プロローグ
始めまして、 ('@盆@`) です。
読み方は何でもいいです。顔文字とか、盆とか。どうとでも呼んでください。
読み専だったのですが、ふとしたきっかけで書くことも始めてみました。稚拙な小説ですが、
自分の力を全て出して書くのでよろしくお願いします。
――――その日四人の少年少女達は、学校の屋上で輪を作って座っていた。
「なぁ、何かやる事無いか?」
「無い」
「無いですね」
「無いよぉ」
質問をした少年がこれでもかと顔を顰めた。
彼らは、揃いも揃って嘆息する。
一体、このような議題を何回出しただろうか。
何回やっても、答えは見つからない。
完璧に近いというのはつまらないものだ。
「……今日も平和すぎるよなぁ」
少年が空を仰いだ。ゆったりと流れていく雲を目で追いかける。
「平和でいいじゃないですか」
「いや、まぁそうなんだけどさぁ……。なんつーか、やることが無いんだよなぁ」
少年はそういいつつ、雲を眺めるのを止めない。
「やることが無いのは、今も昔もこれからも変わらないのではないですか? 私達は、特急能力者(Gアヴィリティ)です。面倒臭いことは全て他の方にお任せして。永久という名の自由を生まれたときから手に入れたわけですから、それをじっくりと行使していけばいいじゃないですか。――といっても、私も生まれて十七年。そろそろ飽きてきた訳ですが」
少女が眼鏡をくいっと上げる。
「それ! それが気に入らないんだよなぁ。確かに俺達は特急能力者(Gアヴィリティ)だ。けどさ、それだけで特別扱いされても、困るんだよなぁ。俺達がこうやって駄弁ってる間にも、下の教室では同い年の奴らが必死こいて勉強してるのにさ」
「仕方が無いことだね。生まれつき、僕達は普通の人間とは違うんだから。僕達が自然に出来ることを、皆は出来ない」
「相変わらず嫌味な言い方をするなぁ、そういうお前こそ出来ないことあるだろ?」
「僕に出来ないこと?」
「おう。人参が食べれない」
ズルッと少年が拍子抜けする。それに、もう一人の少年は愉快そうに笑った。
「そ、それは得手不得手の問題だ。大体、何であんなものがこの世に存在してるんだ。あの固い触感、オレンジ色の不気味な色、それに不味い」
「人参全否定じゃねぇか」
「私はぁ、人参好きだよぉー?」
妙に間延びした声が割り込んだ。
雲が次第に速く流れていく。
少年がドサッと後ろ向きに倒れた。上を向いて、またため息を零す。
「あー、なんかもうこういうくだらない会話も飽きてきたな」
「くだらない会話ですから。でも、確か話題を振ったのは貴方ですよね?」
「うるせー。なぁ、本当にやる事無い?」
「だから、無いって何回言えば」
「――部活とかはぁー?」
不意に間延びした声が全員をグルリと見回して、そう言った。
「部活? 僕達が、かい?」
驚いたように眼を開く。
「そりゃそうでしょー、他に誰がやるのさー」
「何を馬鹿な事を……。私達が部活に入れてもらえると思っているのですか? 見ての通り、私達は他の生徒との交流はほとんどありません。部活というのは、何をやるにしてもそのグループ内のコミュニケーションや雰囲気が大切なのです。そこに、いきなり私達が入ったら迷惑でしょう」
「えー、良い考えだと思ったんだけどなぁ」
「いや、良い! いいぞ! ナイスアイディアだ!! やろうぜ、部活!」
「えっ。私の話聞いていましたか?」
「入れてもらえねぇなら、俺達が作ればいいじゃねぇか!」
「その発想は無かったー!」
妙に盛り上がる二人に、残されたような形になった二人は顔を見合わせて苦笑する。
「……それで、具体的には何をするんだ?」
「あー、どうしようか」
沈黙の時間。
ポツ、ポツ。
「あ、やっべ。雨降ってきた」
そして、すぐに雨脚は早まっていく
「うわわわわ、風邪引いちゃうよぉー」
「教室に戻りましょうか」
ザアアアアァァァァァァ。
まるで滝のように雨が落ちてきた。雨に当たっても痛くは無いはずなのだが、よっぽそ強いのか体中がチクチクとする。
「戻るか」
その一言で、早足で全員が階段へと向かっていく。
しかし、少年は一人考え込むように立ち尽くしている。
「おい、早く来いよー!」
「……決めた!」
強い雨のせいで、大声じゃないと聞こえない。
「何をー!?」
「――部!」
「聞こえないよぉー!」
少年はもう一度大きく息を吸い込んで、
「探偵部ーーーーッッ!!」
――それが、この四人の少年少女達の『人生』の始まりだった。