行くべき場所
掲載日:2025/11/10
雲が低く厚く
居座るのはいつものこと
それにならい
このちいさな町が
暗く沈んでいるのも
いつものこと
高校生まではよかった
毎日行くべき場所があった
学校に行けば
自分のおさまる席が
きちんとあった
それだけで安心できた
卒業して
行くべきところがなくなって
しかたなく
ハローワークに行く
そこには
学校のクラスで見た顔が多くあり
自分のおさまる場所は
ここなのかなと
錯覚すら起こす
高校とちがうのは
知った顔が
ひとり
またひとりと
いなくなっていくこと
ある子は
なんとか仕事が見つかり
またある子は
結婚し子どもを産んで
そしてまたある子は
仕事を求め都会へと旅立つ
ひとり
またひとり
そうやって
いなくなっていく
わたしはここでも
ひとりになった
仕事が見つからず
結婚する相手もなく
都会へ行くだけの勇気もない
何か変わるだろうか
まじめにここで
仕事をさがしていれば
何か変わるだろうか
高校のときと同じように
まじめに学校に行っていても
何も変わらなかったみたいに
ここでも
何も変わらない
そんな気がしている
それでも
ひとまずの
自分の行くべき場所として
わたしは今日も
ハローワークに行く




