第2話 呼吸 ⏯
1話目話が少ししか進んでませんが楽しんでいただけましたでしょうか。
この小説ですが若干ショッキングな内容となってますのでご注意ください。それでは。
金峰の話で持ちきりでホームルームは終わった。
ホームルームが終わると我こそはと必死に話しかける人が殺到した。
みんなキャッキャッしながら自分が先に先にと話したがっている。
私はそれがウザったいので教室を出て廊下で鈴と凪の三人で話していようかと思い、立ち上がった。
しかし―
金峰「あ、蜜さん、次の授業なんだけどどこまで進んでるか教えてくれる?」
場の空気が一気に固まった。
目立つ事をしたくなくてずっと端っこで生きてきた私に痛い視線が送られる、ように見える。
ただでさえ主要な女子グループから離れて仲いい人は少ないのに敵を増やすのはゴメンだ。
蜜「皆さんのほうが詳しそうですから、皆さんに聞いてください。」
そう言い放った瞬間。女子達がフンと鼻を鳴らし、金峰に話しかけようとした時、一瞬時が止まるような感覚を覚えた。
ーーーーー ーー ー
金峰「蜜は国語成績優秀のくせに」
ーーー ーーーーーーー ーー
蜜「え…?」
女子生徒『ねえ私が教えてあげる!』
女子生徒『うちもうちも!』
金峰の一言がまるで何事もなかったように女子生徒たちは口々に教えてあげると媚を売り始めた。
……確かに国語ではさほど悪い点数はとっていないが、どうしてそれを知っている。
転校初日でどう知り得た?
…いやしかし先生から隣の席の人について話をしていたかもしれない。
この男については深く考えたくはない。
ついさっき、金峰が再会を口にするおかしい妄想をしてしまったからだ。
私はそそくさと廊下に出て凪たちと話に行った。
▶▶┃
最初の授業は国語で、一応教科書を貸した。
ただし、誰もが想像する机をくっつけて教科書は一緒に使う形ではなく、完全に金峰に貸していた。
私には教科書の教本があったので教科書はほぼ必要ないのだ。
金峰は「つれないなぁ」とイタズラに言い放ったが、正直この際女子グループに目をつけられない為には何でもする。
私なんかいつも通りの日常に水を差されるのはゴメンだ。
少し授業中に小声で話しかけられた。
金峰「蜜さんは男苦手なの?」
蜜「苦手ではないですが、金峰さんのようなAPP高そうな人は話しかけただけでも人に恨まれそうなので話したくないです。」
金峰「………そういう理由ねぇ」
金峰は苦笑いし、天井を見上げた。
正直隣には凪もいるので惜しいのだが席替え早くしてほしい。
席替えはあと二か月待つ必要がある。
蜜「……イヤだなぁ」
蜜はポソッと声に出してしまった。
金峰「……………」
それに対して金峰がとても曇った顔した瞬間、
ーー ーーーザッーー ーーザザッーー
ーーーー…ョクーーー
女子生徒「キャー!!!」
突然、教室の女子生徒が立って叫びだした。
それにつられて周りの生徒もバッと自分の席に離れようとした。
女子生徒「虫!ジー!ジー!!」
彼女らがいう"ジー"というのはおそらくあの忌々しい黒い塊だろう。
しかし席は右斜め前、遠いところで確認はできないし、直視はできない。
流石にこっちまでは来ないだろう。
来ないだろ……
女子生徒「飛んだ!飛んだぁ!」
蜜「え?」
黒い虫らしき塊が私の顔めがけて飛んできた、
ー と当時は認識した。ーー
咄嗟に身構え目をつむる。
バシッ!!
特に当たった感触はなく、そっと目を開くと金峰の細い腕と拳が目の間に伸びていた。
金峰「蜜、大丈夫か?」
蜜「へ…?あ…はい………」
…強く目をつぶったせいか少し目眩がする。
今の目の前が揺れた感じは何だったんだろうか?虫ごときで涙が出たのだろうか?
女子生徒『わぁぁあ…!かっこいい…!』
女子生徒は黄色い声をあげた。
金峰「すいません、先生…俺手を洗ってきます。」
ーーほんとはーーに言ーーしいーー
┃◀◀
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今日未明、高校生の「ーみ ザーー」さんが、
ーーーー
ーー突然連絡が取れなくなりーー
ザーー血痕がーーー
ーー現在ー捜さク中トのことでス
ーー ーーーーーー ーー ーー ーー
とれたて!北海 ザーー ウ産究極梨メロン!
『ミパちゃん』参 ザー u!
土曜夜7時絶賛 ザー 中!!
ーーー ーーザーーー ーーーーザザッーーー
ーーーーー ーーー
▶▶┃
放課後、私はとても清々しい気持ちだ。
金峰は大勢の女子に捕まって身動きが取れなくなっていたからだ。
それに巻き込まれることは無く、凪と鈴と三人で放課後学校近くにお出かけすることになった。
凪「いやー…蜜、かっこよかったよね!」
蜜「何が?」
凪「いや!蜜、金峰を救ったじゃん!」
蜜「あー……ジーのこと?」
鈴「聞いたよ凪に!そらもう見事に綺麗なジー裁きだったとか!!」
蜜「いや……私は咄嗟に飛んできたものを掴んだだけで……」
そのあとは死ぬほど手を洗っても気持ち散々だし、金峰にベッタリくっつかれるし、普段絡まない女子生徒たちには"英雄"って言われて絡まれるし。
蜜「別に金峰さんの顔面に当たっても私は…」
別に問題なかったと言いかけた時に、背の高いガッシリとした男性と軽くぶつかった。
●REC
ドンッ
?「ぬぉ…すまん……痛くなかったか?」
蜜「はい…こちらこそすいま………涼じゃん!」
涼「なんだ蜜か!凪たちと買い物か?」
蜜「そうそう、凪たちと!」
彼は菅原涼。
大人顔負けのガッシリとした体格、高身長でバスケ部をゆるゆるとやっているが、バスケの試合は迫力満点でもはや実力はエースに当たる。
中学からの知り合いだ。
彼は気さくで優しくて、いつもそれなりに甘えてばかりだ。
凪たちは私の顔を見て少々ニヤニヤしている。
思わず少し高い目の声が出てしまった。
焦ってるからかな。
鈴「涼くぅーん?蜜のことは早い目に"シュウカク"しといたほうがいいぞぉー?」
蜜「は?」
涼「あはは、"シュウカク"なぁー。そうかもしれないな!」
蜜「"シュウカク"って……なにをそんな…」
言ってる事は分かるようで分からないが、ガハハと豪快に笑う彼。見ているとすごく癒やされる。
凪「ていうか、涼さんは今日部活じゃないの?」
涼「部活サボった!ブラブラするつもりだったんだ」
鈴「うちらの蜜をお貸ししましょうかぁ?」
凪「それに今噂のイケメンを助けたおかげで割とイケメン目をつけられてますよぉ?ここで取り返したほうがいいぞぉ?」
二人はニタニタしながら涼の顔をのぞく
涼は少し眉を歪ませて
涼「それは聞捨てならないな。密を借りよう。」
と急に腕を掴んできた。
密「え、でも二人」
涼「今日は、借りることにしたんだ。」
後ろの方で二人が、
「まいどありー!」
とはやし立てていた。
友達を売るとはまったくなんなんだ。
■
邪魔者が。
これで2話は終わりです。
登場人物5人出てきましたが……冒頭でこれくらい出してもいいものですかね?
次回もよろしくお願い申し上げます。