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65話 「事件解決、人形逮捕」


 「ううぅ、胡蝶ぉ」

 「よしよし、もう大丈夫だ」

 

 俺は胡蝶に膝枕されながら泣いていた。

 

 胡蝶は俺の頭を優しく撫でて慰めてくれる。それがとても心地よかった。

 

 畜生、情けねえ女の子に襲われて泣くなんて……本当に情けねえ。

 

 「胡蝶、もう大丈夫だ、ありがとう」

 

 俺は涙を拭って起き上がる、その時胡蝶は名残惜しそうだった。

 

 「ううう……ううっ」

 

 前から誰かの苦しそうな呻き声が聞こえる。

 

 「胡蝶……ちゃああぁん!!」

 

 呻き声の方向を見ると胡蝶に殴られたヒガンバナが恨めしそうな声を上げながらフラフラと立ち上がっていた。

 

 「ヒガンバナ、まだやる気か!?」

 

 胡蝶が俺を守ろうとするためか抱きしめてくるのを俺は手で制して代わりに俺の身体の後ろに隠すようにした。

 

 「胡蝶、俺がヒガンバナを止める、だから俺の後ろに居てくれ……もう油断はしない」

 「大我……わかった……ヒガンバナの事を任せる……私が殴ってあんなことにしてしまった……もう姉貴のあんな姿を私は見たくない」

 

 胡蝶は悲しそうに俺の背中に抱きついた。改めてヒガンバナを見ると酷い有様だった。

 

 殴られた衝撃で頭が身体と逆方向になり更には顔の肌のシリコンが半分破けて眼球と歯がむき出しになっていた。

 

 まるでどこぞのホラー映画の殺人人形のようだ。

 

 うわっ怖えぇ……胡蝶のやつ、どんだけ強い力で殴ったんだよ!

 

 「う、うわああああ!!」

 

 ヒガンバナは急に自分の姿に気がついて驚いたのか叫び声を上げながら両手で頭を掴みゴキゴキと嫌な音を鳴らしながら頭を元の位置に戻す。

 

 「はぁはぁ、よくもやってくれたわね胡蝶ちゃん……殺してやる」

 

 ヒガンバナが振り向きざまに凶悪な笑みを浮かべて睨んで来る。

 

 「ヒガンバナもう止めろ、もうすぐ古家さんが帰って来る、早くその顔を直して貰おう」

 「くくく、お父様がもうすぐ帰って来る? だったら早く始末しないと……あははは!」

 

 俺は優しくヒガンバナを諭したが意味がなかった。それどころか火に油を注ぐ形となった。

 

 「二人とも、死ねぇ!」

 

 ヒガンバナは地面に落ちているムチを掴むと俺と胡蝶に向けて振るった。

 

 バチン!

 

 「くっ」

 

 俺は胡蝶を庇いながら両手で顔をガードして耐えた。その際ムチの威力があまりにも強かった為俺の両腕の皮膚が裂けて血が吹き出した。

 

 強烈な痛みの信号が脳に達した後急激に心が冷めて来るのを感じた。

 

 ……もうダメだ、早く終わりにしないと……ほら見ろよ胡蝶を、悲しそうな顔で俺を見てるじゃないか、こんな顔をさせちゃいけない、だから……

 

 ……

 

 …。

 

 敵を排除しよう。


 再びヒガンバナがムチを打とうして振りかぶる。その瞬間脳が情報を処理する。

 

 見るところはムチじゃない、肩の動きを見ろ。

 

 ……。

 

 ……今だ!

 

 まさにムチを振り放つかそうじゃないかの瞬間を見極め俺は一気にヒガンバナに詰め寄る。

 

 「なっ!?」

 

 放ったムチは俺に当らず、そのままヒガンバナは俺に隙を見せた。

 

 「……きゃっ、んぐっ……ガハッ!」

 

 俺は淡々とした態度でまるで当たり前のようにヒガンバナに大外刈をかけて地面に叩きつけた。

 

 「ぐぐぐ……あああああああ!! ああああ!」 

 

 ヒガンバナは身体が丈夫なようで地面に叩きつけられたのにも関わらずまだ抵抗をしようとさけびながら俺に手を伸ばす。

 

 俺はそれを冷静に対処して伸ばされた腕を両手で掴み更に両足の太ももで挟んでやる。

 

 そして一気に身体を捻りながら横になり勢い良く身体を弓なりにさせて背筋を使い引っ張り上げる。

 

 腕十時と言う技だ。 

 

 ボキンッ。

 

 「きゃあああああ!! ……あっあああ……」

 

 勢い余ってヒガンバナの腕を折ってしまった。

 

 「う……うぁ……あっあぁ」

 

 ヒガンバナは目を見開き身体を痙攣させている。もうヒガンバナは戦えない。

 

 「……ごめんヒガンバナ」

 

 俺はただ一言そう言って起き上がると胡蝶に近づいて行く。

 

 「胡蝶……手加減できなかった、ごめん」

 「……いい……ぐすっ、良いんだ大我、お前は悪くない、だから自分を責めるな……うわあああ!」

 

 胡蝶と俺は互いに抱き合い泣いた。

 

 ……。

 

 「おい、大丈夫か!? 叫び声が聞こえたが……うわっ、青年どうしたんだ血まみれじゃないか!」

 

 しばらくしてボタンの捜索の為に通報して呼んでいた古家さんがやって来た。

 

 「あぁ、山木さん、俺は大丈夫ですよ」

 

 俺は大丈夫じゃないのに強がって見せた。

 

 「きゃああ! 大我さん、ち、血が」

 「えっ、繭さん……なんで!?」

 

 突然山木さんの後ろから俺の彼女の繭さんが出てきたので驚いた。

 

 「ちょうどこっちへ向かっている途中で寂しそうに一人で歩いていたから俺が一緒に連れて来たんだよ」

 

 そうだったんだ……繭さんに寂しい思いをさせちゃったな。

 

 「大我さん腕の出血を早く止めないと!」

 「あ、そうだ……けどどうしたらっ、痛え」

 

 俺の腕からは未だに血が流れ続けている。どうやら傷口を縫わないといけないみたいだ。

 

 「繭、いったいどうしたら良いんだ!」

 「え、胡蝶ちゃん? えっとそうね何が布が何処かにないか探してくれる?」

 「布だな? わかった」

 

 胡蝶が繭さんの指示を受けて辺りを探すがあるのは汚れた布だけだ。これでは傷口が化膿する恐れがある。

 

 「くそっ、どれも汚い、どうすれば……そうだっ!」 

 

 胡蝶は突然自分の着物の袖を引きちぎって俺の両腕に巻きつけた。

 

 「胡蝶、お前着物が……」     

 「かまわねぇ、手当が優先だ」

 

 胡蝶は淡々と作業を進める。

 

 「……っ、胡蝶ちゃん後は私がやるわ」 

 「え? あ、あぁ……繭、まかせるよ」

 

 繭さん胡蝶から作業を交代して俺の手当をした。

 

 俺は両腕を止血の為に縛られてなんだか滑稽な姿になった。

 

 繭さん、何だか機嫌が悪いような……まさかな。

 

 「繭うぅ!!」

 「きゃっ、夢見鳥!? あなたもここにいたの? 大丈夫? 怪我はない?」

 「うん大丈夫、けど怖かったよおおぉ! うわあああん!!」

 「よしよし、もう大丈夫だから安心して」

 

 夢見鳥ちゃんと繭さんは互いに顔をくっつけて頬ずりをした。

 

 「もう、夢見鳥ったら私を置いて繭お姉様の元に行くなんて」

 

 夢見鳥ちゃんにさっきまで抱っこされていたボタンちゃんが不機嫌そうに言う。

 

 そうだったボタンは手足を取られて動けないんだ、早くなんとかしないと。

 

 そう考えた時だった。

 

 「ん……んん、あれ? 私はいったい…………ボタンお姉様!? ボタンお姉様ああぁ!」

 「きゃっ、ちょっとバラ!?」

 

 気絶していたバラがボタンにきづいて抱き上げた。

 

 「お姉様、お姉様ぁ!」

 「もう、バラったら……あなたも私を探してくれたのよね? でもごめんねバラ、私は醜い姿になってもうあなたの自慢の美しい姉じゃなくなってしまったわ」

 「そんなことありません、ボタンお姉様はどんな御姿になってもバラの自慢の姉妹で一番美しいお姉様です……本当に見つかって良かった、もうどこにも行かないでください……ぐすっ」

 「……バラ、ありがとう……う、うわああ!」

 「ボタンお姉様ぁ! うわああん!」

 

 バラが手足がないボタンを落とさないようにしっかりと抱きしめてお互いが離れないようにして泣いていた。

 

 この姉妹は今後も大丈夫だろう、けど……もう一方の姉妹は。

 

 俺は山木さんに事情を話した、すると山木さんは苦しそうにもがいているヒガンバナの元へ向かった。

 

 「えーと、お嬢ちゃんが問題の人形のヒガンバナだな?」

 「く、……ええ、そうよ」

 「そうか……古家ヒガンバナ、お前を現行犯で逮捕する、罪状は器物損壊罪と傷害罪、更には殺人未遂だ」

 「なっ!? いや……嫌よ、ヤダヤダヤダヤダイヤダー!!」

 

 ヒガンバナは逃げようとして床を這いずるが山木さんは容赦なくヒガンバナの折れていない方の手を掴んで捕まえる。

 

 「ちょっ、ちょっと待ってください、逮捕っていったいどうして?」

 

 俺は逮捕と聞いて焦った。

 

 「なんでって青年、この人形は法に触れる行いをしたんだ、無機物の人形とはいえこんな危険な事をしでかすやつは捕まえなくちゃいけない、俺はそう思う」

 

 山木さんが手錠をかけようとしたときだ。

 

 「山木君、君は正しいと僕は思うよ、けど逮捕はしなくていい」

 

 後ろから優しい老人の声が聞こえたので後ろを振り返る。

 

 ……古家さん帰って来たんだ。

 

 胡蝶達の父親である古家亮太郎とその横には心春さんが立っていた。

 

 俺はこれから起こることに嫌な予感がした。

 

まさかのバトル展開……。


この作品は基本はラブコメ路線です今後とも宜しくお願いします。


評価感想よろしくお願いします。

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