第18話 おやき料理教室とスコーンと全国高校生料理協議会
次はおやき作りである。
使う粉は強力粉と薄力粉のMIXを使うのは決めていた。
具材も信州料理なので、野沢菜、きのこは決定で、
相性のよい茄子と切り干し大根も決定している。
後はその他だが…
「洋風も入れたい。じゃがいもとチーズと
ベーコンとツナを推薦」と胡桃
「はい決定。洋風は入れたいとわたしも思ってた」と杏奈
「ブルーベリージャムとあんこ」と胡桃が提案
「はい決定。スイーツは入れたいとわたしも思ってた」と杏奈
「カレーとシチュー」と胡桃が言う
「はい却下」さっきまでとは違う杏奈
「なんでよ」と不満顔の胡桃
「汁物はダメ」と杏奈
「代わりはりんごとコーンで以上12種類で決定」と胡桃
「まあいっか」
こうしておやきの具材も決まりいざ料理教室へ。
この前から少しだけ経った昼の時間におやきの
料理教室が開催された。
こちらも満員の30人である。
しかしこの前と違い男子は6人だけ。
女子も1年生が多い。
時間になると杏奈が挨拶
「初めまして。みなさん。お食事研究会の杏奈です。
本日はお集まりいただきありがとうございます。
今日はおやきを作りたいと思います。
みなさんよろしくお願いいたします」
続いて胡桃
「初めまして。みなさん。お食事研究会の胡桃です。
本日はお集まりいただきありがとうございます。
みなさん知っていますか。
信州名物のおやきは縄文時代には原型と思われる
やきもちのような加工食品が作られていたそうです。
なんか歴史を感じますね。
おやきは好きな具材で作れるのも魅力です。
今回色々具材を用意しましたので。
グループ毎に話し合って決めて下さい」と長々と話した。
そして杏奈の生地の作り方の説明が始まった。
「ボウルに強力粉と薄力粉を入れて、ぬるま湯を加えます。
こねてからラップをかけて30分以上寝かす。その間に具材作りです」
胡桃が引継ぎ
「定番の野沢菜場合は塩抜きしてから。砂糖、みりん、
みそを加えて3分ほど炒めます。
じゃがいもを使う場合は皮をむいてゆでます」
杏奈にかわり
「生地ができたら1人前分をとり、手のひらで丸くする。
その後潰して平たくして、手で伸ばす。
具材を入れ、包んでいきくるむ。
フライパンにゴマ油又はサラダ油を引き両面焼く。
その後水を少し入れ、蓋をして蒸す。これで出来上がり。」
最後に胡桃が
「わたし達二人と先生が見て回るので
質問とかあったら声をかけて下さい」
最初は皮を伸ばして包むのに苦戦してる人もいたけど、
すぐに慣れたみたいで次第に焼いていく音が。
ただ、グループ毎にペースが違う。
具材で意見が分かれたのが原因だ
。
杏奈と胡桃は事前に具材が何かを知らせて
おくべきだったと反省をした。
しかし出来上がると
「チーズじゃがコーン美味しい」
「きのこと茄子の組み合わせもいい」
「ブルーベリージャム甘くていいね」
「切り干し大根もっと味付ければよかった」
と概ね好評である。
「最後に今回強力粉と薄力粉を使いましたが、
無い場合は薄力粉だけでも代用できます。
そして後片付けもしっかりやりましょうね」
と胡桃が言って料理教室は終わったのである。
「ねえ杏奈。もうすぐ2年生だね」
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料理教室が終わって数日後、
校長先生と家庭科部の先生に呼び出された。
料理教室が非常に好評だったことから
二人に定期的に開催して欲しいとの内容だ。
もちろん二人は了承した。
校長先生からは、代わりといってはあれだがと、
研究会ながら部費が出ることになった。
二人は喜んだ。
帰りに家庭科部の先生から
「あなた達のブログは見ています。
国内外いろんなものを作ってはいますが、バランスが悪い。
私に考えがあるのですが、もしよかったら汁物と
デザートやお菓子も作ってみて下さい。
あと郷土料理を作るのも続けて下さい」
わかりましたと答えたが、なんでだろうと二人は思った。
「汁物とデザートと郷土料理ってなんだろう」と胡桃
「先生も考えがあるって言ったよね」と杏奈
「言われてみるとデザートとかってなんか作ったっけ?」
と思いだしながら胡桃
「う~ん。デザートというかおやつっぽいのなら
いももちとか?」と杏奈
「じゃあさあ、今日は甘いの作ろうよ」と胡桃
「いいけど何にする?」と杏奈
「部室に行って決めよう」
部室でパソコンやスマホや料理本を見ながら話し合った結果
スコーンを作ることになった。
「材料は…あるもので揃い…
牛乳と無塩バター買うぐらいか」と胡桃
「そうだね。そういえば部費っていくら出るんだろう。
ここに冷蔵庫なんか買っちゃったりできるかなあ」と杏奈
「冷蔵庫いいねえ。でもここ普通の部屋だけど
置いて大丈夫なのかな?」と胡桃が言う
「部費出たら聞いてみよう。
まずは牛乳と無塩バター買いに行こう」と杏奈
そして牛乳を買ってくると早速調理実習室でスコーン作り開始。
ボウルに薄力粉と砂糖、塩、ベーキングパウダーを入れて混ぜる。
バターを入れ、カードで切るように粉とバターを合わせていく。
バターの塊がなくなってきたら、
両手の指先を擦り合わせて粉とバターを混ぜる。
牛乳を入れてゴムベラで混ぜる。
手で何回か折りたたむようにしてまとめていく。
ラップに包み、冷蔵庫で1時間以上休ませる。
打ち粉をして生地を伸ばしたら型で抜く。
クッキングシートを敷いた天板に並べ、表面に牛乳塗る。
200℃に予熱しておいたオーブンで15~20分間焼いたら完成。
スマホでパシャリしてから紅茶をお供に実食。
「美味しい。でもちょっとボソボソしてるかな」と胡桃
「伸ばすときに伸ばす、畳む、伸ばす畳むと
繰り返せばいいんだって」と杏奈が言った
「あ~んもう。さっきやっておけばよかった」と悔しがる胡桃
「手を抜いてはいけないってことだよ」と杏奈
「でもデザートというかお菓子作りも楽しいね」と胡桃
「また今度別なの作ろう」
「ねえ杏奈。先生から勧められたよ」
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1年生最後、そして春休み直前に家庭科部の先生に呼び出された。
「あなた達、全国高校生料理協議会を知っていますか」
杏奈と胡桃は顔を見合わせた。
そして「知りません」と
「簡単に言うと料理の甲子園です。
出場するには応募制なのですが、
この大会二人一組なんです。ペア戦ですね」
まさに杏奈と胡桃にうってつけの大会だ。
「そして一次選考があり通過すると二次選考。
そして本選となります」
「はい」
「料理の規定とか諸々あるのですが、問題は本選が北海道なんです。
だから親御さんの許可が必要なんですが…」
「それは問題ないです」と杏奈と胡桃
「では1次選考は8月中旬までに応募です。
それで内容は資料を渡しますが、
毎年課題が出されます。
例えば秋に食べたい高校生のアイデアメニューとか
日本の名物料理×高校生のアイディアのセットメニューとかですね」
「アイデアメニューですか」と杏奈
「ルールがいくつかあって、 まず
主食、主菜、副菜、汁物、デザートの構成とすること。
副菜は1品とする。なお、本選時に
必ず用意できる食材を使用すること。」
「5品ですか」と胡桃
その他の話では
主食は「北海道米」を使用すること。
なお、その場で炊き上げることとし、
白飯もしくは調理を加えた状態で提供すること。
また、使用する品種について、選んだ理由を書類に記載すること。
デザートは指定され、材料、量、使用する銘柄、
既定の型など細かく設定されている。
尚デザートのアレンジは自由。
北海道の食材を1種類以上必ず使用すること。
その食材を使用する理由を書類に記載すること。
地元の郷土料理や名物料理からヒントを
得た料理(アレンジを加えたもの)を1つ盛り込むこと。
また、ヒントを得るためのベースとして、
なぜその料理を選んだのか理由を書類に書くこと。
例として
山形の郷土料理の芋煮とイナゴの佃煮のアレンジのコロッケ。
岡山のばら寿司「とどめせ」を「中華風とどめせ」にアレンジ。
1人前の材料費は1,200円(税込)以内とし、
4人前合計4,800円(税込)の原価を表に
記載すること(調味料分も含む)。
他には使用する北海道米の原価は決まっている。
和洋中のジャンルは問わない。
レシピの記載にあたっては、審査員が理解しやすいよう分かりやすく
詳細に記載すること。
本選時のルールである調理時間100分以内に
4人前を完成できるレシピとすること。
応募前に実調理をおこない自身が作成した
レシピの調理時間が妥当かどうかを確認の上、応募すること。
素材から調理する内容で考案すること。
ただし以下の出汁類は仕込み時間を要するため顆粒の使用を可とする。
なお、その場合はレシピに必ず記載すること。
【使用可】フォン・ド・ボー、フュメ・ド・ポワソン、鶏がらスープ、
白湯、調理済み・半調理済みの市販の食品の使用は不可。
ただし、法律上、生の状態では移動できない食材などについては
個別に事務局へ相談可とする。
装飾や盛り付ける器は自由。
「……」頭がパンクしそうな胡桃
「条件が事細かく決まっているんですね」と杏奈
「細かいよ~。複雑だあ」と胡桃
「もちろん受ける、受けないは任せます。
ただこういう大会があるという話ですから」
「「やります」」
こうして新学期に向けて新たな目標が出来たのだ。
「ねえ杏奈。資料を検討してみない」




