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友達が最近おかしくなった理由  作者: ***
一章 中等部三年時代〜高等部前
2/5

*アイシャーリン視点

*がつく話は、ラシファ(本編)じゃない視点の時につけようと思います。

よろしくお願いします。

 私が一番昔に記憶しているのは、私の五歳の誕生日会が開かれた時だった。


「公爵家たる者背筋をしゃんと伸ばして、お客様達にニッコリ笑っていなさい」

 と、幼い私にお母様が言い聞かせた。


「はい、お母様。私、良い子にしてますわ」


 私は主役であるが、幼い為挨拶回りをあまりしなかった。私は一人庭でボーッとしていた。

 会場には有力貴族の親子や、公爵家にお近づきなりたい者などが溢れていた。

 そんな中、同じ爵位を持つハーディア公爵家の公爵とその娘、昔のラシファが私達の席に挨拶をして来た。


「こんにちは、アイシャーリン嬢。本日はお誕生日おめでとうございます。大きくなられましたな、こちらは私の娘です。同い年ですよ?ラシファ、ご挨拶しなさい」


「はいお父様。初めまして、私はハーディア公爵家令嬢、ラシファ・ハーディアですわ。本日はお誕生日おめでとうございます。」


 どきり、とした。胸が高鳴る気持ち。

 ラシファは他の子より身なりの質が良く、更に品があり、令嬢としてはお手本の様な雰囲気だった。


 公爵は初めてではないが、私とラシファの初めての出会いだった。


「ご丁寧にありがとうございますわ。私はガルガット公爵家令嬢、アイシャーリン・ガルガットですわ」


 丁寧に返した。

 私は無意識のうちにぎゅっとラシファの手をぎゅっと握った。


 ラシファは、淡い茶色の髪色に、少し赤が混じった茶色の大きな目は少し吊り目で、近づき難い雰囲気の目鼻立ちがとても整えられている少女だった。


 まるでお姫様みたい!、幼い私はそう思った。


 握られた事に驚いたのか、ラシファは大きな目を更に大きく見開いていた。


「…アイシャーリン様?私、あの」


 戸惑う隙を覆う様にお願いしてみた。


「私達、一番のお友達になりませんか?」


 一番の仲…これからに影響してもおかしくない二人の令嬢の会話だった。


「え?…でも……」


 ラシファは彼女の父親に目をやった。彼女の父親はニコリと頷いた。


「やっぱり駄目ですか?ごめんなさい…我儘ですね…」


 幼い私は、考えも無しに言ってしまった事を今更ながらに後悔した。貴族に生まれたからには、一言一句考えながら下の者をまとめて行かなければならない。

 しかも今話している相手は貴族の間でも一番身分が高い、私の家と同じ公爵の爵位だ。

 下手したら噂になるかもしれない、少し様子を伺う私であった。


「い、いいえ!いいえ!!お友達になりましょう?アイシャーリン様」


 そっと優しく握り返してくれた。

 ラシファはきっとその頃から賢く、冴えている子供だったのだろう。公爵という身分が同じだから、家の利益の考えもあったのかもしれない。


 こうして、私とラシファは宣言通り、一番の仲になったのである。


 ***


 私が学校で行われた高等部の説明で、前世の私が遊んだ事のあるゲームの世界だと気づいた時から二日後。


 私は『未来の王妃失格作戦』をそんなこんなで実行していこうと思っていた。


 私は第一王子殿下、クリス様の婚約者である。


 ゲームの内容は高等部の一年の春からヒロインが転入生として王都魔術学園にやってきて、私ことアイシャーリンが嫉妬からヒロインを虐めるのだが、 それぞれの殿方から助けられ、最終的には私の婚約者のクリス殿下とくっつく。私は婚約破棄されて、国外追放や、処刑、幽閉など、ヒロインの選択次第で残虐な死に方にもなる。お役目御免というヤツなのだ。

 そしてシナリオを教科書とし、頑張って行くのが、作戦の内容だ。


 しかも、クリス殿下以外とはくっつけない。殿下一筋のピュアな愛が売りとなっている。


 他の殿方たちは、それぞれ個性的、なおかつハイスペックなのだが、友達以上、恋人未満の少し危ない関係で、物語はおわる。


 昼休憩の頃。

 呆れつつも頷きながら話を聞いてくれる淡い茶色の髪色の彼女は、今日も私になんだかんだで構ってくれていた。(ラシファには婚約破棄までは大まかに話した。作戦は話していない。)


「殿下とは朝は失敗して抱きしめられましたが、お昼は必ず距離を絶対取りますわ!」


「アイシャーリン、ですからね、殿下にはお見通しですわ。それに私達二人で叱咤を受けてしまいますわ」


「むっ!そう言いつつ、ラシファは笑顔ですわ!殿下と一緒に怒るつもりですわよね!」


 まぁ、うふふと誤魔化されたが、良い笑顔である。


 しばらく談笑していたが、殿下から誕生日プレゼントに頂いた指輪が光出したのに気づいた。


 後で説明されて思い出したのだが、殿下が私を探している時などに、指輪に込められた殿下の魔力が、殿下ご自身が持つ魔力に共鳴して、光るものだった。


 後で、と言っても殿下が現れてしまってからなので、『未来の王妃失格作戦』への道のりには遠のくばかりだ。


 殿下のお膝に座り、頭を撫でられつつの、反省だった。

 すると、少し寂しがってるだけなのに色っぽい憂い顔になった殿下が、私を見つめていた。


「どうしまして?クリス殿下」


 そっと上を見上げた。クリス殿下のお美しいお顔が、下から覗ける。今は私と一緒にいて頂ける、ずっとなんて当てにならないけれど、婚約破棄しても楽しくお側で過ごせたら…、と思う。そんな事ありえないのは分かるけど。


「いや、アイシャーリンが珍しく考え込んでるなぁ…って思っててさ、アイシャーリン、隠し事ない?」


「な、隠し事?!作戦ぐらいしかありま…やっぱり何も無いですわよ!!」


 作戦?という風にジトッと二人に見られた。いけない、二人にばれたかもしれない。


「あとでお話しようか、アイシャーリン?」


「いや、あの殿下…ラシファあぁぁ…」


「私は、殿下のご意見を賛同しましてよ。アイシャーリン、未来の国母が殿下に隠し事はいけませんわ。そうでございましょう?殿下」


 ラシファはニッコリと淑女の顔になっていた。

 あ、絶対分かって言ってる。顔が笑顔だ。未来の、ってわざわざ言っている時点で、婚約破棄しない前提なのだろう。


 ラシファは婚約破棄を反対している?


 私の事を思ってくれているから、反対しているの?


 色んな想いがぐるぐる回って、最終的には曖昧になってしまった。


 そして、殿下がこういう風に言う時は、大抵生徒会室に放課後、呼び出しをされる時だ。殿下は私より二つ上の高等部二年だ。しかし、王族の中での王位継承権が一番早いため、特別に生徒会の会長になっているのだ。


 結局、その日の放課後に生徒会室に呼び出しをされ、殿下とラシファに国母とは何かを問いただされたのであった。


 私は、間違えた事はしていないはず。シナリオと今は違うけれど、やりきらなきゃ。

 一番大きな目標は、ヒロインと殿下をカップルにするのだから!!


 明日の王妃修業やだなぁ…。



王都魔術学園は日本の学校の様な感じです。春休み、冬休み、夏休み等あります。(ゆるい設定が多々あります)

ラシファとアイシャーリンは家から通っています。(寮選択自由)

読んで頂きありがとうございました。

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