七話
俺様会長登場!
ここ寮の食堂って男女共有だから朝、晩のピーク時は物凄いことになるから私と風音はいつも人が少ない時間帯を狙って使用してる。
ちなみに今は、七時前だから使用者は少ない。
部活組はもう出ている時間帯だし、一般生徒が使うには早い時間帯だからである。
だからいつもこの時間帯に来てるんだけど…
ナゼコノヒトガココニイルノデショウ?
私の視線の先にはこの頃よく使う席の近くに座られている生徒会長の姿が。
不覚にもそのことに気づかず、会長の顔が目の前にあるのを見てから気づくという。
最悪だ、いつもなら絶対気づいてんのに。
やっぱ、昨日色々あったからかなぁ……。
まぁ、そんなことよりもさっさとここから立ち去らなくちゃね。
さてと、どこに座ろうかな?
「おい、メガネ。なぜ違う所に座ろうとする?」
あんたと関わりたくないからだよ!と言いたいところだが、流石にここでそんなことを言うほど私は馬鹿ではない。
しかもこの俺様の攻略方法ってこいつに反発することなんだよね。
こいつの親の地位がかなり高かったからなのかこいつの周りには自分の言う事聞くやつがほとんどで、それゆえに自分に突っかかってくるヒロインに興味を持つという何とも王道なストーリー。
まぁ、『きみうん』は王道乙女ゲームというコンセプトで売り出されてたから王道なストーリーが多いんだけどね。
あ、ちなみに王道だけって訳じゃないからね?
ちゃんと独創性のあるキャラもいたよ。
色々と濃かったけど…
っと、そんなことよりもこの状況を何とかしないと。
さて、相手は俺様だからな…
変な返事なんかしたらヤバいし…
ど~しましょ~かねぇ~。
私がどこに座ろうと自分の勝手だろ!?と言いたいところだが我慢我慢♪
此処で俺様に目をつけられたりなんかしたら終わりだし。
そ~いや春兄確か俺様と同じクラスとか言ってたよ~な気が…
…………うん、大丈夫でしょ。兄達と私の名字違うし。
うん、きっと大丈夫!
…大丈夫だよね?
あ~ヤバい、物凄く心配になってきた。
兄達の行動は時々読めないし、なんか変な事言ってるかもしれない…
こ~ゆ~時に日ごろの行いが関係してくるんだよね…
残念ながら今の私の中での春兄の信頼度は低い。
あの人、何故か私の話になると物凄く食いついて来るからなぁ…
私は普段の生活では春兄のことを信頼してるがそれとこれとは別物だ。
こればっかしは本当に信用できないよ。
勢い余って絶対なんか言ってると確信できるから。
あ~、ホント春兄のシスコン、どうにかならないのかなぁ…
「おいメガネ、何か言ったらどうなんだ」
おっと、ヤバイ。考えに浸ってて俺様のこと忘れてた。
あ~あ、めんどくさ!
「すみません、少し考え事をしていて」
「ふん、それで?なぜ違う所に座ろうとする」
「席は他にも空いていますし、何よりお邪魔になるかと思いまして」
「なら此処に座れ。別にかまわない」
「………………シツレイシマス」
あ~なんなんだよもう!
せっかくの美味しい朝食が台無しじゃないか!
変に気まずいから風音と話してても長く続かないし、右斜め前の人が何故かこっち見てくるし…
本当に最悪だ。
「おい、メガネ」
「……なんでしょうか?」
ちょっと、返事に詰まった理由は察していただきたい。
俺様となんか喋りたくないのに。
面倒なことを運んでくる奴ベスト3に入るような面倒事の塊となんか。
「お前、あの時なぜいなくなった」
ん?あの時?
ってあぁ、香が木から降りれなくなっていた時のことか…
『イベントに巻き込まれて馬にけられたくないからだよ!』と言いたい所だけど、そんなことを言ったら私は確実に変人扱いされる。
俺様に変人扱いされて遠巻きにされるのは別にいいんだけどね、此処には風音も居るんだよね。
流石に数少ない親友に変人扱いされるのは嫌なので無難な返事をしておこうかな?
「集合の時間になりそうでしたし、先輩も居たので私は必要ないかと思ったので」
「ほぉ、お前はそんなことで俺に仕事を押し付けたのか」
オイコラ、その笑やめろ。
目が笑ってない笑顔やめろ。
無駄に顔が良い分、かなに怖いんだが。
あ~もう!めんどくさい、こうなったらさっさとお暇させてもらおう。
「えぇ、そうです。あ、食べ終えたので失礼しますね。
風音、先行くね」
「あっ、ちょっと待ってよ。私も行く!」
ふぅ、やっとあそこから離れられた。
俺様がなんか言ってるみたいだけど、別にいいでしょ。