2-13 巣?
何の苦労も無く地潜竜の巣まで到着した。
当然、ここに来るまでの間にあった卵も回収済み。
不思議なもので、「こういう所にある」と言われると発見出来る。
やっぱり何気なく歩いていても発見出来ないんだなぁ。動物も巣は偽装してるしね。
全て『隠蔽』で回収してきたので、全く危険は無かった。
成果は、駝鳥×1・ビッグボア×4・シングバード×2・マロンウルフ×2。
駝鳥はほぼそのまま少し大きくした感じ。一人乗りだが、馬のように人の後ろに荷物までは載せられないそうだ。
そりゃそうだ、背中は小さそうだもんな。馬ほどの持久力も無いので、馬より安く売られてる。
ビッグボアはイノシシとそっくりなモンスター。肉が美味いので家畜にするらしい。
シングバードは伝書鳩みたいな鳥型モンスターらしい。1曲丸々覚えるそうな。シングルCDみたいだな。
マロンウルフは、狼と言うよりも犬。だが草食で木の実が好みらしい。栗が好きなのかな?
森の中で大活躍。警戒もするし、食べられる木の実や植物を見つけてくれるので、人気が高いみたい。
これら全て、幸屋に売る事が決定してます。
モンスターって全て卵を産むらしい。明らかに哺乳類っぽいモンスターでも卵。
生んだ後は温めもせず、放置。生まれると1週間ほどでエサの取り方を親から習い、その後親離れするそうな。
その1週間の間に薬の入ったエサを与えつつ教育すると、使えるモンスターが出来上がるんだってさ。
放置されてるので卵は、取りやすい。取る時よりも道中の方が危険なんだそうだ。
慣れたのか、あまり警戒しなくなった美由紀さんが道中に教えてくれた。
『隠蔽』しながら移動って安全だよね。
まぁ俺の場合マップもあるので、道にも迷わないし。
普通は木に印(布を結ぶとか)を付けながら移動するらしいですわ。
コンパスとか無いのかな?あるけど、富士の樹海みたいに役に立たないとか?
あっ、富士の樹海って本当はコンパスが使えるらしいね。聞いた話だけど。
地潜竜の巣は、巣と言うよりも洞窟の方が正しいかな?
地面に土が盛られ、そこに直径で2mくらいの穴が開いている。
この中の200~300mくらい先に卵を産むらしい。
途中には分岐もあるそうだが、何よりも中に竜が居るかどうかが判らない。
『隠蔽』で進んでも竜が2mくらいの大きさなので出会ったらバレる。
そもそも暗いので、明かりを付けてる時点でバレる。
取りに行く場合は、斥候役の冒険者が先行して入り、いないのを確認してから入るそうだ。
ま、ココには斥候に最適なメンバーがいるじゃないですか。
そう、ワルツだ!
ネコなので、夜目は利くだろうし見つかっても逃げ切れる速さもある。
という事で先行してもらおうと提案したら、二人(一人と一匹)から反対された。
「暗いから怖いニャ!」
「可愛いワルツちゃんを一人で先行させるなんてヒドイです!」
おい、ネコが暗いから怖いってなんだよ?たまには役に立てよ!
結局そのまま全員で入る事になった…。
もし出会ったら二人とも見捨てて逃げてやる!
『明かり』の魔法をワルツに使ってもらい、俺は『探索』を使用する事にした。
罠とか隠し通路とか無いと思うけど、念の為にね。
5歩度に使用してるけど、明かりの届かない所は探索範囲にならないみたいなのでしょうがない。
でも、画面で選択するだけだから楽チン。詠唱だと大変だろうなぁ。その前にMPが切れるだろうけど。
ん?200歩歩いた時に、何かに『探索』が反応した!
視界の中でそこだけが光っている。掘り出してみると水晶の原石でした。
こりゃ便利だわ。鉱山で働く人は『探索』持ちが多いかもね。
美由紀さんに見せると、「売れるでしょうけど私には値段は判らないです。」とのコメント。
一応持って帰ろう。何かの役に立つかもしれないし。
さらに奥へ進むと、Y字型に二股に道が分かれていた。
もう入り口からは200mくらい進んだと思うんだが、ゴールどころか分岐!
『探索』を使ってみたが、どちらの通路にも反応が無い。やっぱり正しい方向を示してくれたりしないのね…。
あっ、マップを見たらいいんじゃね?と確認したけど、どちらも行き止まり。
因子以外には役に立たねーな!ま、迷路じゃない事だけは判った。
仲間内で相談だな。
「どっちに進む?」
「右の方が良さそうニャ!」
「では右に行きましょう。」
「いや、じゃあ左だな。」
「なんでニャ!ワルツが信用出来ないニャ?」
「そうです!ワルツちゃんが信用出来ないんですか?!」
「うん。」
「うん。。。じゃないニャ!!絶対右だニャ!」
「そうです!右です!」
「じゃあもし地潜竜が出たら、ワルツが戦えよ?」
「左に行くニャ!実は最初から左だと思ってたニャ!」
「そうです。左ですね。」
…こいつらどうしてやろうか…。
次話は13時投稿予定です。




