2-15 命名?
「卵を2個持って帰っているが、2頭必要かね?」
「いや、1頭でいいです。」
「判った。では地潜竜の卵1つと地走竜1頭と交換だ。残った卵は売ってくれるという事で良いかね?」
う~ん、どうしようかな。
持っていても必要ないから売ってもいいんだけど、お金が欲しい訳じゃ無いしなぁ。
「そうだ、その卵は美由紀さんに差し上げます。」
「「えぇっ!!」」
梶原家が揃って驚いている。
まぁ高いんだろうし、そうなるかもね。
「色々教えてもらいましたし。報酬って事で。」
「それは付いていくのと引き換えに教えるという交渉だったはずです!
それに報酬だとしても貰いすぎです!」
そこで美由紀さんをこちらに手招きして呼び、耳元で内緒話をする。
「…俺の事をバラさない為の口止め料ですよ。
受け取ってもらえないなら、俺の事を喋る気があると判断して…」
ここまでヒソヒソと喋ったら、美由紀さんは途端に顔色が悪くなった。
「判りました!報酬という事でありがたく頂きます!」
何か勘違いしたようで、受け取ってくれるようになった。
脅し?いやいや、何するとも言ってないよ?
そもそも俺に誰かを害する事が出来る訳ないじゃん。
ちなみに、あの後続く言葉は「困ります。」だ。
「・・・何があったのかは知らないが、聞かない方が良いんだろうね。」
「そうですね。」
「・・・ではこの卵は美由紀の物となるね。どうする?」
「私は店に納品しても良いのですが。」
「いや、商売してるからには家族と言えタダで貰う訳にはいかないよ。買い取るとしよう。」
「判りました、お願いします。」
これで全ての取引が終了した。
「では竜をお渡ししよう。裏までついて来て貰えるかね?」
裏に行くと、木造の厩舎が並んでいた。
中を覗くと、色々なモンスターが並んで入っているが竜の姿は無い。見た事無いけどね。
聞くと、竜と同じにすると他のモンスターが怯えるので別にしてあるそうだ。
また、卵は別の場所で羽化(?)させるらしい。
一番隅に竜の厩舎はあった。
他のよりも大きく、石作りで頑丈にしてある。
オッサンは恐れる事無くズンズンと入っていく。
「これが君の竜だ。」
そう言われて見た竜は、竜と言うよりトカゲだった。
コモドドラゴンだっけ?あれを大きくした感じ。全長は馬よりも少し長い程度。
違うのは背中に亀の甲羅のようなのが付いてる事。
その甲羅に鞍を装着して乗るそうだ。
本当に早いのかな…?
「馬よりも早く走るし持久力もある。水平に動くから揺れないのだよ。」
揺れないのか。そりゃありがたい。
あっ、揺れないから荷物運びに向いてるのか。
「鞍などはサービスで進呈しよう。もう取り付けても良いのかね?」
「お願いします。あっ、俺の馬、カゲキって言うんですけど、店主さんに差し上げます!」
「ほう。なかなか良い馬だったが良いのかね?」
「はい、こんな自分と取引していただいたお礼です。
それに美由紀さんには卵をあげてますし。」
「そういう事ならありがたく頂いておくとしよう。
実は私はモンスターは沢山飼っているが、馬は持っていなくてね。
良い馬だったし、愛馬にさせてもらうよ。」
「そうなれば嬉しいです。」
「おっと、話が逸れたね。
この竜に名前を付けてくれたまえ。
名前を付けた者の言う事を聞くようになるから。」
「よろしくお願いします。…名前ですか。」
主人の登録が必要なのね。何も考えて無かったよ…。
また音楽関係にするか?いやダメだ、思いつかない。
竜・リュウ・ドラゴン・・・ドラはどうだ?いや青いロボットっぽい。
「この竜の名前は『ラゴ』にします!」
後1話で2章は終了です。
次話は15時に投稿予定です。




