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97話 「大我の過去の誓い」


 ――陸上自衛隊某演習場。


 俺――久我大我は、ここで迷彩服姿に頭には草を取り付けた迷彩の鉄帽。そして身体には小銃とその他戦闘に必要な装備を身に着けて草むらにうつ伏せに伏せていた。


 草の感触がチクチクする。そして地面からの熱気が伝わり額から汗が出る。そして出た汗が地面に落ちると乾いた砂に直ぐに吸収された。


 「あっちーな、早く始まんねーかな」


 伏せたまま顔を動かし左右を見る。両方とも俺と同じ姿と装備を持った年配のおじさん達が俺と同じように伏せている。よく見るとおじさん達の迷彩服は汗で色が濃くなっている。そしてヒイヒィと苦しそうに呼吸をしていた。ここに若いのは俺しか居ない。どういう訳か俺は年配のグループと一緒になった。


 とっくに定年過ぎてるのによくこんな大変な事をするよ……って、言っても俺も同じなんだけどな。


 俺はとっくに自衛隊を退職していた。しかし今はここにいる。何故なら今は予備自衛官という立場だからだ。そして今何をしているかというと戦闘訓練で、攻撃に備えて突撃の準備をしているところだ。


「そろそろ時間です、皆さん着剣してくださーい」


 分隊長と呼ばれる役職のおじさんが丁寧に俺達に指示をする。ここでいう着剣とは小銃に銃剣を取り付ける動作の事だ。俺達はそれを聞いてあたふたとその動作を始めた。


「あークソッ、うまく取り付けれねぇ」


 久しぶりに行う動作なので俺は中々銃剣を取り付ける事ができなかった。すると突然後ろで俺の事を見ていた教官が俺が被っている鉄帽を叩いて怒鳴った。


「――おいどうしたチンタラすんじゃねえよ! シャバに出てやり方を忘れちまったのか、あぁ!?」


 教官は俺が現役だった頃、俺を指導し立派な自衛官へと育ててくれた鬼原班長だった。


 怒鳴られた瞬間、俺以外の皆がじろりと鬼原班長を睨む。すると鬼原班長は慌てて俺以外の皆に言い訳をした。


「いや、皆さんの事じゃ無いんですよ、皆さんは立派な大先輩ですからね、それに引き換えこの後輩の陸士(大我)は……実はこいつ昔俺の班員だったんでつい指導しちゃいました、ははははっ!」


 皆は鬼原班長を睨むのを辞めた。鬼原班長はホッとしたあとまたコッソリ俺の鉄帽を叩いた。何故教官の鬼原班長がこのような態度を取るのか、それは俺の周りにいるおじさん達が実は大がつくほどの大先輩だからだ。しかも階級も上の方だ。


 そんなやり取りのあとヒューンという漫画で出てくる何かが落ちる擬音のような音が聞こえたあと、破裂音がして黙々とした白い煙が前方に現れた。


「皆さーん、突撃でーす!」

「おっしゃあ! オメェら突撃だー!」

「「……」」


 分隊長が指示を出したあと鬼原班長が気合を入れて叫んだが、再び俺以外のおじさんが鬼原班長を睨んだ。

 

「あっすみません、つい突撃前なので気合が入っちゃまして、あははっ皆さん自分に気にせずに突撃してください、ただし……久我ぁ、てめえは俺に続いて突撃しろ、覚悟とけよ」

 

「ひぃー、勘弁してくださいよ班長ぉ」


「うるせー、黙って俺についてこい、敵をぶっ○せ、がはははっ!」


 あっ、俺終わった、鬼原班長は完全に戦闘モードだ、この人フル装備なのにものすごい早く走るからついていくのが大変なんだよな。


 煙が俺達の身を隠すほど周りに充満すると、皆一斉に立ち上がって銃を構えて敵に向かって突撃した。


「――うおおおおっ!!」


 俺も銃を構えて全力で叫び突撃した。前から機関銃の空砲が発射される。俺も負けじと撃ち返した。


「――走れぇ、撃てぇ!」


 鬼原班長が俺に激を飛ばす。そして目が逝ってる。さらに俺も興奮して目と雰囲気が逝っていた。


「――うおおおおおっ!!」


 俺は息が吐けなくなるまで叫び、最後は穴に入って俺達に銃を向ける敵に向かって突進した。ただし敵とはいっても同じ自衛官で敵役をやってくれてる人達なので実際に突き刺さないように注意して横を通り過ぎた。


「――なっ!? お前は」

「……やぁ久我君、元気か?」


 敵役の横を通り過ぎる際に敵役と顔があった。すると向こうも俺と顔が合い俺達はお互いを認識した。


「須藤、お前だったのか……」

 

「まぁね、それよりまだ戦闘は終わって無いよ、早くここを移動しないとオニテツ(鬼原)班長に怒鳴られるよ」


「あ、あぁそうだな、じゃあな」


「そうだ久我君、今日は同期全員で集まって飲もう」


「……分かった、また後でな」


 後で須藤と後で会う約束をした。よりにもよって俺が一番ここで会いたくないように注意していた人物なのに、昨日も射撃訓練の後にやって来た……。因みに須藤は俺の同期だった男だ。とてもインテリで冷静に物事を判断できる男だ。そして癖はかけているメガネをクイッと上げる事だ。よくそれをネタにしてからかった。


 ――須藤、元気にしてたんだな、しかも階級を上げてやがる。


 俺が自衛隊にいた時、須藤の階級ら俺と同じ陸士長だったが、須藤と話した時に見た階級章は俺より一つ上の階級の三曹になっていた。


 同期の出世は嬉しい反面悔しかった。何故俺がお前の達場に居ない。そう思ったが答えは簡単。俺が逃げるようにして自衛隊を辞めたからだ。


 「くっ……今更辞めた事を後悔してんじゃねぇよ俺」


 須藤との再開は久しぶり会えたことに対する。嬉しさと、申し訳なさや後悔といった感情が入り混じったものになり気持ち悪かった――。


 戦闘訓練が終了し、その日一日が終わった。俺達予備自衛官は外で天幕テントを張り、そこで寝泊まりしていた。夜になるとおじさん達が缶ビール片手に昔話を俺にした。


 曰く、昭和の時代は激動だったとか、災害派遣ではどうだった、昔の役職は何をしていたか……あっ、そうそう、この演習場で昔レンジャー学生二人が神隠しにあったとかそういうオカルト話もしてくれた。とにかく何でも話してくれてそれを皆で笑いあった。


「おい久我、ここにいたのか、お前の同期達が外で待ってるぞ」


 天幕に鬼原班長が入ってきて俺を連れ出そうとした。


「えっ? せっかく若い奴に俺達の昔話やら武勇伝を語ってたのに邪魔するな? 大丈夫ですよ先輩方、自分がここに居るんで存分に話しの続きをしてください……えっ? 自分は若くないと、ははっそんなぁこと言わずに、ほらお酒をお注ぎしますから……おい久我、ここは俺が相手するからお前はさっさと行け」


 俺が抜けて行く事を渋るおじさん達に鬼原班長が代わりになると言って抜けさせてくれた。俺は敬礼すると元同期達のもとへと向かった。


「おー! 久我、久しぶり」

「お前相変わらずだな」

「シャバの空気はどうだこの野郎」


 外に出ると元同期達が缶ビールを持って俺を待っていた。そして自分達がいる天幕へと俺を案内した。


「やぁ、待ってたよ久我君」


 天幕に入ると訓練中にであった須藤がいた。若干気まずかったが他の同期達に押されて酒の席に着いた。


『久しぶりの同期の再開を祝してカンパーイ!』


 一斉に缶ビールを開けて一気飲みする。やはり戦闘訓練のあとの一杯はうまい。


「おっ、ちーっす、お久しぶりです久我士長」

「あっ、お前久しぶりだな、この生意気な後輩め!」

 

 かつての後輩まで俺に会いにやって来た。なんだか楽しくなり始めた。そうして元同期の連中が俺に絡んで来る。


「おい久我、外でなんの仕事してんだよ」

「相変わらずフリーターだよ畜生」

「は、お前ちゃんと就職しろよ」

「うるせぇよ、なんとかするって」

「いつでも戻ってきていいんだぞ、まっ、その代わり元同期だけど下っ端として俺達がこき使ってやるけどな」

「うっ……まぁ、考えとくよ」

 

 俺は言葉に詰まった。俺に自衛隊に戻る資格なんてあるのだろうか。チラリと前を見ると須藤が俺の事を少し睨んでいた。やっぱり須藤には気まずい。


 須藤はかつて、俺のベッドバディで仲が良かった。そして二人で陸士から陸曹に出世して部隊を盛り上げて国を守ろうと誓いあった仲だった。それが今では俺が自衛隊を辞めてしまった為にその誓いを果たせずにいる。


「須藤、済まない、俺は――」

「――久我士長、シャバで最近何かありました? 例えば彼女ができたとか」


 俺が須藤に対し言いおうとした時に、後輩が割って入って来た。よく見ると後輩が目で俺に合図を送る。その合図の先は機嫌が悪くなっている須藤だ。ここで俺が須藤に何か言ったら空気が悪くなる事は間違いない。


「あぁ、そうだな、実は俺に彼女ができた」

「はぁ!? マジですか!」

「おいてめぇなんだよその反応」


 俺に訪ねた後輩は自分で聞いときながら俺の答えに驚いた。その後他の同期達も驚いて俺の彼女がどんな人か聞き出そうとしてきた。


「久我、嘘は良くないぞ、お前みたいな筋肉の塊に彼女ができるわけないだろ」


「いやでも、久我は顔だけはいいからな、彼女はそれで選んだのかも」


「確かにそうだけど、こいつ性格が女にだらしないからな、きっと直ぐに別れる」


「お前ら俺のことを好き放題言いやがって」


 俺は少し強めの力で同期三人に抱きついて締め上げた。


「うわぁ、ギブギブ、お前自衛隊辞めた今でも力強えな」


 俺は同期を離してあげた。すると後輩が再び俺に話しかけて来た。


「久我士長、彼女できたんなら写真見せてくださいよ」

「えっ、写真あったかな……」


 確か俺は元彼女の人形の胡蝶の写真は持っていたが、現彼女の繭さんの写真は持っていない。 


「そんな隠さずに見せろよ」


「そーだ、そーだ!」


「取り敢えずスマホ貸せよ……えーと写真は、あった、この黒髪ロングの女の子の写真かな」


「お前ら勝手に俺のスマホ取って写真を見るんじゃねえよ!」


 酒に酔った同期が俺のスマホの写真を漁って、海に旅行に行った時に取った胡蝶の写真を俺の彼女の写真も勘違いして見た。すると三人ともに急に酔いが冷めたように静かになった。


「……久我、これはないわ」

「うーん、確かにこの娘きれいだけど」

「相手は人形じゃねぇか!」

「あっ、それは違うって、そいつは俺が買った人形で彼女じゃない!」……あっ」


 胡蝶の事を彼女じゃないと言った瞬間、心が痛くなった。あんなに胡蝶の事が好きだったのに今は違う。それが薄情な気がして自分に嫌気が指した。同期達は俺が人形を購入した事にドン引きしていた。


「久我君、彼女ができたんだって、それが本当なら今ここで電話したらどうだい?」

「なっ……須藤、お前なんて事を」

「そうだぞ須藤、久我は俺達に見栄をはって彼女がいるなんて嘘をついたんだ」

「それ以上追い詰めてやるなよ」


 須藤は酒を一気飲みすると、顔を赤くして酔っ払い俺に命令した。


「ヒック、久我君、君は今自衛隊にいるね、そして僕より階級が下だ、だからだ命令する、今すぐ彼女に電話して彼女がいる事を証明しろ」

 

「須藤、てめぇ同期の癖に調子に乗りやがって、お前らも須藤と同期だろ? こんな態度を取られて悔しくないのか?」

 

 俺は同期達の前で繭さんに電話をかけるのが恥しくて電話をかけるのに渋った。そして須藤の命令を止めさせるよう力を借りようとして同期三人に目を向けた。


『別に? それと階級が上の人の命令は絶対なんで早く電話しろ』


 同期三人は一斉にニヤニヤしながらそう言った。コイツらたのしみやがって。


「畜生、わかったよ電話すれば良いんだろ!?」


 俺はスマホを取り上げると、繭さんに連絡した。しかし電話は繋がらなかった。画面をみると圏外になっていた。


「駄目だ、圏外だから繋がらねぇ」

「おい、なんだよそれ」

「はいはい、嘘乙」

「本当だって!」

「あー確かに、ここ圏外だったな」


 その後同期達にスマホを見せて納得させると。あとは再び酒を飲んで昔話に花を咲かせた。今日でコイツラともお別れだ。当初もっと長く訓練を続ける予定だったが急遽何かしらの都合で短くなった。せっかく会えたのにまた寂しくなる。


「よーし、明日も訓練の片付けで起床が早いからお開きにするか」


 そう言って俺達は最後に乾杯をしてそれぞれの天幕へと戻る事にした。


「久我君、ちょっと話さないか?」


 須藤に呼び止められた。来たかと思い俺は須藤の元へ行った。そして二人で天幕から離れた所で夜空を見上げて俺から先に口を開いた。


「須藤、俺もお前に話す事があるんだ……誓いを破ってすまねぇ」


 須藤は夜空を見上げたまま何も言わなかった。そして無言で迷彩服の胸に着いているベルクロタイプの徽章を剥ぎ取って俺に渡した。


「おい、これってレンジャー徽章じゃねぇか!」


 須藤が俺に渡した徽章はレンジャー徽章と呼ばれ、自衛隊野中でも厳しくて過酷な教育訓練を終えた精鋭に与えられる証だ。


「久我君、また自衛隊に戻って来ないか? そしてまた僕との誓いを果たさないか?」


 須藤との誓い――ともに部隊を盛り上げて国を守ろう。


 かつてそう誓いあった俺と須藤は、まずは自分達の力をつける為に陸士でありながら陸曹と呼ばれる階級の隊員達に混じってレンジャー教育訓練に参加した。


 そこで俺は厳しさに耐え切れずに須藤を置いてレンジャー教育の継続を断念してしまい原隊に帰ってしまったのだ。俺は須藤を裏切ってしまった。


 さらに言うと俺の親父は俺と同じ自衛官だった。しかし親父は俺と同じでレンジャー教育訓練を断念して尚かつ自衛隊を辞めてしまっていた。


 親子揃って裏切り者と根性無しだ。そうした事から、俺の親父を良く知っている上司や心ない先輩達に俺は帰ってから弄られ続けた。それで耐えきれなくなってしまい俺は自衛隊を辞めたのだ。


「……戻れだと? 須藤、お前は俺の立場を知っているだろ? それに一番お前が俺を許せない筈だ、なのに何で戻って来るように言う?」


「それは、君が僕にとって戦友だからだよ、二人できつかった新隊員教育や長期の演習を乗り超えてきただろう? だから君を放って置けない、今からでも遅くない、戻って来い」


「気持ちは嬉しいけど、帰った所で俺に居場所なんかねぇよ!」


「そんな事無い! 僕が君の居場所を作ってやる、僕はこれから幹部を目指す、そして幹部になれたら須藤小隊を作って君を受け入れる」


「はっ、大層な夢だな……インテリのお前らしいよ」


「ふふっ、そうだろ?」


 須藤はメガネを手でクイッと上げる動作をして微笑んだ。俺と出会った時から変わらない須藤の癖だ。


「なぁ……俺、またやり直せるのか? お前との誓いを果たせるのか?」


「それは久我君の気持ち次第だ……もし、今ここで考えて無理そうなら今さっき君に渡した僕のレンジャー徽章を返せ」


 俺はそう言われて自分の手にあるダイヤと月桂樹をあしらった模様のレンジャー徽章を見た。これは須藤の勝利の証で俺みたいな奴が手にして良いものでは無い。


 俺はそれを優しく掌に包み込むと、須藤の胸に無理やり戻した。須藤は残念そうな顔をした。


「久我君、やっぱり君は――」

 

「――須藤、勘違いすんじゃねえ、俺はてめぇの勝利の証なんかいらねぇ、俺自身で勝利を手に入れてやる!」


 力強くそう言うと、須藤はびっくりしたあと、嬉しそうに微笑んだ。

 

 ――そうだ、俺には守りたい人(繭さん)がいる。だから、その人が安全に暮らせるように国を守りたい。


 俺はかつての思いと現在の思いを併せ持った気持ちを新たに胸に抱いた。


「久我君、戻って来てくれるんだね」

 

「あぁ、戻ったら速攻でレンジャーに挑んで無事に終えて力をつけてやるぜ、だからお前のレンジャー徽章は受け取らない」


「わかったよ、それより入隊試験は大丈夫かい? 久我君は確か勉強駄目だったよね」


「うっ……そこはまぁ、一度入隊してるんだし、また合格できるだろ」


「それもそうか、じゃあ頑張れよ、久我二等陸士」


「うわっ、そうか、再入隊したらまた一番下の階級からか……ううっ、そこは仕方ねぇ、また下から這い上がってやる!」


 最期に俺は須藤と敬礼をし合って別れた。そして次の日朝、訓練が全て終了し、整備を終えて家へ帰る時、鬼原班長や同期達にまた自衛隊に戻る事を伝えた。すると皆喜んで待っていると言って駐屯地を出るまで見送ってくれた――。


 「あっ、そういえば繭さんに予定より早く家へ帰ることを伝えなくちゃな……あとは、胡蝶も元気にしてると良いんだけど」


 帰りにバスの中で繭さんと胡蝶の事を思い出した。中でも、胡蝶は俺が出て行く時に情緒不安定になっていた。それが一番気になる。


「よく考えたら俺、結構まずい事をして来たよな、情緒不安定の胡蝶を繭さんに押し付けて来ちまった……けど、一回電話した時は繭さん普通だったし……いやでも、胡蝶のやつ人形なのに食事したとか、変な事をし言ってたよな」


 ――胡蝶が奇行をした……おっ、韻が踏めてる――って、そんなしょうもない事を考えてる場合じゃねえ。


 俺は急に嫌な予感がしてスマホを今日初めて取り出し画面を見た。


 ――不在着信三件。内訳――繭二回、黒田さん一回。


 何故黒田さんが俺に連絡を……?


 少し疑問を持ったが、まずは二回もかけて来ている繭さんが優先だ。昨日から俺に電話をかけている。何か胡蝶と合ったんだろうか?


 「……あれ、かけ直しても繭さん、電話に出ないな」


 繭さんの番号に電話をしたが留守電になった。


 「取り敢えず急いで家へ帰ろう」


 俺は胸騒ぎでソワソワしながらバスが家の近くにつくのを待った――。


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