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File:1 -------作ってみたけど探偵部-3

こんばんは。


題名を変更しました。

 龍院は屋上に立っていた。今日の天気はあまり良くない。いつもと違って、空には陰りが見える。日向ぼっこをして、のんびりと過ごすのが龍院の数少ない趣味の一つなのだが、この天気では出来そうも無かった。


 新学期を向かえて二週間経ったが、曇り空になったのは今日と昨日が初めてだ。龍院は曇った空を見つめた。自分の周りを見回してみる。




 だが、そこにはいつものメンバーの姿は無かった。それもそうだろう。今日は学校は休みだ。龍院達に授業というものは無いが、入学した以上ちゃんと学校に出向く義務はある。



 だからこそ、つまらなくても一応龍院達は集まっているのだ。




 今日龍院が学校に来たことに、特に意味は無かった。



 ただ、居場所が無いような気がして。



 龍院には家族というものは無かった。特級能力者(Gアビリティ)である龍院は産まれたときから、既に特別な待遇が用意されていた。



 能力の暴発の危険性がある幼少期は、国の最高管理施設で監視されていた。その監視から逃れられるようになるのは、小学校高学年辺りだ。


 龍院も例外に漏れることなく、その最高管理施設でまるでペットのように日々を過ごしていた。だからこそ、龍院は人と関わることに願望を持っていた。



 まだ知らない親に会いたい、自分以外の人間に会いたい、本で読んだ『友達』という存在を確かめたい。監視から解放された日に龍院はそう思ったが、実際今までで叶ったことは余りにも少なすぎた。部活を作ったのもそういった事が関係しているのかもしれない。



「はぁ……」



 一つ溜息を吐いた。



 確かに、少し走りすぎたかな。

 

 冷静に考えれば、あの時の自分は何かおかしかった。何で、あんなにも熱くなっていたのだろうか。



 龍院はそう感じたが、今更部活を廃部にするというわけにもいかなかった。


 龍院はもう一度溜息を吐くと、首をコキコキと鳴らし降る向きもせずに指を指す。




「……それで、そこいるのは誰だ?」



「……バレちゃった?」




「おう、バレバレ」




 テヘッと笑いながら、三人の女子が出てきた。



 三人とも同じような髪型をしていて、顔の造りもほぼ同じ。違うのは、髪色。赤、青、明るい茶色とまるで信号機みたいになってしまっている。恐らく、この髪の色の違いが無ければよっぽど細かいところまで見ないと、誰が誰だか気づけないだろう。



 全員、この学校の制服に身を包んでいる。



 それに思わず龍院は噴出してしまった。



 余りにも滑稽すぎて。




「えーと、校章が緑って事は一年だよな?」



「私達は、一年B組の学年代表の入間三姉妹。赤髪の私が長女の、入間蛍

イリマ ホタル


「同じく、青色の私が次女の入間光

イリマ ヒカル


「前略。末っ子の入間灯

イリマ アカリ



 順に自己紹介をしていく三姉妹。



「……蛍光灯?」




「「「蛍光灯ちゃうわ!」」」




 驚くべき事に、息がピッタリだった。




「ほんっと、特級能力者(Gアビリティ)っていうのは空気が読めないのね」



「確かに。ていうか字も教えていないのに何で口頭で伝えただけで、私達の名前が分かるのよ!」



「前略。プンプン!」




 三姉妹が仲良く愚痴り始めた。龍院はどうすればいいのか分からずに、暫く見ていることにしたが、一向に終わる気配が無いので龍院は曖昧な笑みを浮かべながら三姉妹に声をかけた。



「それで、用件は? 俺、もうこれから帰ろうと思ってたんだけど」



 龍院はそろそろ雨が降り出しそうな雲をじっと見つめて、そういえば傘を忘れたなぁと心の中で悪態をついた。



「私達だって、時間をかけるつもりはないもん」



「じゃぁ、手短に」



 そうは言ったものの、ある程度龍院には彼女達がここに来た理由を理解していた。特級能力者(Gアビリティ)である自分に向こうから接してくるなんて、おかしい。



 昨日の灯火の言葉が蘇ってきた。



 ――私達は危険なんだよぉ。



 ――人外の生物なんだから。




 ぐるぐると頭の中を駆け巡る。危険。人外。



 自分達は人じゃないのか? こんなにも完璧に創られているのに、こんなにも完璧に溶け込めそうなのに、なのに、なのに。


 世界は自分達を認めてはくれない。それどころか、どこかに疎外させようともしている。


 そんな世界に必死にしがみついて、唯一の繋がりを失いたくなくて。



 そうだ、こんな事を考える時点で自分は正常じゃないのかもしれない。龍院はそう思うと、何故か泣きたくなった。空の色に合わせて、心の色も褪せていく。


「話聞いてる?」



 その言葉で思考の渦から意識が引き戻された。見れば、蛍がいぶかしむ様に龍院を見ていた。慌てて、笑顔になるが正直話を聞いてはいなかった。



「悪い。全然聞いてなかった。けど、どうせあれだろ? 戦いたいんだろ?」




「分かってるじゃん。なら、話は早い。勿論戦ってくれるでしょ?」



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