楽ではない旅路の始まり…
前回のあらすじ…
シンは遠くの方を双眼鏡で覗き、何かをブツブツ言っていた…
晴人が気になり、聞いてみると、シンは晴人を登らせ、双眼鏡を見せた…
双眼鏡の先に移ったものは…建物を潰しながら歩んでくる、感染者の群れだった…
シンの見立てでは、あと一週間でここまで来て、辺り一帯を更地にするそうだ…
シンは晴人に麟達に移動するから準備しろと命令した…若干不服そうながら従う晴人…
そして、仮の拠点を捨て、新たな地へと向かう一行…
シンはナイフを構えながら先導し、遮蔽物から遮蔽物に移っていく…
晴人「なんであいつが先導してるんですかね?」
麟「しょうがないですよ…彼以外戦えないんですから…」
艾「武器もないですしね…」
菫「彼曰く…」
シン (回想)「壁に武器なんかいらねぇ、武器が無駄になる。」
菫「…だそうです。」
晴人「じゃあ…僕が持ってる包丁を…あれ?ない…」
自宅から出るときにカバンに入れていたはずの包丁が、いつの間にかなくなっていた…
晴人「まさかあいつ…」
犯人はどう考えてもシンしかいなかった…
だが少し冷静に考えてみた、シンはサバイバルナイフやハンドガン、投げナイフを数十本持っているため、包丁を奪うメリットはどこにもなかった…
恐らく、最初に感染者に出くわしたときに落としてしまったのだろう…
晴人「落としちゃったかな?」
そうしてシンの先導の元、進んでいると…
シン「待て…」
シンはそう言った後に、人差し指を立てて、口と鼻に持ってくる…音を立てるなのサインである…
そしてしゃがみながら前に出て…ナイフを一投…
感染者の後頭部に見事に突き刺さった…
その時、晴人は疑問に思った…
感染者は殺せないと、世界が壊れた日…ニュースで言っていた…
だが、シンは感染者を壊す…要は殺している…
シンのしていることの共通点としては、投げナイフをすべて頭に刺しているということ…
頭…というよりは脳を破壊されると、感染者といえど死ぬようだ…
シン「よし…ブルズアイど真ん中だな…」
シンはそう言った後にメモを取りだした…
晴人「スコア票でもつけてるんですかね…あれ…」
麟「きっとそうだと思います…」
艾「趣味悪…」
シンはメモを取り終え、ナイフを回収すると、再び先導しだした…
時刻はもう夕方だった…
シン「今日はここまでだな…」
そう言うと、シンは住宅の屋根に登りだした…
晴人「まさか…今日はそこで寝泊りするんじゃ…」
シン「そのまさかだよ、階段とかがねぇところは的共は上がってこれねぇ、わかったらとっと上がれのろまスピ壁…」
まさかの劣化スピ壁からのろまスピ壁にグレードダウンである…
晴人「くそ…」
怒りは覚える…だがこんな世界では、他に頼りあてもない…
何より…感染者と戦う勇気もなければ…力も…技術もない…
そんな劣等感を抱えながら、バックパックに入っている缶詰を取り出していった…
続く…
この度は壊れた世界の嘆きの歌を読んでいただきまして誠にありがとうございます。
サバイバルホラーゲームではナイフさえあれば勝ったも同然、作者の妖峰輪廻です。
今回は感染者の弱点と、比較的はぐれ感染者からは安全に夜を明かせることができる場所についてわかりましたね。
どこぞの感染者が大群で全員走ってくるあれではないのでヒアリみたいに壁は登りませんのでご安心を。
この世界の感染者は変異体は後々出てくる予定ですけど、基本は走りません。
じわじわ、ゆらゆらと歩いてきます。
それでは、また次のお話でお会いできるのを楽しみにしております。