3-9 総合部門予選?
ワルツはさすがネコだけあって、華麗に着地してた。
今はものすごい勢いで壁を登ってる。
「ヒドいニャ!死ぬかと思ったニャ!」
「いやいや、お前はあれぐらいじゃ死なないよ。」
そう言いながら、ワルツの頭をグリグリと撫ぜる。
「ニャ~。・・・ニャ?!撫ぜたくらいでは誤魔化されないニャ!」
「誤魔化してないよ。ホレホレ。」
耳の後ろや喉を指先でコリコリしてやる。
「ニャ~~~~~。ゴロゴロ。」
ふぅ、誤魔化せたようだ。
一眠りして起きた時には、すでに8時半だった。
美由紀さんとワルツは既に起きていて、食後のお茶を飲んでいた。
一応起こす為に声をかけたそうだが「後5分~」と俺が言ったので放置してたそうだ。ヒドイ。
慌てて用意して行く途中で宿の受付の前を通ったが、「いってらっしゃいませ」と言われただけだったのでバレてないのかな?
とにかく闘技場に急いだ。
到着は9時ジャストで、何とか受け付けてもらった。8時半~8時55分が受付時間だったそうだ。
そのまますぐに闘技場のステージに移動させられた。
白いローブを着たハゲの白髭の爺さんが、また場を仕切っている。
今度もバトルロイヤルらしい。
ルールは、
ここに居る全員で戦い、40m角のステージから落ちたら負け。
魔法は攻撃性の高い、火・氷・雷は1までしか使ってはダメ。
武器は飛び道具も使用可能。モンスターの使用は禁止。
死亡するような攻撃は禁止。殺した場合犯罪者扱いをする。
ダメだと思ったら手を上げて降参を宣言する事。降参した者に追い討ち禁止。
制限時間は30分だが、それまでに20人以下になったらその時点で終了。
300人以上の申し込みがあったが、来たのは150人ほどだったので1回で決めるらしい。
150人が40m角のステージの上って、どう考えても狭いよね?
魔法の時より10m広くなってるけど、それでも狭いよね?
手を上げて降参って、こんなにゴチャゴチャしてて判るのかね?
ま、俺には関係無い事だけどさ。
スタートの合図と共に、俺は『隠蔽』を使いステージの角に走る。
ここなら誰も落ちたくないので近づかないだろうし、危ない時はすぐ場外に逃げて棄権すればいい。
そもそも本選に出るつもりなんか無いのだ!安全策をとって当然!
この場に居る理由は2つ。人の魔法を見るのと、次の日に逃げずに居る事で犯人じゃないアピールをする為だ。
次の日に居なくなったらすぐ疑われるでしょ?
おっと、『弱体化』が覚えれた!
魔法使いが攻撃職の人と戦うなら『弱体化』は使うだろうと思ってたけど、ビンゴだったね!
これで、使える魔法は、
『鑑定・明かり・探索・解除・炎1~2・氷1・雷1・壁1~4・強化・弱体化・隠蔽・異常修復』
となった。
後は魔法部門の本選で攻撃魔法の上位を覚えるだけだ!
これでもうこの場に居る必要は無い。
20分くらい経ったし、ステージ上も30人くらいになってるので早く逃げないと本選出場になってしまう。
気づかれない内に『隠蔽』を解除する。
ステージの外に居る人達が気づいて「汚ねぇ!」「真面目にやれ!」「そんな手が…」とか応援してくれてる(笑)
その声でステージ上の人達も気づいたようだ。こっちにガチムチなオッサンが手に斧持って向かってきた。
後2mって所で、俺はピョンとステージ外に飛び降りる。
みんなポカーンとしているが、これで俺の戦闘は終了した。
次話は明日の20時投稿予定です。




