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表記本体その1-直接表記

 ここでは「これはとつぜん起こった出来事なんですよ」とベタに書きあらわす、あるいはそれに準じた書きかたを取りあげます。


 この書きあらわしかたについて、本稿では「直接表記」と命名しました。この命名は、出来事そのものを書きあらわす「出来事表記」と対比させた命名です。……はい、「もっといいネーミングはないのか?」とは、私も思っています。


 それでこの「直接表記」については、さまざまな作品から「時系列表現」、「メタ説明」、「記号表記」の3技法を抽出しました。




◆時系列表現

 時の流れに関する状況を「とつぜんなのだぞ」と明記して、書きあらわす技法です。これは単純なので、10作品から拾った具体例を列挙します。


「そのとき」、「ふと」、「ふいに」、「突然」、「唐突に」、「いきなり」、「その途端」、「次の瞬間」、「○○した瞬間」、「○○した直後」、「すると」、「と同時に」


 えっと記載順序については、なんとなく分類して並べてはありますが、大した意味はありません。

 一作品のなかで、これらを複数さまざま使用するものもあれば、ひとつだけ使用するものもありました。今回調べた範囲では、「そのとき(その時)」が圧倒的に使用頻度が高かったです。個人的にも、使いすぎを意識する言葉です。


 この「時系列表現」についてはある気づいたことがあって、それをネタに語ってみます。

 とある一人称小説が、「ふいに」のみを使用していたのです。ありがちな「そのとき」が見当たりません。これは偶然ではなく意図的だと思いました。

 一人称小説は、文体自体も主人公の人となりを反映させるものだと思います。それには、本稿で検討している「とつぜん」の書きあらわしかたも含まれるのでしょうね。

 さらには一人称小説のなかには、主人公が移り変わる多元視点の作品もあります。この場合、主人公によって「とつぜん」の感じ方も当然異なるでしょう。書きあらわしかたにも変化を付けるべきだと思います。

 一人称多元視点の小説。

 作者にものすごい表現の引き出しを求められそうですが、いつか書いてみたいものです。




◆メタ説明

 これからスペシャルなことが発生するぞと、そのまま地の文で宣言する技法です。

「それが、すべての始まりになった」みたいな文章です。「そのとき歴史が動いた」なんかも該当するでしょう。


 この技法は三人称視点、その中でも神視点や無視点の作品での使用が基本になります。渦中の人物に、現在進行の出来事の歴史的評価はできないはずなので。

 応用的には一人称視点や三人称一元視点、多元視点の作品であっても、たとえば作中人物が回想している場面などでは利用できると思います。




◆記号表記

 これは記号を用いて、急展開が生じることを予兆する技法です。

 代表的なのは、地の文や会話文の文末をダッシュ(――)で終える書き方です。「体言止め」という用語に(なら)うと、「ダッシュ止め」とにでもなるのでしょうか。そんな用語は、存在しないようですが。

 三点リーダー(……)で終わる事例もありますが、とつぜん感は弱まります。

 いずれにしても文章を途中でぶった切り、それを記号で強調して、「これから何かが起こるぞ」と匂わす用例がいくつもありました。




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