第六話
僕の日常は委員会決めの後からさほど変わることもなく、いつも通りだった。しいて変わったことといえば周りの変化だ。最近、特に男子から話しかけられることが多くなった。女子からではないことがとても僕らしいけれども。というのも、今まで教室の隅にいたような僕がみんなの先頭に立つ人間になったため、みんなが興味を持ったのかもしれなかった。こんな興味は一時的なもので時間が経てば忘れ去られていくたぐいのものだということは分かっているのだが。
それから一週間がたつと、副委員長として初めての仕事がきた。それは、生徒会に赴くというものだった。そこで決めなければならないことがいくつかあるらしい。面倒だなと思いつつ、これは佐倉さんとの関係を深めるチャンスだと思い、できるだけ行動を共にしようと思った。
当日の昼休みとなった。僕はいつもならお弁当を信ちゃんと一緒に食べるている。昼休みの過ごし方として学食に行く、お弁当を教室で食べる、購買でパンを買ってそのまま体育館でバスケをするなど、いくらかの選択肢があるが、僕は一番お利口で親孝行のお弁当を選択している。しかし、今日は佐倉さんとともに生徒会室に行かなくてはならない。折角なので、一緒に向おうと思った。
「佐倉さん、一緒に生徒会室行きませんか?」
と僕は佐倉さんが一人になったすきを見て話しかけた。
「うん、そうしましょうか。」
と彼女が答えた。
それからは、普通の会話をしながら生徒会室に向かった。しかし最後に
「山田くんも私と同じで推薦で副委員長になったわけであるけれど、それについてはどう思ってるの。」
と途中で聞かれた。正直に言うと、佐倉さんとお近づきになれてうれしかった(任務上)となるのだが、そんなことは言えずにどう答えるか迷っていると
「私はね、本当は委員長になりたくなんかないんだ。私普通なのに、なんでみんな私を推薦するんだろう。」
と自らの意見を言ってきた。かなりネガティブな発言なのでどう返答したらよいのかわからなかった。けれども、女性は褒められるとうれしいということを聞いたことがあったので、そのマニュアル通りいこうと思った。
「佐倉さんはしっかりしているし、頭もいいじゃないか。それでみんなは尊敬してて君を推薦したんだと思うよ。」
さあ、どうだ。僕はかなり褒め上手だろう?そう思っていたのに、佐倉さんは
「まあ、そうだといいんだけどね。」
といいながら、涙が出そうな顔になっている。僕は、やっちまったのかもしれない。
「そろそろ生徒会につくよ。」
そう僕が言うと、彼女は黙ってうなずき、涙を拭いた。