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無意味な人生

作者: らとず

人生とは何か。

そんな問を哲学者は好むが、彼がこんな何の意味もない疑問を私に聞いたのは何故だろう?

彼は哲学者になりたいのだろうか?

いや、そんなんじゃないことはわかっている。彼は苦しんでいるのだ。意味を見出だせない人生に。

彼女のいない人生に。

つまり、哲学者とは人生に意味を見出せない者が至る境地なのだろうか?


確かに人生が充実している人が自分の人生の意味なんて考えているとは思えない。

「今が充実してるからそれでオッケー!」

なんてのんきな思考をできる人生こそ最も充実しており、理想と言えるだろう。未来とは先の今であり、人生は今の繋がりなのだから、今が充実しているならば自分の生きる意味を見つめる必要などない。苦境に立った時も、最後の時も楽しんで死ぬのこそ理想だろう。


では、何故今が退屈になると人は哲学を嗜むのだろうか。彼は何故私に人生について聞いたのか。

イデアだのイドだの宣ったところでそんなものに意味はない。人生について考えたところで何も意味はない。

いや、そもそも人生に意味なんてない。オリンピックで金メダルを取ろうが、ノーベル賞を取ろうが、総理大臣になろうが、だから何だと言うのか。充実していようと結局等しく死ぬだけではないか。


それでも人は楽しみという無意味な感情のために今を生きる。この無意味な感情こそ生きる原動力なのだろう。

では、楽しめない彼は何のために生きるなか。

楽しめないのだから、生きる理由などないではないか。確かに、そうかもしれない。


でも、彼はまだ生きている。このままでは明日にはいなくなってしまうかもしれないが、まだ生きている。

彼は私に人生について問いかけた。その無意味な行為の意味は何か。

それこそが彼の生きる原動力を生む行為なのではないか。

哲学とは人が生きるためのセーフティーなのではないか。


人生とは何かはわからない。そしてこれからも分かるとは思えない。

それでも私は無意味にも彼に生きて欲しいと思う。

無意味な回答で無意味に彼を生かせるなら、私は無意味な人生という存在に無意味にも意味を求めよう。

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