十六話
「ほぉ、それは面白いな」
怖い!
そんな目をギラギラさせながら笑うな!
もし此処が真っ暗な場所だったらうっかり腰が抜けちゃいそうなくらい怖いから!?
俺様って、こんな表情浮かべるようなキャラだっけ?
どっちかっていうと腹黒が浮かべるような笑みだよ!?
「しかし、そんな人がいたとは……
外部生は全員チェック済みですから、恐らく内部生でしょう」
「内部生か……、しかし、そんなに優秀な生徒だったら俺らの中の誰か一人くらい聞いたこと有ると
思うんだが誰もいないのか?」
「もし、師匠が言っていた人と同一人物なら目立ちたくないからかもしれないな。
その人、師匠曰くめんどくさがり屋みたいだから」
なんでだろぉ、さっきから自由人を除き全員の目がギラギラしてんだけど。
うわぁ、俺様とおかんのオーラが黒いよ。
なんなのあの人たち?魔王でも目指してるの?
物凄い禍々しいオーラが見えるよ!?
「へぇ、そいつ使えそうだな。風紀に欲しい」
「ちょっと待ってください。風紀はもう十分、優秀な生徒を獲得していますよね?
少しは生徒会に譲ってくださいよ。
こっちは万年人手不足なんですから」
………ナンデコンナハナシニナッテイルノカナ?
いやいやいや、可笑しいでしょう?
なんでそんな話になってんの?
アニキとおかんもなんでそんなに火花散らしあってるの?
私が話の話題になってるのはまだ分かる。
女子生徒で唯一生き残っているから、まぁ目立つんだろうけどさ。
なんで私を生徒会や風紀に入れようとするの?
こういってはなんだけど私は唯の一般人だよ!?
プチパニックになってしまった私は、不覚にも掴んでいた小枝をそこそこ大きい音を立て折ってしまった。
「うん?今なんか音がしたな、何の音だ?」
「枝を踏んだ音とかじゃないですか?誰かが踏んだんでしょう」
とおかんが言ったのでそのまま流されそうになりほっとしたのだが、
「いや、ここいいる人は誰も枝を踏んでなかったし、音も違う方から聞こえたよ」
おいこら、苦労人。なんでこんな所でそんな鋭い感覚を働かせるのかな?
そこは流せよ!勘違いで終わらせろよ!
「どっちの方向から聞こえたんですか?」
「…たぶん、祐里の後ろらへん」
「ほぉ、それならずっとここに隠れていた様だな。
おそらく、俺たちが来る前からだろうな」
ヤーメーテー!マジでここ見つけないでくださいよ。
いくらなんでも逃げ切る自信無いから。
そしてお前らと関わりたくないから。
関わったら最後、面倒な事になる予感しかしないから。
そんな、私の願いも虚しく俺様がどんどん私のいる木の近くまで来てしまった。
「透、音はどの木から聞こえたんですか?」
「いや、流石にどの木から聞こえたのかは分からないよ。
分かるのはこのあたりから音がしたってことだけだよ」
そうか、出来ればこのあたり、という特定も出来なかった方がありがたかったんだけど。
さて、この状況どうしようか。
千穂が一般人なわけがない。