第29話 再び文化祭と全国料理協議会と後半開始
文化祭に向けて八人は準備に入った。
まず焼きおにぎりは、均一にする為におにぎり型を購入。
そして塗る出汁だが、色々試して出汁しょうゆにごま油を少し
塗るレシピで決定した。
もちろんバーガー袋に入れて、
かつお節をたっぷり振りかけて提供だ。
フレンチトーストは料理教室で作ったレシピで。
卵と牛乳と砂糖にバニラエッセンスも使用。
ホイップクリームを添えたかったが、手間を考えて断念。
タッパーを10個ぐらい用意して作り置きを。
お皿とナイフとフォークで提供。
スムージーはブルーベリーに牛乳とヨーグルトを。
プラスチックのカップと太めのストローを添える。
紅茶はダージリンを。
ティーカップにソーサーとスプーンを。
スティックシュガーを添えて。
そして文化祭は去年同様空き教室で、
店名も同じくあんくるキッチンラボになった。
今年はIH調理器2台に、ミキサーと電気ケトルを借りた。
杏奈と胡桃と家庭科部の一人が接客で残りの家庭科部が調理だ。
そして迎えた文化祭当日。
出だしはまずます順調。
しかし途中から混み始めた。
1番人気はフレンチトーストと紅茶の組み合わせ。
焼きおにぎりとスムージーが思ったより出ない。
焼きおにぎりは、以前見たお店では、炭火で目立つように作っていたが、
こちらはIHで焼くから地味だったのかもしれない。
味は満足してくれてるのが救いだ。
スムージーは紅茶と飲み物が被ったからかも。
フレンチトーストは一人担当なので、大変そうだった。
そして夕方にパンと卵が切れて終了となった。
事前の予想と本番は違うと改めて思い知らされた。
2日目はパンと卵などを1.5倍に用意。
焼きおにぎりのを客席に近い所で調理するようにして、
匂いで購入してもらう作戦に。
スムージーは…諦めた。
ブルーベリーもかぎりがあるということで、初日と変更せず。
初日と比べて焼きおにぎりは売り上げが伸びたと思ったら、
ごま油が切れて夕方終了となった。
お客も多く来てくれたけど、
初日、2日目とも品切れを起こしたのは反省点だ。
嬉しいより、悔しいの方が強い。
例えば友達に頼んで買って来てもらうなどやりようがあったのではと。
こうして2年の文化祭は終わった。
「ねえ杏奈。いざ北海道へ」
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10月の中旬の金曜日の朝、杏奈と胡桃と先生は札幌に向けて出発した。
事前に学校側には金曜日に全国高校生料理協議会に出場の為、
休みを申請していた。
本選は翌土曜の9時なので前の日に札幌に行き宿泊することになった。
しかも、料理に出す器などはこちらで用意しなければならないので
4人前分を杏奈と胡桃が持って行くことになった。
更に食材も米以外は用意しなければならず、
仕方ないので前日に生ものは札幌市内で購入することになった。
札幌には羽田に出て飛行機という手もあったが、
2万円近く安くなる新幹線を選んだ。
そして途中で特急へ乗り換えて札幌に着いた。
札幌に着くと急いで食材調達へ。
あさりや貝殻付きの帆立などを購入してホテルへ。
食材は冷蔵庫に入れて、お風呂に入ったらすぐに就寝。
朝早くホテルを出て目的の会場へ電車とバスを乗り継いで行った。
受け付けを済ますと、急いで準備に。
コックコートと帽子に着替え食材と器等の準備。
前日からバタバタしながら、なんとか9時には準備が出来たって感じだ。
先生は色んな人に挨拶をしているが、杏奈と胡桃には全く余裕がなかった。
他の出場校も大差はない感じだった。
余裕があるのは2チーム参加してる会場である
地元の高校からの、4人ぐらいだろう。
事前に抽選があり、前後半4チームずつ別れるのである。
結果チームあんくるキッチンラボは後半組になった。
これには杏奈と胡桃は喜んだ。
やっと落ち着けるのと、前半組を参考にできるからだ。
9時になると開会宣言みたいなのが始まり、主催者側の挨拶があった。
そして各チームの簡単な紹介。
あんくるキッチンラボも紹介され、杏奈と胡桃は
「「がんばります」」とだけ言って終わった。
その後はすぐに前半組がスタート。
杏奈と胡桃はその様子をじっと見ている。
4チームはスタートの合図とともにすぐに調理を開始。
見てる分には各チームとも手際よく見える。
各チーム順調そうに見えた時、1人が調理器具を落とした。
会場がざわついた。
急いで洗って再会したが、明らかに動揺している。
80分あたりで1チームが完成して料理が運ばれていく。
その後は片付けに入った。
そして100分がたち、時間終了の掛け声が。
調理器具を落とした人は、泣いてしまった。
他に片付けが終わらないチームもある。
時間内に終わらないと減点である。
杏奈と胡桃は顔を見合わせた。
お互い不安になってきたのである。
しかし胡桃が小声で「大丈夫。たくさん練習したから」と言って杏奈をみた。
杏奈は頷いた。
各チームが退いた後は自分達の番だ。
そして開始の掛け声が。
「ねえ杏奈。がんばろう」
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後半組の調理が開始になった。
杏奈と胡桃は練習通りに担当料理の調理を開始した。
しかし、事前に説明があったのだが、
調理台や器具の使い方で少し戸惑ってしまった。
慣れない器具などを使うので、少しだが手こずる。
指定されたコックコートと帽子の作業も慣れてない為やりにくい。
杏奈が白ワインバター深川めしと並行してチーズ粕汁を作り始めた。
胡桃は貝焼き味噌カレー粉乗せと豆腐と大根のグラタンにみかんソースだ。
深川めしに関しては、あさりを前日に準備したので、
十分すぎるほど砂抜きが出来てる状態でスタートできたのが有難かった。
最初こそ苦戦した二人もすぐに落ち着き、練習通り淡々と作っていく。
予定通り杏奈の方が先に終わり、クリームチーズ白玉だんごを作り始めた。
クリームチーズ白玉だんごを作り終えると、
胡桃が先に作っておいて冷やして置いたみかんソースをかけた。
そして料理が完成した。
時計は開始から90分経っていた。
料理を盆に乗せて運びだし。
ちなみに用意された盆に器などが乗りきらないと減点される。
運びだされた後は片付けを開始。
二人が周りをみるとまだ料理中のチームが1チーム。
そのチームは時計をみて泣きそうになっていた。
100分がたち終了の掛け声が。
まだ料理を作ってた1チームは終わっていない。
この時点で10点減点が確定。
後10分で終わらないと失格だ。
5分すぎたところでなんとか終わった。
なんとか終わったというか終わらしたというか。
5分も過ぎたので更に10点減点。
このチームは絶望的だろう。
二人とも泣きそうである。
後は16時から表彰式だ。
16時になると主催者側の二人が話とアドバイスなどをした。
そして結果の発表。
「ねえ杏奈。わたし…」




