はじめに
わたしが『なろう』を知ったのは、骸骨が主人公のアニメがきっかけでした。もう7年も前の話になりますね。最初の2年ほどは読み専として百以上の作品を読みあさったのですが、そこから書き手にまわって数作品ほど長編や短編を投稿しました。文字数としては80万文字以上になります。
このように下手の横好きで小説らしきものを書いていると、「こういうの、どう書きあらわせばいいのだろう?」と思うことがいくつも出てきます。今回取りあげる「とつぜん起こった出来事」も、そのひとつ。
もう少し具体的に記すと――
ある「出来事A」が進行している。
出来事Aと連続性のない「出来事B」が発生する。
出来事Bにより話の流れが変わり、「出来事C」が進んでいく。
――という、よくある展開です。
「そんなの、難しく考えなくたって書けるやろ?」と言われると、それはその通り。1回や2回、3回や4回は書けます。
でも「とつぜん起こった出来事」は、もちろん作品によりますが、もっと多くの回数、発生するのです。
それらが同じような書きあらわしかたになってしまい、「芸が無いなあ」と嘆き、「ほかに書きあらわしかたはないだろうか?」と気になるのです。
加えて、「とつぜん新たな出来事が起こったということを、読者に理解してもらえるだろうか?」という点もよく気にかかります。
とつぜん起こった出来事はそれまでの出来事と連続性・関連性がないので、ともすると意味不明の文章になってしまいがちなのです。緊迫感をもたせたいシーンは長い文章を避けたく、描写は簡潔に済ませたいですし。
一読者としてもそうした展開に出くわし、「どこかで何かを読み落としたのだろうか?」と、前の文章を読み返すことがままあります。
こうした事情から、「とつぜん起こった出来事」の文章表現について、ざざっと取り組んだ次第です。
まずやったのは定石、初手、ネット検索。書きかたそのもの、ハウツー解説がないだろうかと探しました。でも検索語の設定から難しい。見つけられそうな手応えがなく、すぐに断念しました。
そこで自力の考察を決断。手元にある書籍化された小説数作品にあたり、それらの表記事例をもとに書きあらわしかたを整理していきました。さらに勢い余って、こうしてネットに公開することに。
なのですが、筆者には、国語や文学の教養はありません。用語の使い方など、いろいろ不正確だと思います。あしからずご了承ください。それ以前に、すでに確立された分析やら理論やらが存在していると思うのですが、なにしろ見つけられていません。
あと調べたといっても10作品を斜め読みしただけであり、しかもその半分は電子書籍のサンプル版です。それでも調査の後半には新たな知見を得られなくなって、約50用例を抽出したところで、「もう、いいかあ」となりました。出来事がとつぜん起こっている箇所って、目次やキーワード検索で探し出せるものではないんですよね。なかなかつらい作業なのです。
――などと書いていると本稿がいい加減な内容のようですが、筆者自身としては押さえたかった範囲や深さは考察できたかなと評価しています。
それでは、言い訳というか予防線を張るのはこれくらいにして。
興味をお持ちいただけたかたは、引き続きお付き合いください。