絶望の淵
転生、それは死後の後にどうなるのかの選択肢の一つである。とはいえ、死んでないものにそれはわからなければ、現在生きているのが転生したものかどうかさえ分からない。
だが今ならわかる。突然死を迎えた私になら…。
訳があって死んでしまった私、如月夏樹は正真正銘のJKである。まあ、今となってはその言葉すら現実味を帯びないが…この赤子の体では…。
訳というのはまあ、後々話すとして、まずはこの状況から話をしよう。この世界は地球ではない。それは現在目の前にいる者たちを見ればわかる。
頭からは大きな角が多少曲がるようにして空に向かって伸びている。背からは純白の巨大な羽さえある。
彼らが人間でないのは見ただけで分かる。そして、会話を聞くとどうやら私の両親であるようだ。つまり、私も人間ではないことになる。生まれ変わっても人間には決してなりたくなかった私にとって、これほど嬉しいことはない。できれば自由気ままな猫になりたかったとしても…。
普通のJKが赤子になるという事は、自分で思うように動けないのですべての世話を周りの大人に任せるという事だ…。それは、排泄物の世話も例外ではない。羞恥心で死ねそうなほどだ。
そんな幼少期を送ること八年、私のこの世界での名は、ユーレ・ミシェリアという。そしてここまでのせ勝で分かったことだが、私は両親に嫌われている。なんでもこの世界では、黒目黒髪は忌み嫌われる対象のようだ。他の人はブロンズや美しい金色の髪をしているのにたいして、漆黒ともいえるこの髪や瞳は大いに不気味だろう。
裕福であるはずのこの家においても、私の存在は雑に扱われている。私が普通に暮らしているのは牢屋だ。
また私はこんなところで死んでしまうのか…。
そう思った時だ、目の前が一瞬にして白くなったのは…。