壁達の食宅と孤高の射手
前回のあらすじ…
押し寄せる感染者の壁から逃げるために、シンの先導の元、進んでいく一行…
道中はぐれ感染者がいたが、シンはこれを静かに撃破…
そしてメモを取り出し、何かを記録する…
晴人たちはこれを、ゲームのスコア票と解釈した…
そして夕刻…感染者たちから身を守るために、シンたちは屋根に上がった…
シン「この感じだと…うん…明日には2週間くらいの距離まで引き離せそうだな…」
シンは望遠鏡で押し寄せる黒い壁の動向を見ていた…
晴人「また一人で何か言ってるよ…」
麟「まぁ…気にしないでおきましょ、彼にとって私たちはいざという時の壁…あまり関わろうとしてこないなら、それでいいんじゃないかな…」
艾「同感、あの人たちをゲーム感覚で殺してるやつと話すなんてこっちから願い下げ。」
菫「まぁまぁそう言わずに…現に彼のおかげで僕らまだ生きてるんですから…」
4人は缶詰を食べながら話していた。
晴人「はぁ…缶詰がこんなにうまいなんて思ったの初めてですよ…」
菫「僕もです…こんな世界になる前は、缶詰なんて好き好んで食べてませんでしたからね。」
ちなみに食べているのはサバの缶詰。
晴人「というか、さっきバックパックの中見ましたけど、まだまだ余裕ありましたよね?この人数でも1カ月持つくらいには…」
菫「水も結構な備蓄量ありましたね、麟さんか艾さんが持っていたんですか?」
艾「いや、私じゃない…」
麟「私でもないよ?」
晴人「じゃあ…あいつが?」
みんながシンに視線を移すと、シンは双眼鏡で周囲を見ながら缶詰と水を少し飲んでいた…
麟「そういえば…シンさんのバックパックって皆さんのより大きいですよね?」
艾「確かに…でも、食べてる量も飲んでる量もあれだけ?」
菫「温存しているのかもしれませんね…」
すると、シンがこっちを向いた。
シン「いつまで起きてんだよ…さっさと寝ろ、寝ぼけた盾なんざただの荷物でしかねぇんだよ。」
相変わらず口調が強い…
晴人「はいはい…」
仕方なく4人は眠りにつくことにした…
深夜…晴人は中々なれない場所での睡眠なので、うまく寝付けずにいた…
ふと、シンの方に目をやると…もう深夜だというのにまだ起きていた…
晴人「(まだ起きてる…なんで寝ないんだ?)」
すると、シンの隣に置かれていた、一本の空の注射器に目が止まる…
晴人「(あれ…注射器?なんであんなもんが…)」
するとシンは、空の注射器を下に投げ捨てた…
そして腰のポーチを確認した…
シン (ぼそぼそ…)「あと…28…」
その28という数字は、恐らく中に入っている何かの残りの数…
晴人は何か見てはいけない物を見たと思い、目を伏せて、そのまま頑張って眠ることにした…
続く…
この度は壊れた世界の嘆きの歌を読んでいただきまして誠にありがとうございます。
ゲームクリアがチュートリアル、作者の妖峰輪廻です。
さて、今回はちょっとシン君の様子が見れましたね。
深夜でも起きていて、何か注射した形跡…そして謎のポーチの中身の数が28…
これが何を意味するのか、ぜひ楽しんでください‼
あ、ちなみに言っておくと注射したらヒーハーするものではないのでご安心を。
それでは、また次のお話でお会いできるのを楽しみにしております。