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File:1 -------作ってみたけど探偵部-2

こんばんは。


日刊ランキング載りました。


これからも宜しくお願いします。


「「「普通に探偵すればいいんじゃ(のでは)?」」」




「ストレートな意見だ。思わず感服してしまったぜ……」



 というような馬鹿騒ぎをしている内に、店員がお盆一杯に注文した品物を載せてやってきた。中でも一際目立っているのは、異様なほどに甘味な香りを醸し出している砂糖菓子。きらきらと輝くようなそのハチミツシロップが何ともいえない。




「おお、美味そう!」



 テーブルに並べられた料理を見て、龍院が思わず感嘆した。しかし、他の三人は龍院の頼んだものから放たれる異常な甘い匂いに若干引いているようにも見えた。



「それで、話はこれで終わりですか? それなら、私はこれを頂いたら帰らせてもらいます」



「お? あぁ、まぁそうだけど。折角だからもう少し話していかね?」



「話す時間なら腐るほどあるではないですか。学校に行っている間なんて、一日中休み時間のようなものでしょう?」



 そういうと、とうらは頼んだ品物をさっさと口に運んでいく。


 龍院は「確かにそうだけど……」と言いかけたが、それもとうらに黙殺されてしまった。後に残るのはカチャカチャと音を立てる食器の音だけ。とうらが食べ始めたのを見て、闇城はミルフィーユ、灯火はバナナパフェにそれぞれ手をつけた。


 釣られる様にして龍院も、砂糖菓子にフォークを入れる。



「ご馳走様」


 丁度他の皆が食べようとした時には、既にとうらのクッキーは跡形も無くなっていた。


「はやぁ……」



 あっという間に食べてしまったとうらに、灯火が目を丸くした。



「また明日」



 それだけ言うと、とうらは自分が食べたものの代金をテーブルに置いて席を立った。その姿に数人の客がまた注目したが、とうらが凄みを利かせて睨むと、自分はまるで関係が無いとでも言うように他の作業にまた手を戻していった。



 カランという音がして生暖かい風が入ってきたが、それもすぐに収まった。



「あーあ、とうらんは折角可愛いのにぃー、愛想がないから彼氏の一つも出来ないんだよぉー」



「どっちにせよ、僕達にそんな関係が持てるわけが無い。友達を作ることさえ出来ない僕達に、それ以上の関係を望むなんて目標が高すぎるよ。『氷の女王』のあだ名を持つ雪花

セッカ

には、関係無いと思うけどね」



「くーちゃんも発想がネガティブすぎるー」



 うー、と灯火が膨れっ面になった。



「ネガティブじゃない。現実的と言ってほしいね。後、何回も言うけど僕の名前は闇城空蛇

アンジョウ クウタ

だ。断じて、くーちゃんでは無い」



「何だよぉー、くーちゃんの癖に生意気ー」



「はいストップー、喧嘩はそこまでな。それに、俺達はこれから探偵をするんだぞ? そしたら、依頼に来た人と友達になれるかもしれないだろ?」



 龍院が二人の間に割って入った。まぁまぁと宥める。


 しかし、そんな龍院を闇城がどこか小馬鹿にしたように薄く笑った。


「倉崎、そんな事で僕達に関わろうとする奴がいると思ってるのか? 僕達が今までに何をした? いいかい、勘違いしているようだから言っておくが、僕達特急能力者(Gアビリティ)は他の人間達とは違うんだ。間違っても、普通の人間と深く関わろうとは考えないほうがいい」


 そういうと、喉が渇いたのか闇城はアイスティーをガブガブと一気に飲み干す。龍院を見る目には、何処か哀れみの様なものが混じっているように感じられた。


 闇城はガタッと席を立つと、真っ直ぐ龍院を見つめて、


「もう一度考え直してほしい。部活をやる事に至っては否定しない。僕も、興味があるからだ。だが、あくまでも目的は暇つぶしであって、交流ではない」


 そして、店を出て行った。



 残された灯火と龍院は微妙な雰囲気の中、パクパクと食べ続けた。



「……分かってるさ。俺が見たいと思っているのは、夢だって」



 小さな声で呟く。さっきまでの興奮は冷め、憂いの様なものが感じられた。



「龍ちゃん、そう落ち込むなってー。くーちゃんも言ってたけど、別に部活する事には皆反対してないんだよ? それに、あんな言い方だけどくーちゃんは心配してるんだよ。龍ちゃんの事」



「心配? 闇城が?」



「そー。心配。ほら、私達って特級能力者(Gアビリティ)でしょ。何かと、皆から敬遠されてるんだよね。何故だか分かる?」


 考えた事が無かった。昔から、特級能力者(Gアビリティ)と言われて。皆から恐れられて。誰も近づいてくれなくて。周りに集まったのは、同じような境遇に立ったとうらや、闇城、それに今目の前にいる灯火だった。だからこそ、それが当たり前なのだとそう感じていた。



 意味も分からずに、その現実に納得していた。


 だが、目の前の灯火はそれを問いかけてくる。



「そりゃぁ、俺達が怖いから……」


「違うよ」



 灯火はいつもとは違って、真面目な雰囲気だった。


「危険なんだよぉ。私達は。だって――」



 龍院は耳を塞ぎたくなった。







 「――人外の生物なんだから」




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