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第三章~Chapter 3~激戦

 黒いマントを着た男は地面を蹴り、佐々神(ささがみ)との距離を一気に詰め、レイピアで一突きするが、佐々神はそれに即座に反応し、後ろに向かって思いっきり飛ぶ。

 五、六メートル程後ろまで飛ぶと、佐々神は両手の二丁の拳銃(ハンドガン)を刃渡り七〇センチ弱の双剣(クロスソード)に変形させる。左には赤い珠の付いた剣を、右には青い珠の付いた剣を握り、男の動きに警戒する。

 佐々神の動きを見た黒いマントを着た男は眉をひそめた。

「あ? テメェ何だその動きは? 魔術も使ってネェのにスゲェ飛ぶじゃネェか」

 黒いマントを着た男は、礼儀がなってない下品な口調で言う。

 佐々神は一瞬眉をひそめたがすぐに元の表情に戻る。

「お前には関係ないだろ」

 そう言って佐々神は右手に持った剣を強く握りしめると、黒いマントを着た男と同じように地面を蹴り間合いを詰める。

 男の前に一瞬で辿りつくと、身を低く沈め、右手で握りしめた剣で斬りかかる。

 男は反応に遅れ、回避が遅れる。佐々神の握りしめた剣が男の顔面を斬りつけようとしたした瞬間、横合から先ほどの魔獣が飛びかかって来た。

 佐々神は対象を変え、魔獣に斬りかかる。魔獣の気味が悪い顔を真っ二つにすると同時に、いったん距離を取っていた黒いマントを着た男が、半身(はんみ)の構えで突きにかかって来る。

 佐々神は何とか寸前のところで、男と同じように半身の構えでかわすことに成功する。

「ぐっ……」

 いきなり体を(ひね)って無理をしたせいか、佐々神は苦痛の声を漏らす。が、休んでる暇はない。さっきと同じように後ろに思いっきり飛び、距離を取る。

「テメェ何モンだぁ? 運動神経がいいってレベルじゃネェだろ。何隠してンだ?」

 黒いマントを着た男は不審そうな顔をするが、佐々神は一言も喋らない。

「ハッ、ダンマリか。こっちの動きパクられて気味悪りぃが、まあいい」

 男は口角を上げた後、すぐに真顔に戻る。

「死ねぇぇ」

 そう叫ぶと、先ほどと段違いの早さで間合いを詰める。おそらく、魔術で肉体強化をしているのだろう。しかも、それだけではない。後ろに三匹の魔獣を連れている。佐々神と黒いマントを着た男が戦ってる間ずっと、ジーパンの男は魔獣を召喚していた。そのため現在この部屋には五匹の魔獣が居る。

(クソッ! この術式は世界で使える奴は少ないじゃなかったのか?)

 佐々神はカトレアが言っていたことを思い出す。

 そうこう考えているうちに、黒いマントを着た男は目の前にいた。

「クソ!」

 佐々神は咄嗟(とっさ)に後ろに飛ぶ。急だったせいで三メートル程しか飛べなかったが、常人にとっては十分な距離だ。

 だが、それでも男の攻撃は止まない。完全に魔獣が置いて行かれてるくらいの早さで佐々神を追う。

「遅ェェんだよ」

 もう一度地面を蹴り、佐々神目がけてレイピアで突き刺す。

 さすがに間にあわないと思った佐々神は、左手にある剣でレイピア目がけて振りかざす。

 だが、佐々神に突き刺さろうとしたレイピアはすぐに後ろに引っ込められた。それと同時に男は勢いを殺し、後ろに向かって飛ぶ。

(ん? 何だ? なぜ攻撃を止めた?)

 佐々神は疑問が浮かんだがすぐに気付いた。

(そうか、レイピアは細いから斬りつけられると折れるんだ。だから、直前にも関わらず攻撃を止めて退いたんだ!)

 それに気づいた佐々神は、男の持つレイピアを破壊しようと追いかける。

 だが、目の前には佐々神を追ってきた魔獣が三体いた。

鬱陶(うっとう)しいな」

 佐々神は両手に持っていた双剣(クロスソード)を逆手に持ち替えると、魔獣の間をすり抜け黒いマントを着た男を追った。ただすり抜けたように見えたが、すれ違った魔獣たちは体中を引き裂かれていた。

 そう、佐々神はあの最中、魔獣を切り裂いていた。

「テメェ、マジで化けモンかよ」

 男は不敵に笑うとさらに距離とった。佐々神はすかさず、距離を縮めようと地面を強く蹴る。

 だが、男は焦りもせず笑っている。

 不気味の思った佐々神はあることに気づく。

 足元を見ると、魔法陣らしき物が剣で彫られていた。

(いつの間に書いたんだ!)

 佐々神はすぐにその場から離れようと、横に飛ぼうとした瞬間、魔法陣が光り輝き佐々神を弾き飛ばす。

「……ッぐ……ぁあ」

 佐々神は三、四メートル吹き飛ばされ、地面に転がる。その反動で幻器(げんき)が弾き飛ばされ、手の届かないところに転がった。佐々神の手から離れた幻器(げんき)は元に戻り、ただの黒い光沢のある綺麗な石でしかない。

 佐々神はすぐさま立ち上がり、元に戻った石を取りに行こうとするが、詠唱らしき声が聞こえたと同時に、雷が佐々神に向かって放たれた。

 仕方なく石を取りに行くのを諦め、避けることに専念する。

 黒いマントを着た男はニヤニヤと笑っている。

「ンじゃ、こっちは用が済んだから行くわ」

 そう言って奥の扉を開け、どこかへ行ってしまう。

「待てぇ! どういうこと、ッぐ……ぁぁぁ」

 佐々神は雷に打ち抜かれ、七メートル程吹っ飛び壁に衝突した。

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