表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オートマタで異世界征服  作者: Scarlett_Knight
1章
3/4

最初のイベント

新キャラが登場しまーす


 ユリース国王からの正式な依頼でユリース王国南東に突如現れたダンジョンの探索をすることになった。メンバーは俺、アルベルト・ミラーと妹のシャーロット・ミラーの2人になる。

 ダンジョン攻略には普通は5人パーティーだが、ダンジョンウォーカーというスキルを持っていることが前提となる。そのスキルはエクストラスキルなため保有者がダンジョンを観光資源や軍事に利用するユリース王国でさえ1000人しかいない。数だけ聞けば多く見えるが、他の国では100を切るのが普通である。

 ダンジョンウォーカー持ちの冒険者を雇うのには高額な依頼金がいるため、探索の場合は雇わないことが多い。


「おにいちゃん、出来たばっかりなのか、ほぼ洞窟…」


 出来たばかりなのが理由なのかダンジョンらしいトラップもモンスターハウスもない。


「俺が先行する。シャルルは後ろにつけ」


「うん」


 シャーロットの前を懐中魔導灯を頼りに奥へと進む。

 しばらく歩いてシャーロットへ止まれの合図を出す。


「なにかいたの…?」


「足音だ。それも人に近い」


 突き当たりの左方向からコツコツと足音がしているのが聞こえた。音からしてハイヒール、冒険者がそんなわざわざ動きにくい靴を履くはずかない。


「相手が味方か敵か分からない。もし戦闘になったら、鈍足をかけてすぐさま離脱するぞ」


 盾を構えてゆっくりと足音がする方向へと歩いていく。角を曲がると足音の主がいた。


「あれ…?人だ…!」


 音の主は俺たちを見つけると走りよろうとした。


「と、止まれ!」


 音の主はビクッとして立ち止まる。


「あ、ご、ごめんなさい…」



 音の主もとい女性はオロオロしながら謝る。

 豊満な胸、光すら反射する白銀の髪に病的に白い肌…まさかだが…


「いいか、大人しくふたつの質問に答えるんだ」


 指を2本立てて言う。


「名前を言え」


 女性は少し困ったような表情をする。何か考えていたが、決心したようだった。


「私の名前…前世では沢山雪華、現世の名前はマリンスノー」


 マリンスノー…ユリース王国以外にも古くから伝わる伝説の魔女。前代未聞の猛暑の時には己の魔法によって人々を救い、悪しき者を氷漬けにし、ユリース王国と交友関係を持ち始めた頃には度重なる帝国の侵略から護ってくれていた存在らしい。

 最も、人族であるため寿命でその生涯を終えたとされている…されていたのだが、目の前に立っている。そして、前世の名前も答えている。まさか転生…?


「えっと、どうかした…?」


 黙り込む俺を見て女性が少し不安になったようだった。


「な、なんでもないっ!ふ、2つ目の質問だ。二つ名を答えろ」


 女性はしばらく考える素振りを見せたが、「氷結の魔女」と答えた。容姿は伝承通りで二つ名も伝承通り…。やはり…


「敵ではないよね…?」


 妹が最も重要なことを聞いた。そう、敵であれば今ここで戦闘になり、味方ならば王の元まで案内しなければならない。


「私は敵じゃない」


 その一言に安心して肩の力を抜くが、マリンスノーの背後から少し引きずる足音が聞こえてきた。


「あ、紫苑ちゃん!?」


 マリンスノーは後ろを振り返り、紫苑ちゃんと呼ばれた少し背の低い長い銀髪の少女の元へと走っていった。

 俺達もそれについて行く。





----------------------------





 私は何とか立ち上がれるところまで来たが、歩くとなると壁を支えにしないとまともに歩けない。また、五感は未だに完全に回復せず、目の前がぼやけて見える程度だった。

 辛うじて感じる雪華の気配を頼りに洞窟内を進んでいく。すると、雪華の声と共に抱きしめられる感覚がした。


「紫苑ちゃん、動いたらダメでしょっ!」


 抱きしめられた私の頭に雪華の涙が落ちる。動くもなにも心配で心配で仕方なく歩いてきたのだ…


「マリンスノーさん、その人は…?」


 男の声が聞こえ、もう1人その男以外の気配を感じる。雪華は私の事で頭がいっぱいなのか男の方を無視。

 私が鈍い頭をフル回転させてると…


『現世の案内人シリウスが起動します』


 アナライザー…いや、「シリウス」が再起動終了を告げると同時に不調だった体調が即座に回復する。回復した私は雪華から離れる。


「あれ…?紫苑ちゃん…?」


「ありがと、雪華。もう大丈夫」


 肩を回したり屈伸したりする。動きは問題なし。五感に関してもしっかり戻っている。


「マリンスノー…いや、雪華さん、その人は?」


「自分で自己紹介する」


 私は自分でここまでの経緯を説明する。前の世界で男によって焼き殺されたことや神によって転生させられたことなど。


「転生者…ということか」


 男は何処か納得してない部分かあるようだった。


「前世の名は明智紫苑で、今の名前はアテネ…偶然にしては容姿もだが…」


 彼が納得いかないのはユリース王国に伝わる伝説の人物と名前と容姿が酷似していることらしい。名を騙るだけならまだしも容姿が似ているとなると混乱しても仕方ない。


「まぁ、何かの偶然だろう」


『私がお答えします。これは偶然ではなく必然です』


 洞窟内に鈴の音を鳴らしたかのような澄んだ声が響き渡る。


「だ、誰だ!?」


 アナライザー…いや、シリウスの存在を知らない男は周りを警戒する。女子の方はびっくりして男の方の後ろに隠れる。


『失礼しました、私はシリウス。雪華様の秘書です』


「シリウス、そんなこと頼んだ覚えはない」


『…』


 まぁ、秘書でもいいような気がするけど、私はそんな偉い人ではない。

 ちらっと男の方の顔を見ると青くなっていた。もちろん女子の方もセットで。


「し、失礼しましたっ!全知の神シリウス様とは知らずの御無礼、何かと御容赦をっ…」


 地面がえぐれる勢いでの土下座。神様に向かって誰だとか言った日には…まぁ、知らなかったから仕方ないと思うけど…


『気にしなくていいです。挨拶もしてお話も聞きたいのですが、雪華様、アルベルト・ミラー、妹のシャーロット・ミラーには今すぐここから逃げなくてはならない状況にあります』


 空中にこの洞窟…いや、ダンジョンの地図が表示され、その入口から沢山の赤丸がこちらに向かってるのが見える。


『現在、盗賊団がここの存在(ダンジョン)に気づき、掌握しようとしています。現在紫苑様がダンジョンマスターとなっているためダンジョンが盗賊団の手に落ちることはありませんが、紫苑様を含めた全員に危険が迫っています』


 目覚めてそうそうこれと来たか。


「シリウス、逃げ道は?」


『このダンジョンの入り口は合計2箇所ですが、紫苑様達が出現した際に何者かによって破壊されました。偶然だと思われます』


「お兄ちゃん、足音が…」


 シャーロットが兄アルベルトに引っ付く。


『私達がいることには気づいているようです。囮として男を残せば殺され、女を残せば犯されます。私から進言する最善策は…』







----------------------------






 まぁ、そうなるとは思った。私は今、ダンジョンの中で倒れた振りをしている。すぐ側にはリビングアーマーとゴブリンも倒れさせてある。数の帳尻はあっている。

 大まかな設定としてはダンジョンに迷い込んだ私がゴブリンと交戦した後にリビングアーマーと刺し違え、瀕死になっているという感じだ。雪華たちはダンジョンに横穴を作り、そこに入ってもらった。穴とは言いつつ、雪華の魔力をDPに変換して召喚した快適装備を沢山つけてるため、何週間でも居れるようにしてある。

 話が逸れたから戻す。そして、盗賊団は私を見つけ女だから(なお見た目のみ)アジトに連れて帰るだろうと踏んでいる。シリウスとしては無生物だから犯される心配がないから適任としている。



「親分!女子(おなご)が倒れてるでやんす!」


 噂をすればなんとやら、盗賊団の一部が現れた。私を真っ先に発見したのは頭にタオル巻いた猿顔の男だった。


「おい、女よりリビングアーマーが倒れてるぞ!これ売ると高いんだよなぁ…」


 私にでは無くリビングアーマーに反応したのはハゼ顔の痩せ男。うん、まんまハゼだろ。

 そして、猿顔に呼ばれて登場したのが親分。ゴリラみたいな体つきに豚の頭を乗せたような容姿だ。これは、オークと言っても問題なさそうじゃないかな?


『彼は人族です』


知ってるし。


「ぶひっ、いい女じゃないかぁ、ひぶっ、ぶふぃひひ…アジトで思いっきり遊んでやるっひぶ」


 まんま豚だぁ…。とりあえず、この盗賊団を動物盗賊団と仮称しておこう。その頭は豚太、猿顔は猿猴(えんこう)、ハゼ顔はハゼとしよう。ハゼに関してはハゼでいい気がした(名前が思いつかなかったのは内緒)

 ハゼと猿猴が豚太の支持を受けて私を2人がかりで抱きあげようとしたが…


「お、親分、こいつめっさ重いんでやんすっ!」


 猿猴はあまりの重さに腰を痛めたらしく、壁に手をついていた。


「ぶひっ、ぼき自らやるぶひっ」


 ハゼと猿猴は頻繁に水浴びをしてるのか、そこまで臭わなかったが…豚太、お前は何年風呂入ってないんだって言いたくなるような悪臭を放っていた。


『提案します。嗅覚無効を実行しますか?』


 あるなら早く言えっ!嗅覚を無効にしてくれ。これだと頭がおかしくなりそう。


 豚太(悪臭野郎)は私を軽々と持ち上げる。そして、私を連れてアジトへと向かう。


次回は主人公に濡れ場があります

飛ばしても問題ないように書く予定です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ