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第二章~Chapter 2~予兆

 四月一三日。

 佐々神(ささがみ)は学校へ向かっていた。

 今朝のニュースによると『魔物』による被害は日本にまで拡大していた。こちらでも同じような殺され方らしい。それにもう一つスクープがあった。ついに『魔物』をカメラで捉えたのである。その姿は世界中に公開された。この間(あずさ)の言っていた通り、黒いライオンに紫の(たてがみ)が生えたような生き物だった。現在警察や自衛隊が総動員され警備にあたっている。「自衛隊を出すのはどうか」と言う声もあったが世界中が緊急事態の為、声が弱まりつつある。

 佐々神は正直実感が湧いていなかった。実際に見たわけでもないし、知り合いが襲われたわけでもない。人間なんて所詮そんなものだ。自分と関わりがない人間が死んでも、可哀想とは思っても実際に泣いたりする人間はいない。そう佐々神は考えていた。

 しかし、『魔物』の脅威に実感がなくても『魔物』については気がかりなことがあった。佐々神は『魔物』について知っていた。少なくともそこらのマスコミや警察なんかよりずっと……。


 佐々神は、学校に着くと学ランや舞華(まいか)、梓達と会話を交わし席に着いた。そこに美山(みやま)先生がやって来て朝のHRが始まった。内容は今朝のニュースのことで危険なので短縮授業で三時一五分完全下校になるとのことだ。どうせなら休みにしてくれればいいのに。と思ったがカリキュラム上そうはいかないらしい。

 美山先生が教室を後にし、パラパラと一限目の準備をする人が現れ始めた。それに続き他の人も準備を始めた。

「佐々神、今日ゲーセン行こーぜ」

 学ランが誘ってきたが今日は暇だったため承諾をすることにした。そもそも、今日は真っ直ぐ自宅へ帰るよう言われているが、これを忠実に守る者は何人いるだろうか?

「ああ。いつもんとこか?」と佐々神が尋ねると、学ランは「ああ」と答えた。

 佐々神達の言ういつものところとは駅前とは五、六分離れた少し古びたゲームセンターである。いつもそこに行く理由は、空いているからである。ここは駅前から離れてる上に少し古びているため客足が極端に少ない。おそらくここに来る客は常連しかいないだろう。

 授業の開始を知らせるチャイムが鳴った。佐々神は久しぶりのゲーセンを楽しみにしながら、少し遅めの授業の準備を始めた。

 この時佐々神は時々感じる、しかも、毎回あたる嫌な予感がした。

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