか。それは我々が立ち上がったからだ。我々が今ここにいるからだ!今日!ここで!我々は奴らを倒す!」


私の声を聞いて皆も奮い立ってくれた。カキカキと応えてくれている。

思えば長いジン生だった。私はここで死ぬだろう。しかし後悔はない。こんなにも晴れ晴れとした気分は久しぶりだ。




「ああ生きてるって素晴らしい!」

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