第39話 受験と本社と最後の料理教室と卒業
【最終回】
さて受験であるが9月に二人は同じ大学の
総合型選抜(自己推薦型)に出願していた。
そして末日に面接となった。
面接は、複数名の面接官による個人面接で、約30分間行われた。
面接の内容は学習意欲や適性、将来の目標などが問われた。
二人はともに高校生活で、食に関して色々と学んだ実体験を話し、
大学ではフードサイエンスのスペシャリストを目指したいと語った。
胡桃に関しては基礎学力で突っ込まれたが、文化祭や大会などを通して
思った事を詳細に話して挽回した…と思う。
10月頭に1次発表があり合格。
10月末に2次書類を送り11月二人は合格となった。
担任の武田先生は杏奈に関しては受かると思っていたが、
胡桃は15名の枠に入るのは微妙だと思っていたらしい。
そのことを話すと胡桃は文句を言ったが、先生から
「これまで色んなことに頑張ってきた君らの努力の成果だ」
と言ってもらえた。
お世話になった家庭科部の先生にも報告。
同じく胡桃が受かったことに驚いていたが
「あなた達が頑張ってきたからです。大学でも食につて
あなた達らしくやっていって下さい」と言っていただけた。
先生に行った帰りに、
「杏奈推薦で受かるなら受験勉強することなかったんじゃ」
「落ちてたらどうすんの?落ちてから一般受ける為に勉強始めるの?」
胡桃は確かにと思い納得をした。
なにはともあれ、二人とも受かってよかった。
ちょうどその頃コンビニエンスストアから
試作品が送られてきた。
二人は食べて「「美味しい」」と思った。
更に名前の候補がいくつかあげられ、
この中から選んで欲しいと要望。
杏奈と胡桃は話し合い
だんだんクリームチーズ白玉を選んだ。
最後にパッケージを決めることになり
今度はこちらからコンビニエンス本社に足を運ぶことになった。
「ねえ杏奈。コンビニ商品最終決定だよ」
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杏奈と胡桃はコンビニエンスストアの本社にやってきた。
受付で要件を伝えると、すぐにこの前きた企画の人がやってきた。
「ご足労ありがとうございます」と言った後に会議室へ。
そこでだんだんクリームチーズ白玉の最終確認と
パッケージを決めることに。
いくつかの候補の中から杏奈と胡桃は決め、
これで商品開発は終わった。
折角なのでと今回共同開発をした他校の商品も食べさせてもらえることに。
全部で5商品。杏奈と胡桃の高校以外の4つは有名大学であった。
内容はお弁当2つにおにぎり・スイーツ。
名前とパッケージも大学側が提案したものとのこと。
そしてそれぞれ解説してもらい、中にはフードロスや低糖質・低カロリー
野菜・タンパク質強化などを謳っているものも。
杏奈と胡桃は美味しいものをとしか考えてなかったので、
勉強になったことと反省をした。
そうしてると「失礼します」と新たな人がやってきた。
名刺を渡され、人事部の人とのことだ。
「端的に申しますと、お二人は当社に来ませんか」
二人は驚いたが大学に受かったことと入学希望と伝えると。
何大学の何学科かと尋ねられた。
〇〇大学の食物学専攻と答えると、
「卒業後は当社をご検討を。お二人を拝見しますと、
食品開発部などはいかがでしょう」
二人は顔を見合わせた。
胡桃が返事をしようとしたのを杏奈が止め
「なんと言っていいのか、光栄に思うことと感謝に堪えません。
ですが今、今回の企画で他校の商品を見てわたし達は
まだまだ至らぬことばかりと痛感しました。
大学で基礎から学び、その上で考えさせていただきます」
「わかりました。学業頑張って下さい」
「ありがとうございます。本当は嬉しくってたまらないんですが」
と杏奈が言うと
「ははっは。当社はお二人に期待してますので」
そういって人事の人は去っていった。
杏奈と胡桃も出ることにし、お礼をいって出ていったのである。
帰り際に杏奈が「ごめんね。胡桃断って」と言うと
「わたしもそう思ってたんだよ。わたし達はまだまだたくさん勉強しなくちゃね」
「胡桃の口から勉強という言葉が…」
「なにをー」
こうして二人は帰っていったのである。
「ねえ杏奈。最後の料理教室だよ」
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杏奈と胡桃はアルバイトに復帰した。
胡桃がコンビニエンスストアに来るとパンコーナーには
だんだんクリームチーズ白玉のコーナーが出来ており
大々的に宣伝されていた。
「店長これどうしたんですか?」
「うちのアルバイトの企画したのが商品化されたんだ。店をあげて応援だ」
「店長ありがとう」と胡桃が言いレジに立った。
そして「新発売のだんだんクリームチーズ白玉パンいかがですか。
とっても美味しくてお勧めです!」
店内に聞こえるように声をあげたのだった。
あんくるキッチンラボでは最後の行事が行われた。
料理教室である。
事前に告知とアンケートを。
アンケートは思いっきり分散したので、
家に友達を呼んだ時にみんなに出せる料理を選んだ。
「う~ん鍋とか」胡桃
「鍋は夏食べないからダメ。オールシーズンじゃないと」
「じゃあスパゲッティ。大皿とか」と胡桃
「いいねえ。ならピザとかは…オーブン有る無し問題で無理か」
「パエリアは?」と胡桃
「ムール貝が手に入りにくいから」
「ならあさりで代用」
「それならいいか」と杏奈も了承
そしてあさりのパエリアとして告知をしたのであった。
最後とあって満員となったので、
抽選に漏れた人にはレシピをコピーして渡した。
ちょっと申し訳なく思う。
当日。
「みなさんこんにちは杏奈です」
「胡桃です」
「本日はお集まりいただきましてありがとうございます。
本日みなさんに作っていただくのは、あさりのパエリアになります。
本来ですとあさりではなくムール貝を使用するのですが
手に入りにくいなどの事情があり、あさりで代用することになりました。
もちろんムール貝を使った場合もお話いたします。では」と杏奈が喋った
あさりを砂抜きして、にんにくと玉ねぎはみじん切り、
パプリカは短冊切り鶏肉は食べやすい大きさに切って塩コショウ。
水と白ワイン(料理用ワイン)コンソメとサフラン又はターメリックでスープを。
鍋又はフライパンにオリーブオイルを入れ先ほど切ったのを炒める。
お米をとかずに入れ5分炒めた後、スープとトマト缶を入れ、
あさり、エビを加える。
沸騰したら蓋をして弱火で15分、蓋をとり15分蒸らす。
最後にちょっと温めて完成。
みんなで食べることになった。
「美味しい。私女子力あがるかも」
「パエリア作れるとは思わなかったよ」
「パエリア作れるってマウントとれそう」
と好評であった。
そして、
「これにてお食事研究会による料理教室は終わります。
今まで来て下さった方、今日初めて来て下さった方」
「「ありがとうございました」」
拍手とともに
「やめないで~」
「留年して来年もやって下さい」
「今までありがとう」
と色々声をもらった。
二人はちょっと涙ぐんだ。
ほんとやってよかった。
「ねえ杏奈。卒業だよ」
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今日は卒業式である。
体育館で卒業式。
杏奈と胡桃は泣かなかったけど、胸にくるものはあった。
その後はクラスのみんなとお喋りしてスマホで写真を撮って…
部室に行って最後のお別れ。
冷蔵庫は調理実習室に置かれることになった。
そしてその調理実習室へ。
そこには家庭科部の先生がいた。
二人は先生に挨拶
「「いろいろお世話になりました」」
「先生にはとても感謝しています」と杏奈
「今まで本当にありがとうございました」と胡桃
先生も「あなた達をみていてほんとうに楽しい時間でした。
たまには顔を出して下さいね」
調理実習室を見回した。
色々な思い出が蘇る。
ちょっと泣きそうになった。
「あなたたち最後になにか作っていきますか?」と先生
「いいんですか」と胡桃
「最後なので構いませんよ」
二人は顔を見合わせた。
お互い作りたいものがあるようだ。
「せーので言おうか」と杏奈
「うん。それで」と胡桃
二人は声を合わせて「「せーの。北海道のチーズ焼き!」」
この料理から始まったのである。
(完)
あんくるキッチンラボをお読みいただきありがとうございます。
ただただ感謝の気持ちです。
食事ものを書きたいと思い、気づいたら初の10万文字以上になりました。
大会や料理を調べるのも楽しかったです。
【宣伝】3月6日20:20より喫茶研!2を投稿予定です
以前書いた喫茶研!の続編です
こちらもお読みいただけたらと思います




