伝えられる現実…迫りくる黒い壁…
前回のあらすじ…
晴人が興味本位でみんなの過去を聞いた。 (シン以外)
艾は書店の店員、菫は中学の国語教師、そして麟は心理療法士。
みんなそれぞれ、話をしあって打ち解けていたが…
晴人の中で、シンが感染者を仕留めるのをゲームだと思っているという疑念が浮かび…
このままついて行っていいのかと思い始める…
シン「うーん…あと1週間かそこいらだな…」 (ブツブツ…)
シンは双眼鏡を覗きながらぶつぶつ言っていた…
晴人「なにかあったんですか?」
晴人が下から聞いてみる…
シン「あっ?まぁいいや…上がってこい。」
晴人「はーい…」
晴人はシンの所まで上がっていく…
シン「覗いてみろ。」
シンが晴人に双眼鏡を渡すと…そこに移ったのは…
晴人「なに…あれ…」
シン「全部"的"だよ、ゴキブリみてぇにうじゃうじゃと…」
遠くの方に見える黒い壁のようなもの…それは…何千…何万…何億と集まった感染者の集合体…
晴人「あんな数…どこから…」
シン「海でも渡ってきたんだろ?ヒアリかよって話だけどな…」
シンはゆっくりと立ち上がる…
晴人「で…でも‼ここは安全なんですよね⁉そうなんですよね⁉」
シン「お前アレよく見たのか?お前のできることはスピーカーみてぇに音出すだけか?」
晴人は少しだけイラっときて、もう一度、双眼鏡で見てみる…こちらに何事もなく進んできているだけのように見えるが…それがおかしいのだ…
晴人「なんであんな横に並んできてるんだ…建物で阻まれるはずなのに…」
シン「そういうことだ、これからはよ~く見ろよ、劣化スピ壁。」
スピ壁から劣化スピ壁へグレードダウンである…
晴人「劣化スピ壁…まぁいいや…建物をなぎ倒しながら歩いてきてる…」
シン「ゴキブリの行進は都市を更地にしてる…だからここも安心できねぇんだよ、それに、そこら中にはぐれもいる…的どもがな…」
シンは何かを準備している…
晴人「何してるの?」
シン「移動の準備、わかったらとっと下に降りて他の壁にも準備しろって言ってこい、劣化スピ壁、それがてめぇの専売特許だろ?」
晴人「ちっ…」
晴人は言われるがまま下に降り、みんなに伝えた。
晴人「移動するから準備しろだってさ…」
艾「了解、なんか言われた?」
晴人「劣化スピ壁って言われた…」
麟「そうなんですね…私は見たまま金髪って言われてます…」
艾「私はロリ壁って…」
菫「僕はひょろ壁って言われてます…」
晴人「何なんですかね…あいつ…」
みんなの準備が終わると、シンも下りてきた…
シン「行くぞ、遅れたら容赦なく置いてく、俺の盾になって死ぬか、それともあいつらに食われて死ぬか…どっちだろうな?」
晴人「いやな奴…」
シン「じゃあついてこなくていいぞ?この世界で生きれるんだったらな…」
当然…晴人にはそれはできない…現に感染者相手に恐怖で動けなかったほどだ…次一人で会えば…
晴人「はぁ…くっそ…」
シン「行くぞ…」
シンがツリーハウスを先に出る…これから長い旅が始まる…
続く…
この度は壊れた世界の嘆きの歌を読んでいただきまして誠にありがとうございます。
黒光りするイニシャルGとは一生分かり合えない、作者の妖峰輪廻です。
今回は新たな要素として、迫ってくるゾンビの大群という設定を追加しました。
普通にゾンビパンデミック起きました→生存者見つけました→研究所着きました→ワクチン作りました→世界救った~やった~
だと味気ないので、少し時間制限みたいな感じの設定を加えました。
もはや数億っていうゾンビが集まると一種の生物ですね…
それでは、また次のお話でお会いできるのを楽しみにしております。