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47話 「酔えば酔うほど……」


 「ふぅ、久しぶりに酔ってしまったよ」 

 「俺もです古家さん……うぇ」

 

 古家さんと夕食で出た残りのビールを飲んでいたが結局次々と新しく持ってきて二人ともベロンベロンに酔ってしまった。

  

 「それじゃあそろそろお開きにしようか、久我君お風呂は後で娘が案内してくれるからゆっくりしなさい……僕は明日仕事があるからすまないが先に上がらせて貰うよ」

 

 そう言って古家さんは立ち上がった。

 

 「おわ、おとと」

 

 古家さんは酔って要るので足下がふらつき倒れそうになったが直ぐに机に手をついて支えたので倒れなかった。

 

 「古家さん大丈夫ですか? だいぶふらついてるじゃないですか危ないですよ」

 

 俺は慌てて立ち上がり古家さんを支えに行く。

 

 「ははは、みっともないところを見せてしまったね、けど大丈夫だよ」

 

 古家さんは俺を見て苦笑いをする。

 

 「そんな、誰が見ても大丈夫じゃないですよ……そうだ俺が古家さんを部屋まで運びますよ」

 

 そう言って古家さんの前で背中を向けてしゃがむ。

 

 「え、そんな悪いよ……それに久我君も酔っているじゃないか」

 「大丈夫ですよ俺も酔ってますけどちゃんと歩けますから、さぁ乗ってください!」

 

 俺はいつでも行けるとアピールした。

 

 「そ、そうかい……ならお世話になろうかな」

 

 古家さんは俺の背中にまたがる。

 

 「よっと」

 

 俺は落とさないように慎重に立ち上がった。

 

 軽いな……年をとるとこんなに弱々しい体になるのか。

 

 そんな事を思いながら俺は古家さんの寝室へ向かった。

 

 「……娘もいいけど義息子もいいな」

 「え、古家さん何か言いました?」

 「いや、なんでもないよ……それよりもうここでいいから下ろしていいよ」

 

 廊下にあるうちの一つの部屋の前に古家さんを下ろす。そして部屋を後にして俺は自分の部屋に行くことにした。

 

 ふぅ、今日は疲れたな。

 

 部屋に到着するとそのまま寝てしいたい気持ちになったが体が汚れていたので眠気を我慢してお風呂に行くことにした。

 

 「おえぇ……ヤバイなこれ、完璧に酔ってるわ」

 

 時間が経つにつれて酔いが回り足下がさらにふらつく。

 

 「あぁ、そういやテレビでやってたな飲酒後の入浴は危険だって」

 

 なんでも体が温まってアルコールが循環しやすくなり益々酔いが回ってしまうらしい。そして最悪の場合気を失ってしまう。

 

 「だが、あえて俺は行く!」

 

 どうやら俺は冷静な判断ができない状態みたいだ。廊下をフラフラと歩く。

 

 「はぁ、はぁ、なんだか訳が解らなくなってきた……いやダメだ気をしっかり持たないと!」

 

 そうは言っても気分は朦朧とする。しかも同時に楽しい気分になってきた。俺は酔うとテンションが上がり大胆になる。

 

 過去の話になるが俺は度々お酒で失敗した。

 

 職場の先輩に突っかかったりモテない癖に居酒屋の店員をナンパし気持ち悪くなるとその店のトイレを長時間占拠して最後に同期達に担がれて帰るのが定番だった。

 

 要するに俺は酒を飲んだらいけない人種だ。

 

 「ダメだダメだ! もう頼れる同期達はいないから問題は起こせない」

 

 そう思うのだったら部屋でじっとしとけば良かったがそれができずこの場にいるのでもう俺は手遅れかもしれない。

 

 古家さんと一緒にいた食事場まできた。

 

 「ん? あれは……」

 

 ちょうど目の前に二人組がいた。

 

 「おーい胡蝶ちゅわぁあん! 一緒に風呂いこうぜぇ!」 

 「きゃあ!」

 

 俺は二人組のうちの一人に後ろから抱きついた。もう手遅れだ。

 

 「た、大我様!?」

 「そうだよ俺が大我だ……それより胡蝶ごめんよぉ、俺は浮気はしないしお前を大事にする! だから一緒にお風呂に入って仲直りしよう!」

 「なんでそうなるの……あん、大我様胸を触るのをやめてくれますか?」

 

 俺の言ってることは支離滅裂でしかもやってることがクズだ。

 

 「ボタンお姉様に何してるんですか!?」

 「あ、夢見鳥ちゃんだ……良し夢見鳥ちゃんも一緒に行こう!」 

 

 何が良しなんだ。

 

 そう言って俺は夢見鳥ちゃんにも抱きつく。二人からとても良い匂いがした。

 

 「ちょ、大我様お酒臭いですわ」

 

 夢見鳥ちゃんが俺にそう言った。

 

 ちょっと傷つく。

 

 「バラ、そのまま大我様を連れてもう一度お風呂に行くわよ」

 「え、ボタンお姉様本気ですの? それに大我様は酔って私達を妹達と勘違いしてますわ」

 「だからチャンスだわ、バラあなた大我様のことが気になるんでしょ? これを機に大我様を胡蝶から奪って私達二人のものにしましょう」

 「確かにそうですけど……今私が気になっているのはボタンお姉様ですわ! なんであんなことを……」

 

 何やら胡蝶と夢見鳥ちゃんが話をしてるようだが全く俺の耳に入らない。

 

 「ふふふ嫉妬しないでバラ、私はあなたが好きよ、けどこれからすることは私達が生きる為に必要なの」

 「生きる為に必要? ボタンお姉様はこれから何をするつもりですか?」

 「……私達二人で大我様と一つになるわ」

 「……えっ?」

 「私達人形は愛されないと生きれないの、だから私を信じて言うことを聞いてちょうだい」

 「……わかりましたボタンお姉様」

 「ふふふ、バラは良い子ね」

 

 胡蝶が夢見鳥ちゃんと話終わった後頭を撫でてあげてるところが見えた。


 胡蝶はいつ夢見鳥ちゃんとこんなに仲良くなったんだろう?

 

 「おう大我、さっさと私達と風呂に行くぞ」

 「プッ、ククク……ボタンお姉様ったら突然胡蝶のマネなんかしておもしろいですわ」

 「黙りなさいバラ、あなたも夢見鳥のマネをして大我様に違和感を持たせないようにしなさい」

 「わ、わかりましたわ……ククク、えーと……大我お兄ちゃん夢見鳥もお風呂に行くー!」

 

 少し違和感を感じたがどうやら俺の気のせいみたいだ。

 

 「良し、じゃあ俺を風呂まで案内してくれ」

 「良いぜ大我、私について来い」

 「うふふ、大我お兄ちゃん早く行こ!」

 

 こうして俺は二人とお風呂に入ることになった。

 

 ⎯⎯⎯

 

 「ボタンお姉様上手くいきますかね?」

 

 妹のバラが私を心配そうに見つめる。

 

 「ふふふ、バラは心配性ね、安心しなさい」

 

 妹はとてもかわいい。

 

 「……ボタンお姉様、私達は心春お姉様に叱られたばかりですけどこんなことをして良いんでしょうか?」

 「あらバラ、あんなデブのことなんか気にしてるの? 大丈夫よ何かあれば私があなたを守るわ」

 「……はい、ボタンお姉様」

 

 妹は少し元気がない、なぜなら心春お姉様に叱られたとき二人して頬をひっぱたかれたからだ。それにしても今後は厄介なことになる。

 

 というのも今回の件で恐らくヒガンバナとスイカズラの姉二人に目をつけられるに違いないからだ。

 

 「大丈夫、私が絶対にバラを守る」

 「何か言いました?」

 「何でもないわバラ」

 

 ……バラは私のたった一人の妹、そして唯一心を開ける存在、本当は他にも二人妹がいるがどうでもいい。

 

 お風呂で妹が繭お姉様に体を洗われそうになったとき私は激しく嫉妬した。だからあのとき繭お姉様に仕返しするために嫌がらせでキスした。


 ……。


 それにしても妹の胡蝶、あいつだけはムカつくわ。

 

 胡蝶は大我様に愛されている、何故あいつだけ、憎い憎い憎い!

 

 私は姿が同じ胡蝶に対し憎悪を募らせた。

 

 ……お父様も憎い。


 お父様は一番下の妹達の胡蝶と夢見鳥に執着している。


 それは何故か。


 きっとあの妹達の方がお父様にとって最高傑作だからだ。


 ⎯⎯⎯


 私とバラは他の姉達より後に造られた。だから私とバラは姉達を改善して造られたお父様の最高傑作の人形だと思って優越感を感じていた。


 しかしお父様は再び人形を造り胡蝶と夢見鳥ができた。


 お父様いったい何故再び人形を造るの? お父様は私達姉妹の何に不満を感じたの? 私達姉妹はお父様の最高傑作ではなかったの?


 私はそう考えて絶望した。


 ⎯⎯⎯


 絶対にこの男を奪って愛されてやる。


 私は大我様を奪うことで胡蝶を苦しませたかった。あの最高傑作の人形が私と同じように絶望するのが見たかった。

 

 大我様を奪うことができたならこの家を出て行きバラと共に幸せになるのよ!

 

 私はそう決意して大我様をお風呂まで案内した。


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