第21話 お菓子料理教室とエビ料理と秩父
杏奈と胡桃は家庭科部の先生に呼ばれた。
「あなた達のブログは拝見しています。
春休みも色々と作ってたみたいですね。
ただ2年生になりましたので、勉強の方もしっかりとやって下さい。
今日呼んだのは校長先生から、さっそく料理教室を
やってくれないかとのことです」
「はい。料理教室の方はわたし達の方はいつでもいいのですが」と杏奈
「では2週間後あたりの昼はどうでしょう」と先生
「はいそれで大丈夫です。さっそく告知とアンケートををします」と杏奈
二人は部室と生徒会のマルチコピー機などを借りたりして、さっそく告知。
アンケートは約30枚。
性別はほぼ女子。
1番多い内容は誰でも作れるお菓子であった。
「誰でも作れるか。クッキー?」と胡桃
「いいのがあるよ。ラスク」と杏奈
「ああ。それでいこう」
さっそく次回料理教室はラスクに決定と告知。
当日、調理室満員の30人が集まった。
男子は2人だけである。
調理台にわかれてから、料理教室が始まった。
「みなさんこんにちは。2年生の杏奈です」
「こんにちは。同じく2年生の胡桃です」
「今日はアンケートで要望が多かった、誰でも作れるお菓子ということで
ラスクを作りたいと思います。今回はオーブンを使用しますが、
オーブントースターでもフライパンでも出来ますので、気軽に作れると思います。
そして何種類かの味を作れるように用意しましたので、班ごとに話し合って
好きなのを作って下さい。そして質問等があればどんどんして下さいね」と杏奈
「まずは共通の作り方の説明からします。
ざっくり言うと、フランスパンを切って、水分を飛ばして、味付けです」と胡桃
「フランスパンを切りオーブンだと140度で20分ぐらい。
オーブントースターだと10分ぐらい焼きます。
塗ったりするものによって、先に味付け、後に味付けをします。
どっちにするかはレシピに記載されているので見て下さいね」と杏奈
「それでははじめましょう」と胡桃
そして用意された、チョコレートやシナモンパウダーにバターミルク。
はちみつや練乳も用意されている。
あとトッピング用のチョコスプレーも。
みんな喋りながら楽しく作っている。
杏奈が突然実習室の隅に行きなにやらコソコソと。
そしてみんなが出来上がると杏奈が
「紅茶を用意しましたので、よかったらどうぞ」
と紙コップの紅茶を配っていく。
胡桃は聞いていなかったので、ちょっと文句を言っている。
そして…
「バターミルク美味しい」
「練乳も合うね」
「チョコレート、バレンタイン前に知りたかった…」
と概ね好評である。
最近協議会のことばかり考えてたけど、
料理と食べるのは楽しくなければと思った二人であった。
「ねえ杏奈。この料理はどう?」
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「杏奈杏奈。昨日マヨネーズと味噌のディップが美味しかった」
「うんうんわかる」
「それでですねえ、マヨネーズも味噌もエビと相性いいなと思ったのだ」
と胡桃
「ふんふん」
「調べたらエビのみそマヨチーズ焼きてのがあるじゃないですか」と胡桃
「ふむ」
「今日はこれを作ろう」提案する胡桃
「わかった。今日は胡桃に任せた」
「アイサー」
「材料はエビ・味噌・マヨネーズ・チーズでいいの?」と杏奈が聞く
「あと酒とにんにくね。味噌は白味噌でチーズはピザ用で」と胡桃
「わかった。あっそれとそっち」と横を見る杏奈
「うん?」
「そっちみて」と促す杏奈
「うわ冷蔵庫!」驚く胡桃
「部費で買いました」
「なんで相談してくれないの?」文句を言う胡桃
「時間がなかったんだよ。それと胡桃にいうと大きいのにしろっていうだろうし」
「そうだよ。大きい方がいい」
「そんなに大きくなくていいの。さあ買いに行こう」と杏奈
「ぶーぶー」と不満たらたらの胡桃
そして赤エビ4匹と白味噌とマヨネーズとチーズと料理酒を買ってきた。
早速調理実習室で料理。
マヨネーズ・白味噌・にんにくをすりおろしたのを混ぜる。
エビは水洗い後。水気をキッチンペーパーでよく拭きとる。
その後頭の付け根から背中を開いていく。
深すぎて完全に切らないように注意。
そして開いて背ワタもとる。
開いた部分に塩コショウをして、マヨソース、チーズを乗せる。
200度のオーブンで15分焼く。
ここまで胡桃一人で料理している。
杏奈はずっと見ている。
胡桃が「完成」と言ったら
杏奈が奥に行き、持ってきた乾燥パセリを振りかけた。
「これでよし」と杏奈
「最後だけやるとかえらい先生かよ」と胡桃
「緑が入って見た目が更によくなったでしょ」と否定もしない杏奈
「う・うん」
それから食べることに。
「皮ごとやいてるからか味が濃厚ね」と杏奈
「でしょ。コクがあって美味しいよね」と胡桃
二人は目を合わせて「候補ね」と言った。
「ねえ杏奈。久しぶりに食べに行こう」
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「久しぶりに何処か食べに行こうよ」と胡桃
「まあいいけど、何処行くの?」と杏奈が聞く
「ち・秩父…」ちょっと小声で言う胡桃
「今から?正気か」と杏奈が言う
「だって食べたいんだもん」と胡桃
「何を?」
「わらじかつ丼」と胡桃
「わらじかつ丼?」何それって感じの杏奈
「そのまんま。わらじのようにでかいカツがのってる丼。秩父名物」
「え~とここから2時間半か」ため息をつきながら杏奈
「秩父じゃなくて西武秩父の店だから少し近いよ」と訂正する胡桃
「駅チカ?」と杏奈が聞く
「ちょっと歩く。駅チカもあるけど」
「正気か」またもため息まじりの杏奈
「行こうよ杏奈」
「はぁ仕方ない。行くならとっとと向かうよ」諦めた杏奈
電車で2時間以上。そして徒歩15分で目的の店に着いた。
店内は混んでいる。とりあえず席に着きメニューを見るが…
わらじかつ丼2枚入りか1枚入りかだけ。
胡桃が2枚。杏奈が1枚を注文した。
待つこと10分弱で配膳されたが…
でかい。
とにかくでかい。
蓋が閉まらない。
杏奈がキョトンとしている。
さっそく食べることに。
薄くやわらかいお肉に甘辛いしょうゆベースのタレが美味しい。
二人とも喋らず無心で食べたのである。
セットの漬物とお味噌汁も美味しい。
お腹いっぱいになって杏奈が「じゃあ帰ろうか」と言うと
「あのぉ、帰りに1店寄っていい?」と胡桃
「まさか」
「もう1つ食べたいものが…」と小声で胡桃
「まだ食うんかい!」ツッコむ杏奈
「でもおやつですよ」と胡桃
「何?」ちょっと気になる杏奈
「みそポテト」と胡桃が答える
「それも秩父名物なの?」と杏奈
「そうで~す」
「はぁ。今後の為にも仕方ないか」またも諦めた杏奈
駅方面に向かうとフードコートみたいなところが。
券売機で胡桃が2枚買ってカウンターに向かった。
そしてみそポテトなるものを渡されたら、1つを杏奈に。
「はい。食べてね」と言って…
杏奈は一口でよかったのにと思ってたが言えなかった。
そして座って食べることに。
蒸したじゃがいもを串刺し。
それをカラリと揚げた天ぷらに、みそだれをかけている。
またもや甘辛い味。中毒性が高そう。
二人は目が合い。「候補」と言った。
「ねえ杏奈。ごはんが進む料理ってなんだろう」




