救世主の登場…ただし鬼か悪魔か…
前回のあらすじ…
突如として世界に感染が広がった謎の感染症…
それにより正気を失った人々は、感染していない人に噛みつき、その噛まれた人も感染してしまう…
ごく普通の会社員・冰隠目 晴人の会社でも、この感染症が発生…
何とか家まで辿り着いた晴人…なぜこんなことになったのか、頭を悩ませていた…
それから数日後…
晴人は家に残っていた食料で何とか生き延びていた…
だが、誰とも話していない…テレビも繋がらない…電話も、着信もメールも…○INEも何も反応はない…
だが…こんな世界になっても、まだだれか生きているだろうという可能性は捨てなかった。
意を決して、外に人を探しに行くついでに食料を探しに向かった。
懐中電灯といざという時の包丁…ラジオに水、応急手当用の包帯や消毒液などを持って、家を出た。
追われた状態でも、すぐ家に入れるように、鍵はかけないでおく…
晴人「よし…いないな…」
態勢を低くして、ゆっくりと音を立てずに外に出る…
晴人「(静かに)いってきます…」
辺りには、死臭が充満していた…
晴人「(静かに)ひどい臭いだ…マスクも付けて来ればよかった…」
晴人は、近くのコンビニに着くと、中を見た…
中はもぬけの殻だった…生き残るために、生存者が盗んでいったんだろう…
普通ならここで落胆するが、晴人はこれを前向きに受け取る。
食料品が盗まれたということは、自分の他にも生存者がいるということ‼
この地獄の世界で、一人孤独に生きていくことは無くなったと安堵する晴人。
だが…
(ガラスを踏む音…)
背後からガラスを踏む音が聴こえた…
ゆっくりと振り向くと…感染者たちがいた…
いつの間にか囲まれていたようだ…
晴人「嘘…だろ…こんな…こんなところで…」
晴人は逃げようとするが…恐怖で足が動かない…
晴人「(やだ…まだ死にたくない…恋だってしてないし…結婚だってしてないのに…親父やおふくろに、あいさつにだって…)」
晴人にじりじりと近寄る感染者たち…
晴人「(まだ…死にたく…ない…)」
すると…感染者たちが目の前で倒れていく…
よく見ると、後頭部にナイフが突き刺さっている…
?「はぁ…道理で集まってると思ったら…動くスピーカーがいたのか…」
晴人「え…人?」
晴人が視線をあげると、身長が175cmほどの男が立っていた…
男「さて…うーん…ブルじゃなくて…6のシングルか…もうちょい左だな…んでこっちは…3か…」
晴人「ブル?6のシングル?3?一体何のこと…」
男「うん?あぁ…デコイまだいたのか…さっさと元居たとこに帰れよ、こっちはこっちで忙しいんだから…」
男はそう言いながら、メモを取っている…
晴人「(この世界じゃ貴重な生存者…この人を逃したら、次いつ会えるか…)」
晴人は意を決して…
晴人「あの…僕も一緒に行動していいですか?」
男はゆっくりと振り返り…何か吟味するような目で見た…
男「………まぁ…いざという時の盾としてはよさそうだな…また残基が増えたな…」
晴人「え…残基…?」
男「喜べ…お前は今日から俺の肉壁だ…」
男は晴人に尻もちをつかせて、上からそう言う。
晴人「肉…壁?」
男「さっさとたて肉壁、拠点もどんぞ。」
晴人「肉壁って俺の事⁉」
男「おめぇ以外に誰がいんだよ?俺が的に名前つける趣味があると思うか?」
男は感染者のことを的と呼んだ。
晴人「的…ひどい奴だなあんた‼それとっ‼俺にはちゃんと晴人って名前があんだよ‼」
男「知らねぇし興味ねぇ、肉壁の名前なんざいちいち覚えてらんねぇよ。」
晴人「はぁ…てか、こっちが名乗ったんだから、そっちも名乗るのが筋だろ?」
男「名前?まぁ…そっか…」
男は少し考えて…
男→シン「シン、俺の事はそう呼べ、スピ壁。」
晴人「スピ壁…」
こうして晴人は、この地獄のような世界で、仏…ではなく、鬼なのか…悪魔なのかわからない男・シンに助けられた…
続く…
この度は壊れた世界の嘆きの歌を読んでいただきまして誠にありがとうございます。
趣味は友人とダーツ‼ただし上手いとは言っていない…作者の妖峰輪廻です。
第二話目にして新キャラ登場‼名前はシン君です。
かなりどぎつい性格で、初対面の晴人君にも、肉壁発言…さらに感染者をダーツの的と思っているような発言‼
まるでゲームのように楽しんでいるような男キャラ‼
なんかこういう主人公に対してやたら当たりが強いライバルキャラって人気が出る風潮なので、今回はそういうキャラに仕上げてみました‼
ちなみに、シン君の発言に、残基が増えたとありますが、ほかにもシン君の肉壁はおります‼
どんなキャラなのか予想しながら、次回をお楽しみください‼
それでは、また次のお話でお会いできるのを楽しみにしております‼