第三話
僕に何を手伝ってほしいのだろう。霊能力者の彼女が僕に何を?正直見当がつかなかった。
「僕に何をしろというんだい?」
「山田くんには、悪魔を追い払ってほしいの。」
「あ、あ、あっ、悪魔ですか!?」
「うん。悪魔を追い払うことは私にはできません。何度も挑戦しましたが、私の力では到底できない。だから山田くんの力を頼ろうかと、、、。」
「僕に到底出来っこない気がするんだけど、、、。」
「おそらくこういうのが得意だと思ったので、あなたに依頼しました。」
と神木さんは少し顔を赤くしていった。僕は少しドキッとした。さらに、神木さんは続けていった。
「この前、『もし君に悩み事とかあったら僕に言いなよ。解決してやるから。』って言われたんで、素直にそうしました。そのとき、ちょっとかっこよかった、、、。」
「うん、、、。」
僕は今更、恥ずかしくなってきた。いつ言ったのだっけ?無意識にそんなことを言うなんて調子に乗っていたに違いない。けれど、かっこよかったのならいいとしよう。
「それで、どんな感じで手伝えばいいんだ?」
と僕が尋ねる。
「そうだね。悪魔に心をむしばまれている人を見つけたら、その人の悩みを解決してほしいの。」
「なるほど、不安とかを取り除けばいいんだな。わかったよ。」
「えっ、本当にいいの?」
と彼女は少し驚いたように言った。
「僕はうそつきにはなりたくないから、手伝うよ。」
とまたかっこつけてしまった。
「ありがとう!本当に。」
と目をキラキラさせていってくる。正直言ってかわいい。
「おう。それで、悪魔ってのは人間に取りついてどうしたいんだ?」
と僕は神木さんに聞いた。
「悪魔は人間の心のスキに入ってくるの。それで少しずつその人の心を吸い取っていって強くなっていく。最終的にはその人の心が消えてしまうの。そして悪魔は他の人に乗り移って、また同じことを繰り返す。それを止めないといけない。」
と神木さんは言った。正直、実感のわかない話だった。
「要するに、悪魔は本当に悪魔だってことか。わかったぜ、、、。」
すると、急に彼女は悩ましい顔をしてボソッと言った。
「学校のうわさのことを知ってる?」
僕には本当に聞いたことがなかったので、
「知らない。」
と答えた。
「それならいいの。」
と少し怪訝そうな顔で言った。その後、続けて言った。
「早速だけど、新しい任務を伝えていいかしら?」
うんとうなずくと彼女は笑った。