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スピリチュアル  作者: ふくたん
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第一話

僕は今、桜の舞い落ちる桜通りを久しぶりに歩いている。今の僕の気分は、この景色と対照的に最悪だ。僕の至高にして頂点であった春休みは終わってしまったからだ。ただただ高校を卒業さえすればいいというレベルの低い目標のために、これから高校に通わなくてはならない。つまり、今日は僕が大嫌いな日、始業式である。なんでそんなに学校が気に食わないのかと多くの人に聞かれるけれど、まず勉強が好きではないのだ。それなのに毎日、6時間も授業を受けなくてはならない。そのうえ、部活をしてインターハイを目指しているのであれば、目標があって日々楽しく努力できるかもしれない。しかし、それさえ僕にはないというのだから、この結論にたどり着くのは至極まっとうな感じがするのである。

 しばらく歩いていると、

 「よお、久しぶり!ジャスティス!」

 と僕の少ない友達の一人である、上山信うえやましんが話しかけてきた。彼はひょろっと背が高くて、顔がかっこいいから、女子から人気があるらしい。僕はそのことが気に食わないけれど、こうやっていつも仲良くしてくれているので、感謝していたりもする。そんなことは口が裂けても言えないが、、、。

 「よお、元気にしてた?信ちゃん。」

 と僕は言った。言うのを忘れていたけれど、僕の名前は山田正義やまだせいぎという。だから、信ちゃんは僕のことを英語でジャスティスと呼ぶ。それが嫌なわけではない。しかし正直言うと、正義って自分の性格とあっていないなと思っていて、親のネーミングセンスを疑わざるを得ない。

 「まあまあかな。」

 信ちゃんはそういいつつ思い出したようにさらにつづけた。

 「今日、クラス替えあるぞ!同じクラスやといいな。」

 確かに、そうだった。今日はクラス替えの日でもあった。僕たちの高校は、コースが分かれているが、そのコースでも多くの人数がいるため、一年ごとに適当にシャッフルされる。僕はそのクラス替えという行事を何とも思ったことはなかった。なぜかというと、たいていの人と仲良くないし、そこまで共演NGの人もいないからだ。でも、信ちゃんとは同じクラスだとありがたい。誰も知らない人ばかりのクラスに入るのは少し気が引ける。

 「そうだね。」

 と僕は少し笑顔になって言った。


 その後、僕たちは学校につき、クラス替えの公示を見に行った。すると、めでたく僕と信ちゃんは2年連続同じクラスだった。

 「イエーイ!」

 と信ちゃんと僕は、ハイタッチした。少し学校に来てよかったと思った。


 教室につくと、やはりメンツが変わっていて今までと全く違うように見えた。形が同じでも人だけでこんなに雰囲気は変わるのかと思うと少し不思議な気分になった。けれど、今まで通りのことをやっていれば、無難に今年一年やり過ごせる。そう思っていた。


 しばらくして、朝のチャイムが鳴る。そういえば担任が誰か聞かされていないなと思うと、

 「みなさん、おはようございます。席についてください。」

 と新しい担任が入ってきた。英語の武田先生だ。僕はあの人に目をつけられている。僕は成績の悪い隠れ問題児だった。しかも、武田先生はとても厳しいので僕の天敵だと思っている。

 「まじかよ、、、。」

 と周りのみんなも文句たらたらで席についているようだ。


 「みなさんに一つお知らせがあります。うちのクラスに転校生が来ました。今から自己紹介をしてもらおうと思います。」

 と武田先生が言った。教室はざわつき始めた。どんな人なんだろうとか、男子か、女子かなどを議論し始めた。誰も聞いていなかったみたいで、少し驚いた。こういうのはたいてい、情報網と呼ばれる人たちがあらかじめリサーチをいれていると思っていたが、春休みということで情報が伝わっていなかったのかもしれない。僕ももちろん知らなかった、例外なく。信ちゃんの方を見てみると必死の形相で祈っていた。きっと美少女が来ますように的なことであろう。僕もまあそんなことしか考えていない。


 すると、がらがらと教室の扉を開ける音がした。みんなが一点に注目した。


 そこには神秘的できれいな顔立ちをした女の子がいた。


 「私の名前は、神木霊花かみきれいかです。よろしくお願いします。」

 とか細い声で言った。僕たち男子は心の中でガッツポーズをしたに違いない。こんな美人が本当に来るなんて。


 そして、彼女はそう言った後、無表情で席に着いた。僕の隣だった。席が空いていたのは休みではなく、転校生の席だったのか。隣を見ると目が合った。

 「はじめまして。」

 と神木さんが僕に言ってきた。

 「はじめまして。」

 と僕は赤面をしながら返す。

 

 なんだか今年は楽しくなりそうだ。そんな予感がした。


 それからというものの、神木さんのことを思うと妄想が止まらず、いつもは寝ている武田先生の授業でさえ眠らなかった。僕にもとうとう春が来てしまったのかもしれない。

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