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俺は何にも悪い事していないけど、お前一体何なの?

作者: かおりん

「俺、ゲームすんの辞めるわ!」


「……みぅ……辞めんの?何で……」


「お金かかるしね、勿体ないじゃん!」


「……そうなの?本当にもうやんないの?」


「やんない! これからは小説書く事にするよ!」


 ある日、私の大好きな人が、突然ゲームをするのを辞めてしまった。あんなにもゲームばかりしていたのに……。


 私自身、毎日忙しくてあまり一緒に遊んでいなかったけど、本当は一緒にゲームして遊びたかった。もうやらないって宣言したから、彼と一緒に遊ぶ事は出来ない。


 これからは、彼は他の事をするらしい。でも、たったそれだけの事なのに、何だかとても寂しい気持ちになった。






「……あれ、何してるの?」


「ツイッターだよ!」


「……そうなんだ!……」


「何でやってるの?」


「小説の宣伝のためにだよ!」


 いつの間にか、別の事も始めていた。私には、知りもしない、全くよく分からない世界だった。


 小説をやりだしたんだもんね。頭ん中では理解はできる。読んで貰うためには必要なんだもんね。


  でも、彼が、どんどん私から離れて行く……どんどん遠くへ行ってしまう。そんな気がして、胸が締め付けられ、苦しくなって、私は一人隠れて沢山泣いた。






 隣にいる彼の袖を掴む……


「……きゅう……つまんないよ……」


「なら、好きな事すればいいじゃん!」


「好きな事何にも無いんだよね。 一緒に遊びたかったのにな! どんどん遠くへ行っちゃう気がする……何だか寂しいな!」


「何それ、ずーっと一緒にいるよ!」


「それはわかってるけど……」






 ……数分後……


「ねぇー、ねぇー、つまんない!」


「好きな事すればいいじゃんか……」


「……だって……!」


「なら、俺に小説書くの辞めろって言ってるの? ゲームしてお金かかるけど良いの?」


「ごめん……」






 ……数日後……


 小説なんて書けないけど、書くことにした。だって一緒の事がしたかったから。大好きすぎるんだもん! 一緒にゲーム出来ないなら、私だって小説書くしかないよね。才能何か何にも無いけどさ、人間出来ない事何かないよね。


 ツイッターも教えて貰って始めてみることにした。だってつまんないもん! 大好きな人が、どんどん遠くへ行ってしまう気がするのが辛すぎた。


 ずーっと一緒に居たいって、そんな考え方がおかしいのかもしれないけど、依存してるからかな! ごめんね。でも、同じ事がしたかったんだよね。


 彼と 同じ事をして、同じ趣味を持てば、彼と同じ会話ができて、心の何処かで、大好きな彼に少しでも近づけるような気がしていた。






 ……一週間後……


 彼はいつも通り、イヤホンをして、音楽を聴きながら私の隣で小説を書いている。邪魔をしたらいけないから、彼に話しかけたりしないようにして、私も静かに隣で小説を書く。


 でも、彼と同じように小説を書いているけれど、何故か無言の空間が寂しかった。私の心は苦しかった。彼は私の隣にいるのに、私は寂しさに押し潰されそうになっていた。それに耐えるのが必死だった。


 声をかけてはいけない!そう思ってるのに、寂しすぎて、気づいたら、つい声をかけてしまっていた。


「私、一緒に居ない方が良いよね。別の部屋に行こうかな……つまんない……」


 一緒の空間に居たいのに、私は一体何を言ってるんだろう……。自分にイラついた!言ってしまってからでは、後戻りが出来ない。心の中で思ってるだけで我慢すべき事何のに。

 

「やっぱり、やって欲しくないんだね!」


 彼に目を向けると、物凄く怒っていた。


「ごめんなさい。そんなんじゃない!」


 もう、訳がわからなくなっていた。私が言った一言が原因だ! 気付かず言ってしまう程なのだから、其れが本音であるだろう事は間違いなかった。言い訳何かされても困るだろうけど、それなのに、言い訳をする私がいた。





 ……一ヶ月後……


 この生活に中々慣れずにいた。彼はずーっと小説を書いている。休みの日は家で書き、仕事の日は職場で空いた時間に書いている。


 ツイッター仲間だってどんどん増えているらしい。私は全く増えもしないけど、彼のフォロワーは、私の何倍もいる。


 彼と同じ話がしたくて、小説もツイッターも初めて見たけど、同じ会話なんて全然なかった。


  彼は小説の事はツイッター仲間と会話しているらしい。教えて貰ったからだけど、彼は小説仲間と個人的にメールで会話している事を知った。


 其れは、仕方の無い事だった。私なんかじゃ意味が無いから。


 そんな事分かっていても、何だか寂しい気持ちが増した。日に日に増していく感じがして、そんな自分が物凄く嫌だった。


 死んでしまいたい気持ちになる程、自分で自分を追い詰めていた……。






 ……三か月後……


 彼が個人的に会話してる人に、欲しいものリストから贈り物をした事を知ってしまった。彼が話してくれたから、私が知る事になったんだけど、出来れば知りたくなかった。


 私より年下の女の子に送っていたのだ。感謝の気持ちらしいけど、私はそうは受け取れなかった。絶対、彼は彼女に好意があるとしか思えなかった。


「もう、して欲しくないな!」そう伝える。


「わかった。次はしないよ!」そう答えた。


 何だか不安な気持ちになって、悲しくなって、自分を抑えらんなくなって自分の腕をひたすら引っ掻いた!


 私、おかしいのかな! ヤバい奴かもしれない。そう思えたけど、彼が好きすぎるから、離れたりしなかった。彼は、こんな奴、離れても良いと思っていたかもしれないのに……。






 ……半年後……


 あの日の出来事は、忘れていない!


 嫌だった思い出って消えないんだなって実感している。


 彼はあの日以来、ゲームは全くしていない。私の隣でずーっと小説を書いて、毎日投稿までしている。


 私は全然投稿すらしてないし、たまにしか書いていないけど、一応続けている。


 それなのに、私は、彼と同じ事をしているはずなのに、寂しい気持ちは、全く消えることがなかった。


 其れは、私が彼に依存しすぎているからだろう。私は、彼との距離を保つために、心の中で、我慢も大事なんだって思うようにしている。


 だから、耳掻きしてってお願いされたら、絶対してあげる! 彼のために何でもしてあげる! 其れが私の生き甲斐になっているから。






 でも、裏切りは突然やってきた!


 彼はまた、彼女に贈り物をしていた。


 たまたま見てはいけないスマホを見て知ってしまったのだ!もう死にたくなった。


 スマホ何か、勝手に見るもんじゃない! 良い事何かないんだから。それなのに、見てしまった自分がいけない事は、凄くわかっていた。分かっていたけど、彼を責めてしまった。


「感謝の気持ちであげたんだ。お世話になった人だったから、お歳暮みたいなもんだよ」


 彼はサラッと一言私に言った。


 私には理解出来なかった。やっぱり彼女が好きなんだ! 絶対私より大事な人なんだ! そう思った。


 私の精神状態はおかしくなり、また自分の腕を引っ掻いた! やってはいけないと分かっていても止まらなかった。止められなかった。ついでに何故か涙が止まらなかった。






「ごめん! 嫌ならもうしないよ!」






 彼は謝ってくれた。それでも、私は彼を責めてしまった。そのせいで、彼に凄く怒られた。


「俺は何も悪い事はしていない! 悪い事をしたとは思っていない! こっちは謝っている。それなのに責めてくる。怒りすぎ! 怒る人は嫌い」


 私がおかしいのだろう。彼とは、仲良くなりたかった! それを望んではいけない事なのは分かっている。


「ごめんなさい! 怒ってごめんなさい!」


 大好きな人とずーっと一緒にに居たいから、私は何故か必死で謝った。


 一体私は何なのだろう……。


 もっと大人になりたいです。


 


読んで頂きありがとうございました。

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