冒険者組合?
苦労も無く、冒険者組合に到着。
「冒険者組合:クヌギ町支店」
どうやらこの町はクヌギという名前らしい。
漢字じゃないのは難しい字だからだろう。俺も思い出せないから、漢字だったら読めない。
入り口が2ヶ所あるけど、片方は大きいので物品の搬入口だと思う。
開き戸を開けて中に入ると、中にいた冒険者っぽい人たちの注目を浴びる。
まぁ、武器だけ立派で防具は明らかに初心者のヒョロい男が来れば見るよな。
キョロキョロと見回し、カウンターにゴツいオッサンが居たのでそこに向かう。
ラノベでは受付は若い女性なんだけどなぁ。現実問題、こんな所に女性を配置する訳ないか。
「すみません、登録したいのですが。」
「おう、依頼の登録か?」
「いえ、冒険者の登録に来ました。」
周囲から笑いが起こる。やはり変に見えるのだろう。
ヤクザの三下みたいな風貌のヤツ2人がからんできた。
「お前みたいなヒョロいのが登録~?ギャハハ!」
「無理して武器だけは立派なのを買ったんか?良いもん持ってるじゃねえか。」
「ほんとだな!お前にはもったいないぜ!」
こんな所だけラノベのテンプレかよ!
冒険者組合で絡まれる→チートで追い払う→注目の存在になる
っていうパターンか?
無視だ、無視。
テンプレ通りになって注目の存在になっても、すぐこの町を出るから関係無いけどね。
それにケンカもした事ないのに、対人戦なんて怖くて出来るか!
カウンターのオッサンは、何も言わない。
これくらいどうにか出来ないとダメだと思ってんのかね?
それでも俺はバカコンビを無視して話しかける!
「冒険者の登録をお願いします。」
「お、おう。分かった。・・・おめぇら、あっち行ってろ!」
オッサンに言われ、バカコンビは去っていった。
去り際に「ケッ、ヘタレが!」とか言ってたが知ったことではない。
「とりあえず、この用紙に記入してくれ。」
はいはい、えっと、名前・年齢・特技の3項目だけか。
相田駿・20歳・体力に自信アリ、と書いて渡す。
「相田だな。実技試験場は使用中だから、まずは筆記試験だ。二階に上がってくれ。」
あれ~?
受け付けって、門番の所にあったような水晶玉触って終わりじゃないの??
筆記と実技で交付って、自動車教習所かよ!
…当然なんの勉強もしてないので、筆記はボロボロでした。
計算はともかく、木や草の絵を見て名前を書けなんて分かるかよ!ほぼ勘で書いたわ!
そりゃ冒険者には必要なのかもしれないけどさぁ。俺、合格するのかな…。
続いて実技試験場です。
実技って言ってるけど、はっきり言って体力測定でした。
100m走・マラソン・重量挙げ・などなど。
唯一、木剣でわら束を叩くってのがあったくらい。
どの種目も手抜きした。
自重ではなく、どれくらい手抜きしたら並の人間程度か検証したかったから。
結論から言うと、かなり力を抜かないとヤバい事が判明。
木剣は、わら束の中の芯棒まで届き、折れて飛んでった。
弁償って言われるかなと思ってたら、筆記した部屋に行けと言われた。セーフ。
少し待ってると、受付のオッサンが来た。
「相田、採取能力2・対戦能力12・総合能力7、という事になった。ほれ、組合証と規約だ。」
「えっ、合格ですか?」
「基本、落ちるヤツなんかおらんわ。」
「そうなんですか?で、その能力ってなんですか?」
「お前、何にも知らんなぁ…。能力の最大は20。
採取能力は筆記試験の結果だ。採取系の依頼があった時に必要な能力だ。
対戦能力は実技試験の結果。これは護衛や討伐の依頼時に必要。
総合能力は両方の平均。対戦能力があってもバカでは偉い人は嫌がるからな。」
な~るほど、よくあるA~Eじゃ判りにくいもんな。
「依頼には必要な能力値が書いてある。今ある依頼で言えば、
『首都までの護衛、期間10日、採取能力5以上・対戦能力5以上。』
『狼の討伐、期間2日、総合能力5以上。』
こんな感じだ。」
という事は、俺は狼の討伐依頼なら受ける事が出来ると。受けるヒマなんか無いけどね。
「普通は採取能力の方が高いんだが、、、お前は計算だけ出来る体力バカだな。」
くそっ、バカにされたが言い返せない…。
採取能力と計算能力も分けてくれよ!
だいたい、知ってれば勉強してきたのに!参考書とかあるのかな?
「あっ、ついでに。規約って何ですか?」
「あぁ?冒険者は犯罪した場合に一般人より罪が重いとか、そういう事が書いてあるんだよ。読め!」
ま、まぁ、当初の目的の身分証明書が手に入ったのでよしとしよう。
規約は必要無いかもしれないが、後で読もう。…なんか読む物ばかり増えるな。
仕事が忙しくなるので、次話は土曜日の20時投稿予定です。