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お味噌女子でも恋はします!  作者: 北山 歩
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第1話 出会いは突然に…

 『今日もまた夜勤か…はぁ…週に3回はきっついなぁ…』と思いながら、入院している患者さんに声をかけ、体温・血圧・今ではTVドラマでもおなじみとなった『サット』と呼ばれる血液中の酸素濃度を測定し、ノートPCにインストされている電子カルテに数値を入力しながら、各病室をラウンドしていると…


 救急センターから容態(ようたい)が安定した『倉橋修一』さんという男性の患者さんが、ここ5階の消化器内科病棟に送られてきたんです。


 一見(いっけん)すると、無精髭(ぶしょうひげ)をはやした、どこにでもいる男性に見えるのですが、人と違うものが見える私には、彼の魂の色が他の人とは全く異なり『白や赤、金や黒等の色が混ざり合い輝いている』のが『ハッキリ』と見えたんです・・・


 普通の方の魂の色は大抵は1色で、多い人でも3色です。なのに、この『倉橋修一』は9つの色があったので大変驚き、興味を持ちました…


 その後、夜勤を終え2日後の日勤業務の日、早く『倉橋修一』さんの部屋に行ってみたかったのですが…


 「一色さん、今日熱っぽいんだけど、氷枕お願いできます…」

 「はぁーい…加藤さん少し待ってくださいね…今持っていきますからね…」


 「凛ちゃん、すまない!トイレに行きたいから、ベッドから起こしてついてくてくれるかね…」

 「はぁーい…井原さん少し待ってくださいね…加藤さんに氷枕持っていったらすぐ行きますからね…」


と忙しく患者さん達の対応をすませ、私は『倉橋修一』さんがいる病室に向かいます。


 私の勤務している病院では大体そうなのですが、『倉橋修一』さんの部屋は救急センターから移動してきたばかりということで、やはり個室でした。


 ドアを叩き…挨拶を済ませて入室します…


 「失礼します…倉橋修一(しゅういち)さん お体の具合はどうですか?」


 部屋には、看護ベッドの上半身部分を斜めに上げ、上半身を起こし、開けた窓から外の景色を眺めている『倉橋修一』さんの姿がありました…


 『倉橋修一』は、窓から入り込む日差しを浴びて逆光となっているせいか、どこか悲しげな、心がここにないような切ない表情を見せながら、でも懸命に笑顔を作り、


 「あっ…担当の看護師さんですね…どうも、駅の階段で足を滑らせて、そのまま下に落下したみたいで…お恥ずかしい話です…この通り体調も良くなりました…」

 「えっ…えっと、まだ救急センターから、この病室に上がってきたばかりなので無理しないで下さいね…あとでまた検温(けんおん)しにきますから…」

 「‥はい…宜しくお願いします…」


というと再び、窓から外の景色を眺めている『倉橋』さん、その倉橋さんの肩やベッドの周りには、普通の人には見えない、私が『シロマル』と呼んでいる体長10cmぐらいで、真ん丸、白くて綿菓子のような妖精達がたくさん集まっていました。


 私は、病室から出てドアを閉めようとした瞬間『ハッキリ』と見たんです!

 

 倉橋さんが右の手のひらに乗った『シロマル』を見つめ、何か話しかけたいたところを…


 この私以外にも、『シロマル』を見ることができ、しかも話ができる人がいるなんて、小学生の時は見えないものが見えることで『嘘つき』呼ばわりされ、女子高時代は自分の能力を人に知られるのが嫌で、3年間誰とも口を聞かず、看護師になりたての頃は『不思議ちゃん』と呼ばれ、現在は『お味噌さん』と呼ばれる私…


 その時、全身が『ビクッ』となったんです!まるで電流が流れたみたいに…


 私こと『一色凛(いっしきりん)』、32歳にして…恋に落ちました…

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