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オートマタで異世界征服  作者: Scarlett_Knight
1章
2/4

異世界入り

 暗闇と静寂が辺りを支配する。それに加え水の中に浮かんでいるような浮遊感が身体を包む。あぁ、私は死んだのだ。そして、ここは地獄か天国の狭間なんだろう。

 大体とち狂ったファンにあんなこと(家に放火)されるなんて誰が想像する?私は何も悪くない。雪華なんてもっとだ。いや、そもそもあれはファンですらないか。念願のアニメ化はほぼ決定…そして、動くアテネやアテネと敵の白熱の戦いが見れるはずだった…こればっかりは未練でしかない。


「やるせない…」


 私が呟いた言葉は闇に吸い込まれていく。本当にやるせない。


「あぁ、クソっ!!」


『世界が憎いか?』


「いいや、世界は憎くない」


『彼に復讐はせぬか?』


「復讐しても私が死んだことも雪華が殺されたことも変わらない。」


『ふははは、中々の神経じゃな』


「笑いたければ笑えばいい。私は雪華と一緒にいることができるのなら、彼女のことを守れるのならそれだけで十分」


『その願い叶えてあげよう』


「は?」


『文字通りだ。いや言葉通りか』


「はぁ…?」


『紫苑、君は君が愛した「アテネ」に、雪華はその相棒になるはずだった「マリンスノー」に転生させてあげよう』


「まさかだけど作品の中に…?」


『ふははは、流石に魔神…いや君たちの世界では神と呼ばれる存在だとしてもそれは出来ない。形を模した物で転生ならできるがね』


「そんなことはどうでもいいから早く雪華に会いたい」


 私は雪華に会いたいことばかりが頭にあり、今話している相手が誰か聞くことも考えることも失念していた。


『ふふっ、君もとことん雪華のことが好きなのか。彼女も隣に寝かせてある』


「べ、別に好きなんかじゃっ!」


『さぁ、行きたまえ。そして世界を救うのだ』


 突然始まり突然終わった謎の会話。私は結局最後まで相手が誰だったかを考えようとも問おうともしなかった。

 周りを支配していた闇が徐々に薄くなり、身体を包む浮遊感は徐々に消えていった。









----------------------------






 まず、転生と聞いて想像してたのは暖かいベットの上で目覚める事だった。実際、床の感触はベットでもなく完全に石。時より耳にピタッと雫が落ちる音が入る。まさかと思ってゆっくり目を開けると案の定薄い暗闇であった。隣には人の気配を感じる。私の隣には私より少し背丈の大きいであろう女性が横たわっていた。

 私は立ち上がり、当たりを見回して微かに光るものを発見する。近づいてみると何やら宝石のようなものであった。興味本位で触れてみる。触れた瞬間今まで暗がりだった空間に明かりが灯る。


「んっ…うん…?」


 その灯りで隣に横たわってた女性も目を覚ました。


「あれ…紫苑ちゃんは…?どこ…?ここどこ…?」


 その声は聞き間違えることの無い雪華の声だった。声だったのだが…


「あれ?これマリンスノーの服…あ」


 反応に困ってた私と目が合う。


「紫苑ちゃん…?」


 私は無言で頷く。


「紫苑ちゃん…!」


 雪華もといマリンスノー…いや、マリンスノーもとい雪華?どっちでもいいが雪華が豊満な胸を揺らしながら私の薄い胸に飛び込んできた。


「紫苑ちゃん、怖かったよ…」


 私は無言で雪華の頭を撫でる。雪華はなにかを思い出したかのように突然頭を上げる。


「あれ?紫苑ちゃんのふかふかおっぱいはどこいったの?」


 私は無言で雪華の胸を指差す。雪華は自分のが大きくなってることに今更気づく。そして、傍にあった水溜りに顔を写して驚く。


「あれ?なんでマリンスノーになってるの?あ、今思ったら紫苑ちゃん、アテネになってるね」


 こいつ、神かなにかは知らないけど、そいつの話を一切聞いてないみたいだ。いや、それよりアテネの姿になっている私を見てなぜ紫苑とわかったのかがすごく謎だ。


『解、沢山雪華は神が話しかけた際気絶していました』


 突然私と雪華の脳内に声が響く。私は周りを見回したが明るくなった洞窟内では私と雪華以外見当たらない。


『解、私は固有スキルのアナライズです』


「紫苑ちゃん、まさかの…」


「異世界てn」


『解、言うまでもなく異世界転生です。補足、紫苑は先ほどダンジョンコアに触れたためダンジョンマスターになりました、更に補足、ダンジョンマスターになったことにより固有スキルアナライズがアナライザーに変化したことにより…』


「長いっ!」


 アナライザーは私が言おうとしたことを遮り、異世界転生宣言をしやがった。小説家であろうが、男であろうが、女であろうが、みな憧れるあの宣言を…私は最後まですることが出来なかった。

 そして、私が先ほど触れた宝石はダンジョンコアだったらしい。


「アナライザーはお前は何が出来る?」


『解、ステータス確認、マップ確認等』


「私と雪華のステータスを見れる?」


『解、可能です。開示します』


 何も無い空間に文字が並び始める。



--------------

アテネ(明智紫苑) Lv.1 種族 オートマタ


STR 125/250

AGL 150/ 250

VIT 95/250

INT 100/250

DEX 110/250

LUC 50/100


HP 2500

MP 1500


称号

転生者 ダンジョンマスター 復讐者を狩る者


武器

・ダガーナイフ

・ワイヤーアンカー

・太刀


スキル

・拒絶の盾

・マキシマイズ


固有スキル

・大賢者

・タッチドレイン

・ダンジョンマスター


エクストラスキル

・アナライザー




--------------


 これは強いのか?とりあえず、全体的にバランスがいいことは分かる。


『解、ストレンジアジリティ型のアタッカーで、そこそこ強いです』


「あれ…?紫苑ちゃん人じゃないの…?」


 私は雪華に言われてもう一度表示されている種族を見て驚く。私はついに人間をやめ機械人形(オートマタ)になってしまったらしい。まさかと思い、ズボン?パンツ?の中を覗き絶叫した。







あるはずのものがない






 転生前が男だった訳では無いけど、女子に…というか、生物に必ずあるはずのものが無い。言いたいけど、言葉にするのがはばかられる。とりあえず、想像に任せる!


『解、オートマタは非生物なので生殖機能はありません。また、飲まず食わず寝ずでも活動出来ます』


 私は異世界に転生し、恋愛すら出来ないオートマタに転生してしまった。頭を抱えて呻く私を雪華のが優しく抱く。


「私はどんな紫苑ちゃんでも好きだよ…?」


「ななななな、何言ってんだよ!?べ、別に私は…私は…」


 私は完全な不意打ちで取り乱してしまう。嫌いって聞かれたら好きって答えるし、好きって聞かれてら別にと答えてしまう。いや、好きだよ!本当に本気で好きだよ!?でも…恥ずかしいし…

 私の顔は目に見えてどんどん赤くなっていく。そして、ついにはオートマタの癖に頭から湯気が出始める始末…


『次、対象雪華、表示します』


 そんな私を見かねたアナライザーが助け舟を出す。いや、無視しただけか。




--------------

マリンスノー(沢山雪華) Lv.1 種族 ハイエルフ


STR 25/250

AGL 150/250

VIT 10/250

INT 5000/250

DEX 4500/250

LUC 250/250


HP 400

MP 1500000


称号

転生者 氷結の魔女


武器

絶対零度之杖アブソリュートゼロロッド

・イージスの盾


スキル

なし


固有スキル

・魔導大図書館の司書

・雪原の大賢者


エクストラスキル

・氷結の束縛



--------------




 しばらくして落ち着いた私は雪華のステータスを見る。


「一言で言うとチートだ」


 雪華はレベル1にしてカンストを''オーバー''するとかいう狂ったステータスを持っている。MPに至っては100万を超えている。


「アナライザー、これはどういうこと?」


『解、彼女は''人ならざるもの''であるため人類を基準としたステータスでは表示できないだけです』


 種族はハイエルフにはなっていて、魔法の実力は魔王とかそのレベルらしい。比較対象としてそこら辺の魔物を出すと人間のステータス表示だとカンストオーバーはざららしい。ステータスを見たついでにスキルの説明もしてもらったので、始めに私が持っているスキルから見ていく。


 拒絶の盾は物理、魔法に関わらず攻撃を完全無効化。持続時間は(Lv.n)^2でクール時間は1時間。


 マキシマイズはリミッターを解除して瞬間的に限界まで力を出せる技で継続時間は10秒で使用後は状態異常『麻痺』が入る。


 大賢者は魔法スキルの獲得促進。


 タッチドレインは触れた相手からスキルやHP、MPを奪うことが出来るスキル。なお、触れないと使えない模様。


 ダンジョンマスターはその名の通り、ダンジョンの管理者であり、ダンジョンコアに触れることによって獲得出来るスキル。ダンジョンコアの起動に際し、意思があるものの場合、その場をダンジョンとするか別の場所で作るかを選べれる。意思が無いものの場合、その場で形成される。また、ダンジョン内(ダンジョン内部もしくはダンジョンフィールド内部)で狩った魔物や人はダンジョンを形成するのに必要なDPやダンジョンレベルを上げる経験値になる。


 アナライザーは世界の理にアクセスし、相手のステータスを開示したり、物体の情報を見たりできる。また、スキルの統合や進化もすることが出来る。


 スキルとはそれに関連するものを全て統合する物に当たる。例えばブレードスキル内にはハードアタックなど「技」に相当するものがある。しかし、同じスキルでも使用出来る技が違ったりするため、スキルだけで判断するのは愚行である。

 続いて雪華のスキルも確認していく。


 魔導大図書館の司書はこの世に存在する全ての魔法を使うことができる。しかし、レベルによってロックされてる場合がある。


 雪原の大賢者は氷属性の魔法に特化して攻撃力を上げ、詠唱時間を0にする。


 氷結の束縛は氷属性の魔法しか使えなくなる


  ステータスがチートだったから、てっきり大量のスキルがあったと思ったが、かなりスッキリしている。魔導大図書館で全ての魔法を使えるかと思ったら、氷結の束縛で氷属性しか使えないという。夏はクーラーで涼しく出来そうだけど。

 

『提案、紫苑様アナライザーと大賢者の統合が可能ですが、実行しますか?』


 統合…つまりスキル同士の合成である。利便性が向上したりさらに強力なものになったりする。


「あぁ、お願いする」


『了解。固有スキル大賢者とエクストラスキルアナライザーを統合しハイエクストラスキル「現世の案内人シリウス」に進化しました。追加、アナライザーは固有名詞「シリウス」が与えられました。更に追加で「シリウス」の人格形成のためアナライザーが再起動します』


 アナライザーがそう告げるとMPがゴリゴリ消費される感覚に陥る。少しフラフラと立ちくらみがし、雪華にもたれ掛かる。


「ごめん、肩貸して…」


「大丈夫…?」


 私は無言で首を振る。とりあえず時間はかかりそうなのでしばらく待機することにする。

 ふっと雪華の顔に不安が浮かぶ。タイミング的には私の体調のことでは無さそうだ。


「ねぇ、紫苑ちゃん…話し声がしない…?」


 私は言われて耳をすましてみる。しかし、「シリウス」への移行のためか五感が著しく低下してるらしくほとんど聞こえなかった。私は首を振って否定した。


「気のせいかな…うーん、確かめてこようかな…」


 私は迷った。私は今度こそ雪華を守らなければならない。でも、ステータス的には雪華はほぼ無敵。私がここで止めるのはただのエゴでしかないのかもしれない。だけど…


「ふふっ、大丈夫だよ、紫苑ちゃん。私だって強くなったんだから」


 雪華は私を床に寝かせ、頬にキスをする。私は雪華へと手を伸ばそうとしたが力が入らなかった。


「雪華…生きて帰って…きて…」


 私は遠ざかる雪華の背中を見届けた、あと意識が途切れる。


4日おきぐらいで更新出来そう

まぁ、ゆっくりと更新していきまーす

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