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異性転生  作者: 貴志
第三章 クロの時間
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004 クロ歴史①

 森の中を感覚がする方向に歩き続ける。自分が生まれ変わる為に必要な人間の元に向かって。

 対象が動かないことから推測すると、寝ているのだろうか。突然反応を感じたので、この世界に送られてきたばかりだろう。


 同じ善人でも器になる人間とそうでない人間は、どういう違いがあるのかわからない。

 カケラを十二個までしか持てない者と、それ以上に持てる者。

 この世界に来てから、善人を見かけたこともあったが、器としては反応を感じなかった。

 今回が初めて器としての反応を感じたのだ。


「そうなると器となる人間は、相当珍しいということになるのか」


 ちゃんと器となる人間と上手くやっていけるのだろうかと少し心配になるが、前向きに考える。


「最悪家来にすれば良いか」


 言う事を聞いてくれないタイプの人間だった場合は、実力行使に出ようと決める。


 そしてついにそのときは来る。





「やっと見つけた」





 この瞬間から二人の物語が始まった。







 そこで寝ていたのは少し幼く見える青年だった。この世界の年齢や性別は生前とは違うみたいなので、実際に何歳なのかはわからない。


 少し待ってみるが起きそうもなかった為、起こしにかかる。とりあえず顔を揺らしてみる。

 しかしいくら顔を揺すってみても、もふもふと気持ち良さそうにしているだけで、起きそうになかった。

 段々とイライラしてきて軽く猫パンチをする。


 飛び起きた。


 そこからはこの世界のことを説明していく。ナヨナヨしているのは気になるが、その内マシになるだろう。

 最初は愚か者の類いかとも思ったが意外と頭は良かった。

 こちらの目的もすぐに理解し、話も早い。

 しかし話の中で死を実感し落ち込んだときに、急に不穏な空気を出し始めたときは本当に驚いた。シャインとダークが混ざったような異質なパワーを感じたのだ。

 何とか猫パンチで正気に戻したが、器とはこれほどのパワーを持っているのだろうかと不安を感じる。制御できるのだろうか。


「ワタシが不安を感じるほどのパワーとは、なんて奴だ」


 その呟きはミコトには聞こえない。







 街への移動中ちょうど良いところに、ちょうど良い強さの奴がいた。ジャックザなんとかとかいう奴だったらしいが、ダークで一瞬で倒す。

 自分も強いということをミコトに精一杯アピールした。







 その後は街に着くまでに、少しだけミコトの修行をした。

 ミコトは飲み込みが早く、あっという間に実力を付けていった。カッコをつけてシャインで自分に攻撃させてみたが、避けるのは命懸けだった。

 今まで平和に過ごしてきただけの奴が、どうしてこんなに成長するのが早いのか。

 この頃にはお互いのことを少しづつ理解し始めていた。

 シャインが使えるだけあって、性根は本当に善人だと思った。未来の奴らが平和な時代を過ごせているのだと思うと、少し嬉しくなる。







 街に入ると女がミコトに声をかけてきた。

人間の姿だと早速仲間ができるのかと少し羨ましく思う。

 ミコトとこのチームに入ることにした。このチームには強そうな奴が三人もいた。特に強いと感じるのが、カンナだった。

 この世界に来て二番目に強いと思った相手だった。ちなみに一番はアークだ。カンナはワタシが獣堕ちであることを疑っていそうに感じた。







 早速みんなでカケラを回収しにいくことになる。相手はエリザベートとかいう小悪党だというが、何か嫌な予感がした。


 結果自分が付いていながら、キョウコが殺されてしまい不快になる。一体ワタシは何をしているのだろうか。

 しかもこんなときに限って擬人化が起こる前兆を感じ取る。更に良くないことは続き、ミコトと逸れてしまう。せっかく出会った器を殺されるなんてごめんだ。


 早く合流しなければと思うが、とりあえず安全な場所に隠れる必要があった。

 何とか隠れることができ、擬人化が始まった。






 一時間くらい時が経った後、無事に目が覚めることができた。

 とりあえずその辺の空いてそうな建物の中に身を隠したお陰で、誰にも見つかることがなかった。こういうときは小さな体になるのは便利だった。

 流石にこの姿ではミコトに会いづらいが、殺されては元も子もないので、念の為に追跡する。

 幸いミコトの居場所は感じることができる為、追跡は容易だった。このころにはこの能力がギフトであることを確信していた。







 ミコトを発見したとき、ちょうど敵と戦っているところだった。実力は負けていないのに、経験が負けている。貴重な経験を積ませる為にすぐには出ていかないが、危なくなったら助けにいくつもりだった。しかしすぐにそのときが来た。

 とりあえずミコトに矢を放った敵の矢使いを倒す。敵が矢使いを呼んでいるので、代わりに出ていくことにした。

 ホノリウスは一撃で倒した。弱過ぎる。

 

 人間の姿だったので、ミコトには正体がバレないかと考えたが甘かった。

 こういうときは勘が鋭い。


 ミコトがカケラを吸収したときに、傷や毒が全部治ったことは驚いた。器はみんなそういう能力があるのか、それともミコトだけなのか推測もつかない。

 しかしミコトが簡単に死なないと知れたこと自体は喜ばしかった。


 ミコトと合流はしたが、獣堕ちに戻る兆しを感じていたので、またしても別行動をとった。

 ユキが居ればミコトは大丈夫だろう。







 おかしい。

 しばらく待っていたが戻るどころか、外部からの干渉を受けてリズムが狂わされているようだった。今まで感じたことのない、他の獣堕ちの気配を感じることが原因だろうか。

 そうこうしている内にカンナとシノと鉢合わせし、正体がバレてしまう。

 この際細かいことは気にしてられない。ミコトを助けに行かなければ。


 不本意ながらもカンナに運ばれて、ミコトの元に辿り着く。

 今まで見たことのない凶悪な生き物を見た。ただ今回は向こうも擬人化の予兆に引っ張られているみたいで、全力が出せないようにみえた。

 今ならカンナで倒せるかと考えたが、逃走を許してしまう。


 あいつを前に被害者が居なかっただけでも良しとする。

 ただ今のままではあいつに勝てないと実感した。もっと強くならなければ。

 もっと強くなりたい、なんて思うのはいつ以来だろうか。


 武士の血が騒ぐ。


 おもしろい。


 ミコトの足も治り、目が覚めるのを待つ。ワタシに何度も何度も心配させて、本当に仕方がない奴だ。


「護ってやれなくてすまんな。次は絶対に護ってみせるからな」


 思わず決意表明を呟く。ミコトは争いとは無縁に生きてきた善良な人間だ。ワタシが巻き込んだ以上、ワタシが責任を持つのは当然だ。


 ただ寝ているとはいえ、面と向かって言ったことは小っ恥ずかしかった。照れ隠しに起こしてみようと思う。

 人の頃の血に塗れた手と違い、この猫の手なら優しく人に触れることができるような気がした。


 もふもふ


 もふもふ


 こんな風に優しく、優しく。

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