初対人戦?
とりあえず、『隠蔽』状態で一番手前の盗賊に向かって石を投げる。
もし外れたら見つかっちゃうからね。
ヘタレと言うなかれ。現代日本の一般人で、刃物持った敵に向かえる人が何人居る?
出来る勇者が変なのです。勇者だから出来るのか?
まぁそれはいい。
石をぶつけるという行為でさえ躊躇するくらいなので、即死しないであろう肩・足を狙ってる。
さっきは腹狙ったろって?あの時は弓相手だもん、一撃で無力化させたかったんだよ。
逃げを選択しても良かったけど、因子の事もあって早く行きたかったし。
さて戦場だが、俺の投げた石は見事に足に当たった!
えっ、足が変な方向に曲がってる…骨折した?!
罪悪感が凄いです!!
しかし躊躇してる場合じゃない。
俺は『隠蔽』を解除して叫んだ。
「助太刀する!!」
骨折した盗賊と戦っていた男は盗賊の剣を蹴り飛ばし「頼む!」と叫びつつ次の盗賊に向かった。
声に反応したのか、御者の商人に向かおうとしていた盗賊2人が、剣を構えてコッチに来る!
ひぇ~、恐怖ですよ!
あまりの恐ろしさに、持っていた石を狙いも適当に投げまくってしまった。
結果、2人の無力化に成功・・・したのは良いけど、頭にも当たってたような。
死んでないよね??
と、とにかく、これで3人は減った。次の手に移ろう。
それは1の方法、つまり「隠れて殴る」だ。
盗賊が投石を警戒して馬車の向こう側に移動したので、『隠蔽』を使う。
これでバレないはず。
さて、近づく前にする事がある。さっきの2人の生死確認だ。
そっと近づき剣を拾い、森の中に投げる。これは死んだフリや復活してきた時の為。
脈があるので、死んでないようだ。一人は頭からは出血してるけど…。
後で考えよう、現実逃避!!
あっ、御者がキョロキョロしてる。俺を見失ったんだろう。見てる前で使っても見えなくなるんだなぁ。
そのまま忍び足で馬車に近寄る。
・・・そこには惨状がありました。死屍累々と言ってもよい。
倒れた盗賊達が20人以上!
俺が見た時は15人くらいだったのに、、、実際はもっと居たのか。
生きてるのか判らないが、見たくないので戦闘中の方を向く。
それにしてもこの護衛達は強い。
人数が同じくらいになれば疲労があっても負けないほどに。
盗賊の最後の1人が倒れるのに、それから1分もかからなかった…。
俺は慌てて『隠蔽』を解除。
助けたとはいえ、コソコソしてたら怪しいでしょ。交渉もしないと。
護衛は怖いので、いまだに御者の場所にいる商人のオッサンと話すとしよう。
「大丈夫ですか?」
「はい、私はなんとか。助かりました、ありがとうございます。」
「無事でなによりです。」
「改めて御礼をしたいのですが、少々待ってもらえますか?」
そう言うとオッサンは、最初に俺が見た護衛の方に向かっていった。
他の護衛の人たちは、盗賊の武器を集めたり縛り上げたりしている。
縛られない盗賊はきっと死・・・考えないようにしよう。
商人のオッサンは護衛の男を連れてきた。俺よりは年だろうが、30歳くらいに見える。
この人をオッサン扱いすると、自分もオッサン扱いになりそうなので兄さんとしよう。
「助太刀、助かったよ。見事な投石だった。」
「あ、ありがとうございます?」
何か微妙にバカにされてる気がするのは気のせいだろうか?
ま、投石という方法を選んだのは自分だが、たしかに情けない戦法に見えるよな。
「私の名前は安田正弘。君の名は?」
「あ、はい、相田駿と言います。」
あれ?自己紹介しただけなのに、何故か凝視されてる…。
そして頷いた後、商人のオッサンに手を振ってる。
ってオッサン、いつの間にか馬車の後ろに移動してるよ?!
そういや、商人のオッサンって言ってるけど、正確には「商人風のオッサン」だよな。
そもそも、本当に商人なのか?
「君に大事な話があるんだ、ちょっとこっちに来てくれないか?」
と、正弘兄さんに連れられて馬車の後ろに移動する事になりました。
戦闘描写は難しいです…。
修正:『不穏?』の「見ている見ている」→「見ている」
『作戦?』の「所で、」→「ところで、」
次話は明日の20時に投稿予定です。