謁見?
なんで俺が王に謁見しなきゃならないんだ?
何度も自問を繰り返すが結論は出ない。
そうしてるうちに、もう謁見の間の前まで来てしまっていた。
こうなりゃヤケだ、どうせ二度と来ない国だし明日には出るし、開き直ろう。
もしかしたら報酬くれるかもしれないし、と自分に言い聞かせ無理矢理前向きになる事にした。
さすが日本ベースだけあって、襖なんだな~とか考えてたら王女が開けちゃったよ!
「相田様をお連れしました。」
「あ、ども、相田駿です。」
と軽く会釈。
間抜けな挨拶をしてしまった…。急な展開で脳が動いてないんだよ。
幸い、王様は気にしてないようでニコニコしてる。
周りの側近の人の顔は引きつってるけど。
とりあえず座るように促されたけど、畳だよ?座るってどういう風に?
側近の人や王様は胡坐を組んでいる。王女は王様の横に立っている。
う~ん、胡坐だと刀が邪魔になるし、正座でいっか!
(刀に『隠蔽』を使って見えなくして持ち込んでます。没収されたら困るし。)
「私が現国王の松平池信である。此度はご苦労であった。」
「ありがとうございます。」
「そなたの働きは色々な者から聞いておる。よって報酬を与えようと思っておる。」
「滅相もございません。私怨を晴らす為に動いていただけでございます。」
「ふむ、謙虚な事よ。だが、働いた者に見合う報酬を出さねば国が成り立たなくなる。」
なるほど、体裁が悪いと。
知らない人からすれば、国がタダ働きをさせてたように見えるか。
ではしょうがない。
「判りました。ではお受け致します。」
「うむ。だが、何を渡すかは決めておらん。何が良いか、言ってみよ。」
難しい質問してくるねぇ。もしかして試されてるのか?
金はいらない。くれるなら貰うけど、10万単位貰ってもなぁ。
あれ?金銭感覚がおかしくなってるぞ!最近高い買い物ばかりしてたからか?
あっ、ひらめいた!!
「それでは。今日、馬を買いましたのでその金額を頂ければ。」
「なるほど。して、いくらだった?」
「はい、50万円でした。」
これなら馬を貰った事になるでしょ。
足の速いのを選んでもらったから、高かったんだよね。
車を買う感覚だったからその時は安いと思ったけど、50万って高いよね。
って、あれ?元の世界でも馬を買うとそれくらいするのか?
などと変な事を考えてたら、王様が困った顔になってきたぞ?
「う~む、安すぎるな。それとは別に月50万払うとしよう。
2ヶ月働いたそうだの?ならば100万払おう。」
「そこまでしていただかなくても…。」
「安いか?では倍にするか?」
「いえ、100万で結構です!ありがたく頂戴致します!」
危ない!側近が今にも立ち上がりそうだったぜ。
「よし。では決定だ。」
そう言うと側近の後ろで控えていたオッサンが木箱を3つ持ってきて、俺の前に置いた。
どうやら一箱に50万入ってるっぽい。
では一礼して帰ろうと思ったが、どうやらまだ話があるらしい。
「では、次の話だ。」
「は、はぁ。」
「此度、魔法道具を開発して魔王の信者を探したと聞く。それを譲って欲しい。」
やべ、適当な事言ったツケが回ってきた…。
なんとか言い訳しなきゃ!
「これは自分にしか使えない物なのですが…。」
「たしかにそう聞いておる。それでも譲って欲しい。」
「それは、どうしてでしょうか?」
「うむ、素直に言おう。使える者が限定されているとしても、便利な魔法道具には違いない。
我が城の者に解析させて量産しようと考えておるからだ。」
あれはただの鏡なので、解析しても何も判らないと思います。
どうしよう…。
「知っての通り、我が国は魔王と戦争をしておる。
あちらに付いた者を探すのは重要課題なのだ。
どうしても譲ってもらいたい。開発した権利込みで1000万でどうだ?」
ここで断れば、また金額が上がっていくだけで諦めないだろう。
凄く詐欺くさいが渡してしまおう。
「判りました。お譲り致します。しかし、解析は難しいと思いますが…。」
「なに、そこは気にするな。優秀な者が揃っておる、何とかするだろうて。」
もし鏡が本物だとして、解析して量産って今の戦争に間に合うのかな?
後、側近が青い顔になってきてるけど、金額とか勝手に決めてるのか?
・・・なんかこの王様、変な感じがする。
上から目線なのは王様だから当然として、、、
何か微妙に俺の弱い所を突いてくると言うか、判ってるのに判ってないフリをしてると言うか…。
一言で言うと、相手にしたくない。
「さて、最後の話をしよう。」
これが、一番ヤバい話でした。
次話は、明日の20時に投稿予定です。




