邪神像?
さて、深夜になったので『隠蔽』状態で移動中です。
見える人がいれば、不審者扱いで通報される事間違い無し。
ま、人の物壊しに行くんだから、完全な怪しい人ですけどね~。
で、隠し扉に到着。
見張りが居るか確認の為にノックしてみる。人が出てきても見えないハズ。
返事が無い…。気配があるか耳をくっつけて調べようと思ったら、押し戸だったようで開いてしまった!
誰もいないや。カギもかけないなんて無用心だなぁ。
って、屋敷の入り口(こちらも隠し扉っぽい)も開いてるじゃん!
集会中?いやいや、これは何かおかしいぞ?
入ってみると、通路の先には人が倒れてる。
うわ~、頭のとんがった黒い頭巾を被ってるよ。悪の結社的な感じ。
手足が縛られてるから、俺よりも先に侵入者が居るらしい。
おかげで道に迷う事はなかった。何故なら先々に同じ格好した人が縛られてるから。
ん?この先から暴れてる音が聞こえる!
急いで行ってみると、そこでは安田兄さんが丁度最後の黒頭巾を倒した所だった。
あの時の護衛の人達もいるじゃないですか!
『隠蔽』を解除し、思わず声をかけてしまった。
「安田さん!どうしてここに?」
「! 君はたしか相田君だったね?私は任務だよ。君こそ何故ここに?」
兄さんは剣をコチラに向けつつ穏やかに話してきた。
・・・たしかに俺の方が怪しい。一味と思われても不思議じゃない。
考えろ、考えるんだ俺!!
そうだ!
「実は故郷で、ここの邪神の信者にヒドい事をされまして…。その復讐に来たんです…。」
「…そうか。だが、君一人で出来る事ではない。」
おっと成功したようだ!
でも安田兄さん、もっと人を疑う事を覚えた方が良いですよ。
まぁいいや、この人の良さを利用させてもらおう。
「判りました。復讐はやめます。でも、区切りをつける為に、そこの邪神像だけは壊させてください!」
「…それもいいだろう。それで気持ちの整理がつくのなら…。」
チョロいな、この人!
変な壷とか買わされないか心配になるよ。
心配はさておき、さっさと壊してしまおう。
祭壇上にある邪神像に近づき剣を振るおうとした瞬間、像は安田さんの剣によって壊された。
「だが、こんな物に八つ当たりしてもダメだ!
幸いこの国は今、邪神教を排除して回っている。私の権限で君もこの任務に入れてあげよう!
一人でしなくても良い、共に邪神教を倒そうではないか!」
…なぜそんなに信用されてるのでしょうかね。
そんなに俺、芝居が上手いとは思えないんだけど。
呆然としていると、突然ピコーンピコーンと頭の中で音が鳴り出した。
あっ、因子削除成功ですね。
ん?前回と音が違うような…。
マップを表示してみる。
・・・わぁぁぁ、首都が赤い点で埋まってるぅ~!
という事は、安田兄さんには『心』が無いという事?
何やってんの、この人!!クソ迷惑!!
カッコつけてんじゃねんよ、このアホが!!
慌ててマップを拡大し、赤い点の一つを押してみる。
安田が不思議そうな目で見てるが無視だ、無視!
~~~~~~~
因子(F)
憑依地点:佐藤信夫(邪神教の信者)
[閉じる]
~~~~~~~
予想通り因子(F)が発生している。
違うのも押してみるが、どうやら首都に居る全ての邪神教信者が因子持ちになったようだ。
上の数字は298になってる。200個も発生したのか…。
腹立つけど、丁度良い。安田のプランに乗ってやる。
「判りました。自分もその任務を手伝わせて下さい。」
それを言っている俺の顔は引きつっていたと思う…。
修正:プロローグ?の「玉座の間」→「謁見の間」に変更
次話は明日の20時投稿予定です。




